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江戸東京野菜「練馬大根」ってどんな野菜?

江戸東京野菜「練馬大根」ってどんな野菜?

2017年07月31日

世界におけるダイコンはヨーロッパ大根、中国大根、日本大根に大別され、日本では各地に根付いた地方品種がとても多く存在しています。
国内における品種は世界で最も多いと言われ、100種類以上あります。
今日のダイコンの品種は青首系・白首系の2つに大別され、流通の主流は青首ダイコンです。
青首ダイコンが栽培しやすく、甘みが強くて辛みが少ないため、消費者に受け入れられやすいからです。
白首ダイコンは地方品種に多く、煮物や漬け物、刺身のつま等に利用されます。
白首ダイコンの代表であり、以前はダイコンの代名詞であった練馬大根をご紹介します。

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ダイコンはアブラナ科ダイコン属の野菜です。

原産地は諸説があり、ハッキリと定まってはいませんが、ヨーロッパ・アジアの温暖地域と言われています。

はるか昔から栽培されており、古代エジプトのピラミッドを建設しているときにはすでに食べられていました。

世界におけるダイコンはヨーロッパ大根、中国大根、日本大根に大別され、日本では各地に根付いた地方品種がとても多く存在しています。

国内における品種は世界で最も多いと言われ、100種類以上あります。

日本には奈良時代以前に中国から渡来し、地方品種は江戸時代に参勤交代で都市と地方の交流が活発になってから登場しました。

奈良時代のダイコンは、ひと束で米一升ほどの価値がある高級食材でした。

今日のダイコンの品種は青首系・白首系の2つに大別され、流通の主流は青首ダイコンです。

これは、青首ダイコンが栽培しやすく、甘みが強くて辛みが少ないため、消費者に受け入れられやすいからです。

白首ダイコンは地方品種に多く、辛みが強かったり身が固かったりするために、煮物や漬け物、刺身のつま等に利用されます。

白首ダイコンの代表であり、以前はダイコンの代名詞であった練馬大根をご紹介します。

練馬大根とは

練馬大根は東京都の練馬で栽培されている江戸東京野菜です。

練馬大根は「練馬尻細大根」と「練馬秋づまり大根」の2品種があり、たくあん漬けにされるのは「練馬尻細大根」の方です。

まずは練馬尻細大根についてご紹介します。

練馬尻細大根の旬は11月から翌年1月頃、80cmほどになる大型のダイコンです。

大きいものでは1メートルほどになることもあります。

重さは1から2kg程度、大きいものでは4kgほどになります。

首と下部が細くて中央部が太く、尻が尖っているダイコンです。

肉質がしまり、歯ごたえが良いことから、パリッとした歯ごたえのたくあん漬けができあがります。

昔から、主にたくあん漬けにされていますが、干しダイコンとしても流通していました。

現在では給食素材としても使用されています。

練馬尻細大根の最大の特長は、その辛みと大きさです。

辛みの成分はイソチオシアネートという、ワサビやカラシにも含まれる成分です。

この辛みのために、大根おろしにも適しています。

次に、練馬秋づまり大根をご紹介します。

練馬秋づまり大根は長さ40cmくらいで肉質の柔らかいダイコンです。

身がよくしまっており、水分が多く、甘みの強いダイコンです。

煮大根として有名で、おでんによく利用されています。

また、粕漬けやぬか漬けとしても使われています。

練馬大根の伝統的栽培方法

伝統的栽培方法は、以下の工程で栽培するのが伝統的な方法です。

1.整地

種をまく7から10日前くらいに、深さ60cm以上を丁寧に耕します。

あぜの幅は63から66cm、東西の方向に畦立てします。

株間は45cm内外です。

2.播種(はしゅ)

8月中旬までに行います。

元肥を施し、種は1か所に5、6粒植えます。

覆土は2cm内外で、圧すると発芽が悪いので注意します。

3.間引き・土盛

本葉が6、7枚の時に間引き、土盛り(土寄せ)します。

4.追肥

間引き前か土盛り直後に一回目の追肥をします。

一株おきに穴を掘って施します。

二回目は収穫の20から30日前に行います。

5.中耕

土盛りと追肥後、その日か翌日に一回目の中耕を行います。

一回目は南から北に土寄せします。

二回目は一回目の中耕後10日ほど経ってから行い、今度は北から南に土寄せします。

ダイコンの北側の背に、土盛りより少し高く盛り上げることによって、太陽光線の射入が強くなり、根の太りが良くなるという理由があります。

6.収穫・洗い・乾燥

11月中旬頃から収穫し、葉と尻を切り落とします。

その日か翌日中に洗い、縄で編んでつるし、乾燥させます。

乾燥日数はおよそ10から20日です。

洗いや乾燥の時に雨に当てることが厳禁なので、雨が降れば作業が中止になります。

このときにサメの皮でこすって細かい傷をつけて干すことで水分が抜けやすくなり、おいしさが増します。

練馬の土質

練馬の土質は関東ロームという赤土層で、富士火山の火山灰が風化し、粘土化した地層です。

この地層は根の深く入る野菜(ゴボウやニンジン)にも適した土壌です。

一般的には2から3mの厚さの層ですが、10mを超えるところもあり、東にいくほど薄く細粒になります。

この土質がダイコンを育てるのに適しており、また江戸に近く、流通が容易であったため、練馬大根の栽培が盛んになったと言われています。

地方品種は練馬大根から生まれた

江戸時代、参勤交代が行われていました。

地方から江戸へ来た大名が自分の領地へ帰るときに、この練馬大根の種子を土産として持ち帰り、各地方でそれぞれ栽培したことで、各地ごとの特長あるダイコンが誕生しました。

ダイコンの種は一粒万倍で、栽培した大根は干したり漬け物にして食糧不足時の大切な保存食として重宝されてきました。

種を持ち帰ったのは、領地の食料問題を解決する意図があったと思われます。

明治以後も練馬大根の子孫「大蔵大根」、「三浦大根」などが生まれました。

「大根足」はほめ言葉

仁徳天皇は「古事記」で白い腕を「大根」と表現した歌を詠んでいます。

また、江戸時代は、この練馬大根のように白くてスラッとした細い足のことを「大根足」という言葉でほめていました。

現在はあまり良い印象のない言葉ですが、本来はほめ言葉でした。

現在の練馬大根

近年、様々な原因で急速に市場に姿を見せなかった練馬大根ですが、現在は復活の動きが出てきています。

練馬区は毎年、練馬大根の種を無料配布して、区民を対象に愛着を持ってもらう取り組みを行っています。

保育園や幼稚園、小中学校などの学校にも食育推進の一環として配布しています。

「練馬大根引っこ抜き競技大会」は練馬の12月の風物詩となりました。

この大会は時間内に、どれだけ多くのダイコンを引き抜くことができるかと、どれだけ長いダイコンを引き抜くことができるかを競います。

引き抜いたあとの大根は練馬区立の小中学校で給食の食材となるそうです。

 

伝統野菜の一つである練馬大根を復活させる取り組みには、確実を結んでいます。

消費者である私たちは「食べる」という方法で応援し、これからも大切に残していきたいものです。

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