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紫色には栄養がある! おいしいナスの産地と品種【野菜ガイド】

連載企画:野菜ガイド

紫色には栄養がある! おいしいナスの産地と品種【野菜ガイド】

ナスは奈良時代から栽培されていたといわれていて、日本でも馴染みの深い野菜です。焼き物、煮物、揚げ物、炒め物、漬物など様々な料理に利用できることから、多くの方に親しまれています。今回は、鮮度の良いおいしいナスの見分け方、保存方法、下ごしらえ、品種などについて紹介します。

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地方品種が多いナス

ナス

ナスはナス科ナス属の野菜です。日本では奈良時代から栽培されていたと言われています。現在でも個性的な地方品種が多く残っています。たとえば関東地方の卵形、東海・関西地方の長卵形、北陸地方や京都府の丸ナス、九州地方の大長ナスなどがあります。これらは地域の郷土料理にも使われ、品種によって漬物や各料理に使い分けられています。

形や大きさもさまざまなナスですが、主流は栽培しやすく用途の広い長卵形です。近年では生食可能な水ナスや、ヨーロッパ産のカラフルな品種も出回っています。特にイタリアンやフレンチなどでよく使われます。

ナスの歴史

ナスの原産地はインド東部で、現在でもインドではカレーなどによく使用されています。日本へは中国から伝わったと言われています。奈良時代の書物である「正倉院文書」にナスを献上した記録があることから、奈良時代には栽培されていたと考えられます。

また徳川家康が好んで食べていたといわれます。そのため献上用として、寒い時期でも加温して作ることのできる促成栽培技術が既に確立していたと考えられています。

鮮度の良いナスの見分け方

ナス

皮に光沢とハリがあり、色ムラがないもので、ガクの下が白いものを選びましょう。ヘタの切り口もよく見てみて、新しいものを選ぶのがおすすめです。またトゲのある品種は、トゲがとがっているものが鮮度の良いサインです。

ナスの保存方法

ナスは10度以下で呼吸作用がほとんど止まり、皮がやわらかくなったり褐色になったりします。5度以下では低温障害を起こしてしまうので、常温で保存するのがおすすめです。冷蔵庫の野菜室に入れる場合は、紙袋や新聞紙で包み冷えすぎないようにしましょう。また、乾燥によってしなびてしまわないよう注意が必要です。

ナスの栄養

ナス

ナスの実のほとんどは水分ですが、カリウム、ビタミンKなどが含まれています。またナスの紫色の色素に、ポリフェノールの一種であるナスニン、クロロゲン酸が含まれています。コレステロール値を下げる働きが期待できます。

さらにルチン、ケルセチンのほか、食物繊維、ビタミン、ミネラルも含まれています。

ナスの旬と時期

ナスの産地には、高知県、熊本県、群馬県などがあります。ナスの本来の旬は夏から初秋です。高知県産のナスが10~6月、熊本県産が11月~6月、群馬県産が6~10月に主に出荷されるというように、産地リレーにより一年を通じて食べることができます。

ナスの下ごしらえ方法

ナス

ナスはアクが強いので切ったらすぐに水にさらし、5分ほどつけておきましょう。水に浮きやすいので、落し蓋をするのがおすすめです。水が紫色になることがありますが、これはナスの果皮に含まれる「ナスニン」という色素が溶けたものと考えられます。特に問題はありません。

ガクの下の部分はナスが一番新しく成長した部分です。やわらかく甘みがあり食べやすいので、なるべくヘタだけ切りましょう。丸ごと使ったり、大きく切ったりする場合は、皮に3~5ミリ間隔で浅く切り込みを入れると味がしみこみやすくなります。水にさらす前に切り込みを入れた場合は、切れ込みにしみた水分もしっかり拭っておきましょう。

中華料理の場合

中華料理でナスを使う場合は、切ったあとに高温の油にくぐらせる「油通し」でアクを抜きましょう。油通しをすると皮の紫色が鮮やかになり、見た目にも美しくなります。カレーの具に使う場合もおすすめです。

油でいためる場合

ナスは油を吸いやすい野菜です。ソテーにする場合は油を一度に入れず、キッチンペーパーなどを使って、少しずつフライパンに塗るようにしましょう。こうすると油分を抑えることができます。

焼きナスにする場合

焼きナスにする場合は、尻の部分に割り箸を差し込んで穴を開け、皮が真っ黒になるまで強火で焼きましょう。

ナスの種類

ナス

大長ナス

長さが30センチ程になる細長いナスです。九州地方で多く栽培されています。身がやわらかく、加熱するとなめらかな食感になるのが特徴です。焼きナス、炒め物、煮物などにおすすめです。

米ナス

アメリカのナスを品種改良した大型の品種。加熱調理すると、トロッとした味わいを楽しめます。

赤ナス(ひごむらさき)

赤紫色の皮をしたナスです。25センチ以上のずんぐりとした姿に成長します。アクや種が少なくやわらかいので、焼きナスがおすすめです。

青ナス

緑色のナスです。加熱すると身がやわらかくなりますが、色が変色しやすいので高温で調理しましょう。ソテーや田楽に向いています。

白ナス

イタリアの品種で、小ぶりで白い皮が特徴です。加熱するとねっとりとした食感になりますが、皮は変色します。日本では緑色のナスのことを「白ナス」と呼ぶ地域もあります。

水ナス

絞ると水が滴るほど水分が多いナスです。主に漬物に使用されますが、鮮度の良いものは刺身にして食べることもあります。大阪の泉州水ナスが有名です。

萩たまげナス

山口県の田屋ナスの中で、500グラム以上のものを指します。皮が薄く、身がやわらかいのが特徴。焼きナスや田楽など、加熱調理するのがおすすめです。出回り時期は5月下旬~7月中旬です。

ナス

絹かわナス

絹のようにやわらかい皮から名付けられました。身もやわらかいので、浅漬けなどに最適。愛媛県西条市で栽培される地方品種で、出回り時期は6~10月です。

小ナス

名の通り小さいナスです。種が少なく皮がやわらかいので、皮ごと漬物にされることが多いです。様々な地方品種があります。

寺島ナス

小ぶりの卵型で黒紫色をしたナスです。江戸東京野菜の一つで、主に漬物に利用されています。出回り時期は6~11月上旬。

ゼブラナス

白と紫(赤紫色)の縞模様が入った、イタリアの品種です。身は硬めですが、加熱するとトロッとした食感になるので、ソテーや煮込み料理に向いています。

京しずく(リスターダ・デ・ガンディア)

イタリアの大型品種です。赤紫色と白の縞模様が入るのが特徴で、京都府立農芸高等学校のオリジナルブランドです。ソテーや煮込み料理がおすすめです。出回り時期は7月下旬~9月末です。

ナスは品種が多く、様々な料理に応用できる野菜です。ぜひいろいろな料理を試してみてはいかがでしょうか。

昔から日本人に馴染みのあるナスですが、近年では海外品種なども手に入るようになってきています。料理や食べる時期にあわせて、さまざまなナスを選んでみましょう。

参考:「野菜と果物の品目ガイド~野菜ソムリエEDITION」(農経新聞社)

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