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タイで高糖度トマトを栽培「農業テクノロジーで事業課題を解決」銀座農園の挑戦

タイで高糖度トマトを栽培「農業テクノロジーで事業課題を解決」銀座農園の挑戦

2017年08月01日

タイで高糖度トマトの栽培技術普及に取り組んでいる銀座農園株式会社。トマトの生育適温を超えるタイの気温の中、どうやって高糖度トマトの栽培を行っているのでしょうか? その技術やタイでの取り組みについて、同社代表の飯村一樹さんにお話をうかがいました。

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平成22年、銀座のど真ん中で米を作りメディアの話題をさらった銀座農園株式会社。独創的な農業に取り組んでいる同社が、今度はタイで日本政府とともに高糖度トマトの栽培技術普及に取り組んでいるそうです。「環境設計のノウハウを活用すれば、日本のクオリティに近い、甘いトマトがタイでも作れる」と語るのは、銀座農園株式会社代表取締役の飯村一樹(いいむらかずき)さん。熱帯性気候の国で高糖度トマトを作る技術について、飯村さんにお話しをうかがいました。

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砂漠やコンクリートの上でもトマトが作れる農業テクノロジー

タイでのトマト生産事業を平成29年8月に開始


タイ国家科学技術開発庁の主要メンバー、中央がThaweesak長官

現在銀座農園では、国際協力機構(JICA)と共同で(*1)タイにおける高糖度トマトの生産普及・実証事業を行っています。平成29年8月にはハウス建設が始まり、平成30年夏にはその成果を確認できると言います。タイ国家科学技術開発庁(NSTDA)と国立農業大学Maejo Universityをパートナーにしており、タイ国内でも大きな注目を集めています。

土を使わない施設栽培技術とICTによる効率化

銀座農園が採用するのは、親水性のある特殊なフィルムを利用し、苗、養液、土地をそれぞれ分けて栽培する手法。これによって植物の生育に害を及ぼす菌やウイルスを通すことなく、水分や養分を供給することができます。病原菌を防ぐための手間やコストを大幅に削減できるうえ、安全な作物を安定して栽培することが可能です。


青森県のバイオマス発電所。手前の農地にハウスを建設

さらに、情報や通信に関する技術ICTと連動することにより、肥料や水分を自動的に与えられることも特長のひとつ。水分や肥料の濃度はデータ管理され、成長に応じて適切な灌水・施肥を行います。この施設栽培技術は、同社が日本国内の企業向けに提供する農業参入プラットフォームと同規格のもの。「理論上は、砂漠やコンクリートの上でも栽培が可能」という技術です。

タイの暑さに負けない「クーリングハウス」で高品質を担保

タイでのトマト栽培において問題となるのは、その暑さです。タイ・バンコクは一年中、日本の7、8月頃の気候が続く熱帯モンスーン気候(*2)で、最高気温が30℃を下回る月はありません。

「シンガポールでの試験栽培では、一定の環境設計を行ったが、設計を上回る暑さがネックとなり、日本のトマトに比べると味がぼやけてしまった。満足のいく品質を担保するには、きちんと冷却制御ができるハウスが必要と実感しました」と飯村さんは言います。

この経験を活かし、タイではパートナーであるタイ国家科学技術開発庁と協力して「クーリングハウス」の開発を進めています。日本におけるハウスとは真逆の発想ですが、温めるのではなく、冷やすためのハウス。この実験が成功すれば、これまでトマト栽培には向かないと言われていた赤道直下の国々でも高糖度トマトの栽培が可能となり、農業の可能性は大きく広がります。

同社の甘いトマトは外務省主催の島サミットなどに使用されたことから、フィジーやパラオなど世界各国から問い合わせが届いていると言います。

パートナーと連携して、技術革新を続ける

銀座農園では、高糖度トマト栽培技術にとどまらず、さらなる技術革新にも取り組んでいます。そのひとつが、生産性向上を促す農業ロボの開発です。同社では、農業ロボとして自動走行型電動車両を車両メーカーと共同で開発しています。ルンバの農業版とも呼べる、幅65センチ、高さ20センチ程度の小さな自動走行型ロボットですが最大500Kgまで搭載して走ることが可能で、人に代わって重い農作物の運搬を担うことを想定しているそう。「将来的にはAIを搭載し、農薬をピンポイントで効率的に噴霧する機能や、自動草刈り機能の搭載も視野に入れています」


シンガポール農場で栽培された高糖度トマト

今後は環境メーカーや工学系大学と提携し、環境に優しいプラント開発や栽培データの蓄積にも取り組んでいくそうです。必要に応じてエキスパートの力を借り、ビジネスに応用していくのが、銀座農園の考える“農業テクノロジー”なのです。

「気候や技術の問題で農業生産ができない国や地域に当社の技術を届け、現地生産・現地販売を世界中で行いたい」と飯村さんは語ります。実現に向け、タイでその一歩を踏み出す銀座農園。世界中どこにいても、安全でおいしいトマトが食べられる。そんな未来が、すぐそこまで来ているのかもしれません。

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飯村一樹

飯村一樹
銀座農園株式会社 代表取締役。ベンチャー勤務時代に建築、不動産、金融業務を経て、2007年銀座農園株式会社を設立。2009年「銀座でコメづくり2009プロジェクト」で多くのメディアから注目され、その後も「交通会館マルシェ」「シンガポールでのトマト生産事業」など独創的なアイディアで農業ビジネスを展開。現在は、流通事業に加え、企業向けの農業参入支援事業を手掛ける。子会社に農業生産法人をもち、自身もJGAP指導員として農業に向き合いながら「農業×テクノロジー=アグリテック」のトップランナーとして国内外で注目を集めている。

銀座農園株式会社
https://ginzafarm.co.jp/
※写真提供:銀座農園株式会社

(*1)JICA「トマト農場」で高付加価値野菜を安定栽培
https://www2.jica.go.jp/ja/priv_sme_partner/document/296/A151026_press.pdf

(*2)在タイ日本国大使館 バンコクの気候
http://www.th.emb-japan.go.jp/itpr_ja/mamechishiki_bangkok.html

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