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職業の選択肢としての「農業」を 新・農業人フェアに寄せて

職業の選択肢としての「農業」を 新・農業人フェアに寄せて

農業を仕事にするきっかけにするイベント「新・農業人フェア」を後援する農林水産省 経営局 就農・女性課の佐藤一絵課長に、就農支援に関する農水省の取組についてお聞きしました。

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農業を仕事にするきっかけにするイベント「新・農業人フェア」を後援する農林水産省 経営局 就農・女性課の佐藤一絵課長に、就農支援に関する農水省の取組についてお聞きしました。

―農業従事者の現状について教えてください。

農業に従事している人の高齢化が加速しています。平成28(2016)年2月現在の調査で、ふだんの仕事が農業であるという基幹的農業従事者の平均年齢は66.8歳となっています。この基幹的農業従事者の65%が65歳以上で、49歳以下が10%しかおらず、年齢構成が極めてアンバランスな状態になってしまっています。このままでは、10年後、20年後に農業者が激減し、我が国の食料生産にも影響を及ぼしかねない状況になってしまいます。

このため、食料の安定供給を確保し、農業の持続的発展を図っていくために、新規就農者を確保し、育成することが急務と捉え、様々な政策を展開しています。

―具体的には、どのような政策を行っているのでしょうか。

農業の素人がプロの農業者になるためには、技術を身につけるための準備・研修がどうしても必要です。さらに農業経営を開始してから安定させるまでの期間、そして経営を確立した後も、最新の技術や経営手法を学んでいく努力が求められています。そこで、プロ農家になり、地域にも貢献していきたいという志のある方々に向けて、この就農準備から経営確立に至るまでの一連のプロセスにおいて、支援策を講じています。

まずは、準備段階。「農業次世代人材投資事業(準備型)」(※平成28年度までの名称は「青年就農給付金」)という補助金が柱となっています。プロ農家になるためにしっかりと研修する期間(最長2年)、年間150万円を支援するものです。

実際に経営を開始してからも最初はなかなか生産が安定しないことが多いことから、経営開始後の最長5年間、最大で年間150万円の支援を行っています「農業次世代人材投資事業(経営開始型)」。この資金は将来の経営拡大を見据えて設備投資に活用したり、あるいは貯蓄するなど、新規就農者それぞれの経営計画に基づいて活用していただいています。加えて、無利子融資制度なども用意しています。

特に農業を初めてまもない時期は、農地の確保に苦労したり、栽培技術で誰かに相談したいと思うことも多々あるので、サポート体制を充実するよう、国・都道府県・市町村や農業関係団体が連携して、新規就農者のフォローアップを行っています。

―経営を確立した後の学びの場というのも重要ですね。

その通りです。そこで今年度から、農業経営を行いながら地域で学ぶことができる「農業経営塾」を、都道府県単位で展開する場合に国としても支援をしています。今年度中に21の県で開講が予定されており、農業経営者として必要な知識と技能を多くの方に習得してもらいたいと期待しています。

―「新・農業人フェア」は、これら政策の中では、一番最初の「就農の入り口」として位置付けられているわけですね。

はい。実家が農家の方であれば「農業者になる」のはイメージしやすいと思いますが、新規就農者を増やしていくためには、農業以外の分野から農業者になろうと思ってくれる方を一人でも多く確保することです。農業のことをちょっと考えてみようかな、という方が気軽にフェアに参加してもらえるよう、例えば実際に新規就農した方によるセミナーで具体的な事例を聞いていただけるようにしています。すでに具体的に就農のイメージを持っている方であれば、農業法人の求人募集ブースで就職先候補になりそうなところを探し、お話していただくのもいいでしょうし、独立自営を目指したいなら、自治体などの相談ブースでイロハから質問や相談をすることもできます。

このように「新・農業人フェア」は、農業への道のりとして研修生を経ての就農、学校で勉強してからの就農、農業法人への就職など、多様な選択肢を提示しています。農業者の方から直接話を聞く、農業に関わる情報を幅広く取得する機会として、農業に関心があるすべての方に利用していただきたいと思います。

―最後に、今後の展望を。

私たちのいのちを支える「食」と安心して暮らせる「環境」を提供するのが農業という産業です。農業者の高齢化と減少という危機的状況にある一方で、この重要な役割を持つ農業を志す若い方々が最近は少しずつ増えていたり、農業法人が増加傾向にあったりするなど、若干明るい要素もあります。

明るさをさらに強くして、将来にわたって持続可能な産業として農業があるために、多くの方に農業を「職業の選択肢の一つ」として認識していただけるよう、私たちも様々な政策を今後とも展開していきたいと考えています。

農業といっても、稲作・畑作・畜産・酪農・果樹・花き等々、生産物の種類は多様ですし、地域によっても特色があります。こうした多様性とそれぞれの魅力を、いま農業現場で活躍する方々の姿を通して、広く伝えていくことも重要です。農業者の皆さんとこれからも協力して取り組んでいきます。

 

―ありがとうございました。

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