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秋なすは嫁に食わすな?なすの旬はいつなのか

秋なすは嫁に食わすな?なすの旬はいつなのか

2017年09月25日

なすに関することわざはたくさんありますが、知名度が高いものはタイトルにもある「秋なすは嫁に食わすな」ということわざではないでしょうか。「秋なすと言うけれど、夏に食べているなすとは違うの?」と疑問に思われた事はありませんか。なすの旬がいつなのか、なすの栽培方法と合わせて解説します。

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なすの旬は秋?それとも夏?

答えから言ってしまうと、どちらも旬になります。これには、なすの栽培方法が関わってきます。元々なすの原産地はインド辺りとされており、熱帯が適地となる植物です。なすは温帯である日本では一年草で、冬を越す事ができません。ですが、原産地のインドやその周辺のタイやビルマなどでは多年生で丈も2メートル程度と大きくなります。また、日本のなすは「野菜」なので草の仲間の扱いですが、熱帯地域の物は茎が硬く、草と異なり茎の中に空洞がありません。

地域によって異なるナスの形質

日本でのなすの栽培の歴史は古く、奈良時代には栽培方法や漬物の作り方が「延喜式」に記されています。古代に日本に渡ってきた後、多年生の植物が温帯の気候に適応した結果一年草となった他にも、なすは地域毎に適応し特徴のある「地域種」を多く持っています。

比較的原産地に近い気候の九州では、中国経由から入ってきた「大長なす」という、実の長さが40cmから45cmほどの大変長いものが作られていました。それが北上していくに連れて長なす・長卵形なす・卵形なす・丸なすという風に身の丈が短くなった物があらわれます。夏も冷涼な東北に至っては「小丸なす」という10gから20g程度のミニチュアのようなかわいいサイズのなすもあります。

なすが日本に入った道筋は主に、中国・朝鮮半島・東南アジアの3つのルートがあったと考えられており、渡来までに経由した地域によっても特徴が異なります。「米なす」という大きななすがありますが、これはアメリカのなすである「ブラックビューティー」という品種を日本で品種改良したためアメリカ(米国)の品種である、という意味で「米なす」と呼ばれています。

なすの大きさと品種

なすの種類の代表的な物は以下のようになります。

ここにあげたのは、なすの種類のごく一部です。この他、果皮が緑の「青なす」や真っ白い「白なす」も数多く種苗として流通しています。なすは江戸時代、人気のある野菜の1つでした。初夢の「一富士二鷹三茄子」という言葉の中に入っている「なす」の意味は、当時既に確立していた温室栽培で作ったなすを寒いお正月に食べる贅沢をしてみたいという希望を入れたものという説もあります。

どうしてなすの旬は2回あるのか

現在では、ハウス栽培で年中なすが作られています。露地物の場合、奈良県で作られているサラダなすのように4月下旬頃から食べられる極端な早生もありますが、大体のなすは6月頃から9月頃が旬となります。ちょうど初夏から初秋にかけてが、なすの旬です。と言っても6月から9月までずっと同じなすの株から収穫し続けるのは困難です。なすの株を気温が高い盛夏の時期に一度休ませる「更新剪定」という方法をとると、涼しくなる初秋頃に株が元気を取り戻してまた多く実をつけ始めます。

この方法は梅雨明け頃に一度なすの株を大きく切り戻し、根も少し断つ事で暑い時期に大きな株を維持させる事で、なすにかかる負担を減らす方法です。こうする事で暑い夏の間、大きくなった株を維持する事で株が疲れず、また台風時期に伸びきった茎が徒長して倒れるなどのリスクも軽減する事ができます。

切り戻し前のなすが夏の旬で、暑さに対抗するため、皮が若干厚めです。それに対し、切り戻し以後に実るいわゆる「秋なす」は、若干実が小振りのしまった形になりますが、実も皮も柔らかく味もうま味を増しておいしくなるのです。

夏になすを食べる意味と「嫁に食わすな」の真意

秋になすがおいしくなるのは、気候が落ち着いた頃に実るからです。夏の気候は熱帯出身のなすにとってもつらい物であるため、夏の間は実を付けるのが精一杯でアミノ酸などのうま味を充実する余裕がないためです。味の点では、秋なすに軍配があがるのですが夏のなすを食べる事は体にとって意味があります。

「秋なすを嫁に食わすな」という言葉の意味は幾つか説があります。「おいしいから嫁に食べさせるのはもったいない」という意地悪なものと「体を冷やすから良くない」というもの。どちらの意味も間違いではありません。夏なすより秋なすがおいしいのは先に書いたとおりです。ことわざの意味の二つ目「体を冷やす」についてですが、なすは漢方の考えでは、体を冷やす効果があると言われています。

なすは体を冷やす?

科学的な視点からその意味を考えると、なすには利尿効果のある「カリウム」が多く含まれます。尿が排出される時、体の熱も奪うので体の内側にこもった熱を排出する効果の他、カリウムは体から過剰な塩分を排出する効果もあるため、血圧を下げます。血圧が下がると全身の血液の流れがゆっくりとなるため、体温が上がりにくくなるのです。なすはこの2つの効果で体を冷やすというより体温を上がりにくくするのです。

夏の間は体を労るためになすを食べるけれど、気候が落ち着いてからもなすはおいしいので、食べ続けるとバランスが悪い。そんな戒めの意味が込められているのかもしれません。

なすの栄養価

なすは水でたんぱく質や熱量の元になる糖質はほとんど含みませんので、体をつくったり動かしたりするのに必要な栄養はありません。代わりにカリウムや皮の色素などに抗酸化作用のあるポリフェノールを含むなど、体の調子を整える効果を持っています。なすの薬効としてよくあげられるのは以下の通りです。

・食あたり

・のぼせ

・高血圧

・動脈硬化

・眼精疲労

これらの効果の多くは、カリウムやポリフェノールで期待されるものとほぼ同一なので、昔の人は経験上からなすの効果を知っていた事がわかります。この他、なす全体で食物繊維と水分を含んでいる上にカロリーが低いので、積極的に食べる事で便秘の改善にもつながります。

米の作柄の予測にも使われていたなす

なすは古い時代に渡来したとはいえ、日本人に非常に好まれています。秋なすと嫁のことわざ以外にもなすの入ったことわざは多く、いかに日本人の暮らしに溶け込んだ野菜であるかという事がうかがい知れます。

なすのことわざには米にまつわる物が少なからずあり、農家によってはなすと米が関わることわざが伝わっている所もあります。これは、なすの原産地と米の原産地の気候が似通っているため、なすの生育具合で、ある程度の米の作柄の予想が立てられていたからです。

・なすの豊作は稲の豊作→なすが順調に育つ気候であれば稲にも適した天候であることから

・初なすの皮が厚ければ米の不作→なすは米と同様、成長のタイミングで水分を多く必要とし、水が不足すると皮が厚くなるため干魃気味である事への警告とした

・なすの実がかたくておいしい時は凶作→こちらも水分が足りていない可能性の示唆

 おいしい上に主食の作柄の予想が立てられる利点が、なす作りが盛んになった一因かもしれません。露地物の秋なすは初秋の自然がもたらしてくれる恵みです。体を温める効果があるとされる生姜などを薬味にして、旬の味覚を楽しんで下さい。

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