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「成功する」農業のしくみを見える化して新規参入をサポート!銀座農園

「成功する」農業のしくみを見える化して新規参入をサポート!銀座農園

2017年08月01日

企業の農業参入をサポートする銀座農園株式会社。現在は、高糖度トマトを主軸に、栽培技術、ハウス、ノウハウをまとめて提供しています。土地と資金があれば6カ月で事業化が可能という“農業システム”について、そして、なぜ高糖度トマトの栽培がそのシステムに選ばれたのか、同社代表の飯村一樹さんに聞きました。

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平成27年に農地法が改正され、農業関係者以外の議決権が広がる等、農業法人への参入条件が緩和されたため、企業による農業参入の動きが活発になっています。政府が発表した「日本再興戦略2014」では、「農業経営体数を平成35年までに22年比で約4倍の50,000法人とする」ことをKPIに掲げており(*1)、今後企業の農業参入はますます加速することが予想されます。

一方で補助金を獲得して参入したものの、撤退を余儀なくされる企業もあります。何を作るのか。初期投資費用や回収までの期間は?そして「成功する」方法はあるのか?そんな悩みにワンストップで応えるソリューションで注目を集めているのが銀座農園株式会社です。「土地と資金があれば、補助金ゼロで事業化が可能な農業システム」を提供している同社代表取締役・飯村一樹(いいむらかずき)さんにお話をうかがいました。

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高糖度トマトの「技術・施設・ノウハウ・流通」をサポート

企業が農業に参入する場合、農地確保からはじまり、資金調達、農場の整備、生産、収穫、収穫物の流通ルート確保やブランディングまで、さまざまな事業課題があります。ITによる効率化やノウハウの蓄積などの技術開発も継続的な農業経営には欠かせません。そこで銀座農園では、「生産・収穫」だけではなく、周辺課題すべてをサポート。ローコストで効率的に農業参入できる“農業システム”を開発しました。

「現在、糖度の高いフルーツトマトを主軸に、栽培技術、ハウス、ノウハウをまとめて提供しています。土地と資金があれば、6カ月で事業化が可能。事業開始後は徹底したデータ管理を行い、効率的でリスクの低い栽培をサポートします」


低コストで運営できる銀座農園の農業システム

同社で提供する農業システムのサイズは2,000㎡と3,000㎡の2タイプで、それぞれの初期投資額は5,000万円と8,000万円。事業を始めるのに必要となるものを統一規格で提供しています。収穫した作物の流通ルートとして、大手百貨店や有名レストラン、東京・有楽町の「交通会館マルシェ」などの幅広い販売チャネルを持っていることも同社の大きな強みです。

なぜ、高糖度トマトを選んだのか?

その答えはトマトの市場性にありました。「トマトのマーケット規模は約2,700億円。これは他の野菜に比べてもダントツに大きい」(飯村さん)。「好きな野菜ランキング」でもトマトは8年連続1位(*2)。中でも甘くカラフルな高糖度トマトは、他のトマトより値段が高くても売れると言います。

「高糖度トマトの技術体系が確立されたのはここ最近のこと。市場性も高く、新規参入のチャンスが十分にあります。自社で流通を8年、生産を5年やってきた実績から導き出した、“成功する野菜”が高糖度トマトでした。そのため高糖度トマトを農業システムの主軸にしているのです」

自社での生産・流通の経験をコスト効率化に活かす

自社での生産・流通の経験は、コスト効率化にも反映されています。「これまでは企業が農業参入する場合、補助金を前提として3億円から5億円の初期投資を行い、大規模ハウスで収益化を狙うケースが多かった。規模が大きすぎると失敗するリスクが高くなります。そこで当社では、ハウスの面積を2,000㎡、3,000㎡と中規模サイズで規格し、最適なオペレーションを設計した『効率経営モデル』を導入しています。これにより低コスト、低リスクでの参入を実現。栽培技術を習得した2年から3年後に大規模化へのステップアップが可能になります。高糖度トマトの場合、5年から8年での投資回収を目指します」


面積は最適なオペレーションができる中規模に。適切な人員配置を行うことで経営を効率化

また、一級建築士として活躍した飯村さんの知見も、資材コストのスリム化に一役買いました。ハウスの規模・構造を規格化することで低コスト化を実現。さらに「独自のルートで製造メーカーと直接交渉し、ハウスを安価に提供することが可能になった。初期コストは通常より30%程度カットできる」と言います。

収益構造を見える化し、収益化のためのロールモデルを構築

効率経営モデルの利点は、参入リスク軽減のほかに、企業自身が農業の収益構造を把握し、収益化のためのロールモデルを構築できるという点にもあります。銀座農園が次に商品化を目指している「観光ワイナリーの参入パッケージ」を例にとると、ぶどう畑の造成費用、ワイン醸造設備の費用、栽培技術を持った農家の人件費など、コストを分解。これにより細かい項目ごとにコストを把握することができ、より収益化を目指しやすくなります。

さらにワインの売価設定までをシミュレーションして、10年程度で投資回収が可能なモデル設計を行っています。「ワイン好きなら憧れるワイナリーが4,000万円程度で経営できることから、問い合わせが増えている」そうです。

地域密着型ビジネスで地元農家を支援

現在、同社がパートナーとなって農業参入を果たした企業・自治体は全国で7団体。いずれも食品・飲食産業以外からの参入です。遊休地や流通・販売チャネルといった、経営資源活用という目的だけでなく、農業に参入する動機は他にもあると言います。


自社農場の様子

「地場に根付く企業には、地域を守る、発展させるという使命がある。地域農家をサポートし、共に農業を守ったり、参入によって雇用を創出したり、そういった点に魅力を感じてもらえる企業も多いです」

平成35年までに1,000社の参入サポートが目標

新規就農者にとってわかりづらい、農業の「技術」「収益構造」「参入方法」を見える化した銀座農園。平成30年には、現在の倍以上の企業・団体が、同社をパートナーに新たに農業への参入を計画していると言います。上述した、「日本再興戦略」の“平成35年までに農業経営体を50,000社にする”という政府が出した目標値のうち、1,000社を同社で創出するのが飯村さんが掲げている目下の目標だそうです。

農林水産業の競争力強化という政府方針を追い風に、農業経営を見える化した同社のサポートプランは、今後ますます注目が高まりそうです。

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飯村一樹

飯村一樹
銀座農園株式会社 代表取締役。ベンチャー勤務時代に建築、不動産、金融業務を経て、2007年銀座農園株式会社を設立。2009年「銀座でコメづくり2009プロジェクト」で多くのメディアから注目され、その後も「交通会館マルシェ」「シンガポールでのトマト生産事業」など独創的なアイディアで農業ビジネスを展開。現在は、流通事業に加え、企業向けの農業参入支援事業を手掛ける。子会社に農業生産法人をもち、自身もJGAP指導員として農業に向き合いながら「農業×テクノロジー=アグリテック」のトップランナーとして国内外で注目を集めている。

銀座農園株式会社
https://ginzafarm.co.jp/
※写真提供:銀座農園株式会社

(*1) 首相官邸「日本再興戦略 改訂2014」
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizaisaisei/pdf/honbunJP.pdf

(*2)タキイ種苗 「2016年度 野菜と家庭菜園に関する調査」
http://www.takii.co.jp/info/news_160831.html

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