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生産者の試み

農家の畑を毎日訪れる フレンチシェフに聞く「信頼できる農家」とは

農家の畑を毎日訪れる フレンチシェフに聞く「信頼できる農家」とは

2017年09月27日

「ミクニヨコハマ」の元料理長兼支配人で、横浜のフレンチレストラン「ペタルドゥサクラ」のオーナーシェフでありながら、毎日のように農家のもとをまわって新鮮な食材を集め、農家との深い信頼関係を築いている難波秀行(なんばひでゆき)さん。八百屋から食材を仕入れることも出来ますが、なぜ農家に直接足を運ぶのでしょうか。難波さんの食材にかける思いや、農家との絆についてお話をうかがいました。

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農家と料理人は刺激しあえる関係

難波さんは、フランスの三ツ星レストランでフランス料理を修行したのち帰国。日本におけるフランス料理の巨匠、三國清三(みくにきよみ)氏の抜擢によって、レストラン「ミクニヨコハマ」を任されました。そして2014年12月、横浜市に自身がオーナーをつとめるレストラン「ペタルドゥサクラ」をオープンさせた正統派フレンチをけん引する存在です。

フレンチシェフの難波さん(一番右)

難波さんのレストランがある横浜市泉区は、川や湧き水などの水資源が豊富で、緑地や森が残る自然豊かな区。横浜市内でもトップクラスの農地面積を誇ります。駅周辺は住宅が建ち並んでいますが、古くから営農している農家や酪農業、養鶏場もあります。

都市生活を送る消費者のすぐ近くに、農作物の作り手がいるのがこのエリアの特長です。だからこそ、難波さんは自身のレストランをオープンする際この地を選んだと言います。

難波さんは、ほぼ毎日数件の農家を自家用車でまわり、食材の仕入れをしています。ランチもディナーも営業し、食にまつわるイベントも開催するなど多忙な日々を送っています。業者から野菜を仕入れる方が効率的ですが、時間も手間もかけて、自らが農家に出向くスタイルをなぜ貫いているのでしょうか。

「業者さんに頼んで仕入れる食材もありますが、地元の農家さんと直接会うことで得られる情報が貴重なのです。先日、農家さんが販売に困っていた農作物がうちの店で使えることがわかりました。また、『畑から勝手に採っていいよ』と言われる場合も多く、自分が描く料理のイメージに合わせて野菜を選べるので助かります」(難波さん)。

農家と料理人は、双方で刺激しあえる関係だと難波さんは言います。
「自分が考えているメニュー構想に基づいて、農家さんに作って欲しい野菜をリクエストすることもあります。また、農家さんが作った野菜をもとに、私がメニューを考えることもあります。お互いに刺激しあう関係で、日々学ぶことが多いですし、直接畑に出向いたり話をすることで、料理のヒントをたくさんもらえるのです」。

難波さんのレストランのメニューには、「○○区○○町、○○さんのお米」というように、生産地と作り手の名前が記載されています。農家と食材を尊重する難波さんの姿勢に共感するお客様からも、このメニューはとても喜ばれているそうです。

難波さんのレストランのメニューには、作り手の名前と畑の所在地まで掲載しています

料理人から見た「信頼できる農家」とは

難波さんが信頼する農家とはどのような方なのでしょうか。

「理論と実践の蓄積を元に、農作物を育てている農家さんを信頼しています。同じ時期に植えた野菜でも、収穫時期に応じて土の深さを変えたり、同じ土で違う野菜を作って甘みを強く出してみたり、土作りの工夫を重ねる農家さんもいます。見た目は同じに見える野菜でも、栄養失調、栄養過多などによる障害を見抜いたり、徹底したデータ管理の元、野菜の栽培をしている方もいます。そういった農家さんの野菜は、エネルギーや生命力を直感的に感じます」。

農作物を育てる農家と料理をするシェフ。直接仕入れによって、互いにプロとして良い関係が築けたと難波さんはいいます。

横浜の地産地消を支える「志」

横浜で育てられた野菜を横浜で食す。地産地消を実践する難波さんにとって、地元農家の存続も大切な使命のひとつです。

「ペタルドゥサクラのオープン以来、野菜は農家さんの言い値で買い取っています。値段は生産者のプライドですから、値引きはお願いできません。量販店の価格競争に生産者を巻き込むのではなく、その野菜の価値を引き出し、お客様を満足させる料理として提供する。それが私の役割だと思っています」。

難波さんのように、食材と真摯に向き合いながら農家と消費者をつなげる料理人の存在は、地産池消だけでなく、本来の食文化に新たな気づきをもたらしてくれることでしょう。

関連記事:フランス料理が教えてくれた地産地消と食育、食材への熱き思い

ペタルドゥサクラ

横浜市泉区弥生台5-2
045-443-5876
http://petaledesakura.com/

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