全国の地域おこしに発展 2006年始動「銀座ミツバチプロジェクト」 – マイナビ農業

マイナビ農業TOP > 行政・団体・個人の支援 > 全国の地域おこしに発展 2006年始動「銀座ミツバチプロジェクト」

行政・団体・個人の支援

全国の地域おこしに発展 2006年始動「銀座ミツバチプロジェクト」

全国の地域おこしに発展 2006年始動「銀座ミツバチプロジェクト」

2017年09月14日

都心のど真ん中、東京・銀座のビルの屋上で養蜂し、採れたハチミツを銀座の職人の技で商品化する「銀座ミツバチプロジェクト」。2006年に始まったこのユニークなプロジェクトは、今では地域と人がつながる交流へ発展し、全国の地域おこしにまで広がりを見せています。農業生産法人「株式会社銀座ミツバチ」代表取締役の田中淳夫(たなかあつお)さんに、どんなきっかけでこのプロジェクトを始めたのか、お話をうかがいました。

  • LINE
  • twitter
  • facebook
  • Google+
  • Hatena
  • Pocket

始まりは、ほんの小さな「遊び心」

「銀座ミツバチプロジェクト」の目的は2つあります。1つ目は、ミツバチの飼育を通じて銀座の環境と生態系を感じること。2つ目は、採れたハチミツを使って、銀座の街との共生や地域の活性化に貢献することです。

発起人は、銀座にビルを有する株式会社紙パルプ会館の専務取締役であり、現在は株式会社銀座ミツバチ代表取締役社長の田中淳夫(たなかあつお)さんです。銀座の街と古くからつながりのある方々や、レストランのシェフ、バーテンダーなど、銀座の多彩な人がプロジェクトのメンバーとして参加しています。

「ミツバチの生態も何も知らなかった私ですが、ふとしたご縁で知り合った養蜂家から『屋上でミツバチを飼わないか』と申し出があり、面白そうだなと思ってその話に乗ることにしたんです」と、田中さん。始まりはほんの小さな都会の遊び心だったのです。

銀座でミツバチを飼うことが可能な理由

プロジェクトを立ち上げるまで、「銀座の街中でミツバチを飼うなんて、どうかしてるんじゃないか」などという声もあったそうです。「人を刺したらどうするんだ」、「こんな都会にミツバチが蜜を集めるのに十分な自然はあるのか」とも言われたそうです。

「ごもっともですよね。私もはじめは同様の疑問をもちました」と田中さん。
しかし、養蜂家に訊ねたり養蜂に関する勉強を重ねるうちに、ミツバチは蜜を集めるのに必死なので、基本的に人を刺さないということがわかりました。花を求めて2キロから3キロ四方を飛ぶので、銀座界隈の街路樹のほか、皇居、浜離宮、日比谷公園などで咲いている花から蜜を集められることなどがわかってきました。

そこで、田中さんはこうしたことを各方面に丁寧に説明し、周囲の理解を得ながら、プロジェクトをスタートさせました。

職人の街、銀座でハチミツを次々と商品化

2006年3月後半に、3万匹の西洋ミツバチの養蜂場を、銀座三丁目にある紙パルプ会館の屋上に設置しました。2ヶ月でその数は10万匹に増え、ソメイヨシノ、マロニエ、ユリノキなど、都会の樹木から順番に香り高いハチミツが採れました。

「1年目の6月までに予想の3倍、150キロを超えるハチミツが採れました。翌年の2007年は天候に恵まれたこともあり、ミツバチの数は15万匹を超え、収量も順調に上がり3カ月で260キロ。プロジェクト開始から11年目になった2016年は、1トン以上ものハチミツが採れました」。
2014年のハチミツの国内総生産量が2,839トン(※1)ですから、銀座ミツバチプロジェクトで採れたハチミツは、国内生産量の0.04%にあたります。
百貨店や飲食店などが立ち並び、モノを消費するイメージが強い銀座の街が、ハチミツを生産する産地になったのです。

予想を超えて多く採取できたハチミツは、「銀座のハチミツ」として、様々な商品に利用されています。
「銀座は江戸時代から一流の職人たちが集まる街です。シェフやパティシエ、バーテンダーなどの技でカクテルやスイーツなどに商品化していただきました。食べ物にとどまらず、化粧品や蜜蝋で作ったキャンドルなど、数多くの商品が生まれています」。

「ビーガーデン」から全国各地とつながる活動に発展

銀座ミツバチプロジェクトの活動における大きな柱の一つが、ミツバチが蜜を集めるのにふさわしい「ビーガーデン(Bee Garden)(※)」と称する屋上菜園を増やすことです。

「銀座を有する東京都中央区は、助成金を出すなどして、屋上緑化を積極的に推進しています。しかし、せっかく屋上に菜園を設立しても管理維持が大変で放置されてしまう事例がたくさんあります。そうした耕作放棄地にミツバチの好きな花や植物を植えて蜜源とすることで、人にもミツバチにもよい仕組みを作りたいと考えました」。

田中さんは全国各地に働きかけ、各地域から苗をもらい、定期的に耕作放棄地にその苗を植えています。これにより、銀座という枠を超えて銀座ミツバチプロジェクトが地域と地域、人と人をつなげる交流に発展していきました。
「たとえば、新潟市から茶豆の苗を、福島市からは菜の花、徳島県はスダチなど、ビーガーデンを増やすための苗を提供してもらい、さまざまな地域とつながりができました」。

(※)ビーガーデン(Bee Garden):Bee(ミツバチ)のGarden(菜園、花園など)

「銀座芋人」プロジェクトで芋焼酎を作る

最近では、蜜源とはならない農作物を育てたりなど、取り組みの枠を広げています。ユニークなのは、銀座のビルの屋上でサツマイモを育て、採れたサツマイモで焼酎を作る「銀座芋人」プロジェクトなる取り組みです。

「サツマイモの花は蜜源にはならないのですが、様々な地域の方とつながりができる中で、サツマイモの苗を提供していただけることになったのがきっかけで話が進みました」。

各地から提供してもらったサツマイモの苗を植え、イモを育てる土には北海道標津町の人工腐植土を入れ、福岡県の後藤酒造で芋焼酎を作っています。

大正大学キャンパス(豊島区西巣鴨)でもイモを育てています

今後、芋焼酎の生産本数を増やすためには、都会の人々が屋上でたくさんイモを育て、北海道では腐植土を作り、九州で焼酎を醸造するなどネットワークの広がりが必要です。
「日本中でイモに携わる人たちがつながること、“イモジネーションをイマジンする”のが銀座芋人プロジェクトの目的です」と田中さんはいいます。

銀座の真ん中でミツバチを飼うという都会の遊び心が、人と人とをつなげ、地域おこしにまで広がりを見せています。予想を超えて大きく広がったプロジェクト。銀座を飛ぶミツバチが運んできてくれたのは、ハチミツだけではなかったようです。

銀座ミツバチプロジェクト

http://www.gin-pachi.jp/

参考
※1 蜂蜜をめぐる情勢(農林水産省)
http://www.maff.go.jp/j/chikusan/kikaku/lin/sonota/pdf/meguji_youhou_2015_10.pdf

  • LINE
  • twitter
  • facebook
  • Google+
  • Hatena
  • Pocket

関連記事

カテゴリー一覧