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「佐渡米ブランディング成功の裏側」佐渡市が抱える地域問題

「佐渡米ブランディング成功の裏側」佐渡市が抱える地域問題

最終更新日:2018年01月29日

JAが率先して、自然に優しい農業の取り組みを行う新潟県佐渡市。米の食味検査で、佐渡米の旨味指数は大変高く、「冷めてもおいしい」と好評です。地域全体で品質の底上げに成功した事例とされている一方で、地方ならではの人口減少や高齢化といった悩みも抱えています。佐渡島における米作りや農業、地域問題の関わりについて、JA佐渡の渡部学(わたなべまなぶ)さんにお話をうかがいました。

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佐渡島で減農薬される「佐渡米」

佐渡米の特徴を教えてください。

「佐渡市(佐渡島)はコシヒカリを代表とする米どころです。新潟県の中でも比較的夏は涼しく、冬は暖かいため、稲がゆっくりと時間をかけて実ると言われ、食味の良さが特長といえます。

佐渡米を好んでくださる方の多くが「噛むほどにおいしい」と口にされるのですが、それは科学的にも証明されました。食味比較では、佐渡米の甘みや塩みはそれほど高い数値ではないのですが、旨味の数値は非常に高くでました。

甘みは味覚のなかでも口に入れたとき先に感じる味覚、旨味は後から感じる味覚と言われていますので、食べている間に旨味がどんどん感じられることを意味しています。パッと目立つ味というよりも、嚙み締めるおいしさが特長といえるかもしれません。柔らかさと歯ごたえのバランスも良く、「冷めてもおいしい」と評価していただけるのもこういった理由だと考えられます。

派手さはなくても、じわじわとおいしさが広がる米です。地元で長く米作りをしている農家が多く、高齢化と言われる一方で、長く作り続けている分だけ安定したおいしさが出せていると言えます」。

佐渡米は他の新潟米のなかでも存在感が確立されてきましたね。

「かつての台風被害をきっかけに、島全体で減農薬栽培に取り組んできました。また、佐渡市というひとつの市でありながらも、離島という地理的な区切りを持った米の産地は全国的にも珍しいため、まじりっけのない「ピュア佐渡産」というのが伝わりやすかったこともあると思います」。

【関連記事】トキが佐渡島の農家をひとつに「佐渡米100%減農薬栽培」実現への道のり

高齢化問題を抱える佐渡島の現状

人口減少や農家の減少などの問題はあるのでしょうか。

「現在5万5,000人が暮らす佐渡島ですが、高齢化が進み、65歳以上の高齢者が過半数を超える「限界集落」も増えてきました。農家の人口も毎年100名前後減っています。データ上、作付面積がさほど減っていないのは、余力のある農家が集約して作付けしているからです。しかし、余力を残した農家もあと数年で限界を迎えるのが現実です。

佐渡の販売用の作付面積は4,000ヘクタールほどです。海外の大型農業を基準にした場合は、数十人で管理できる規模といわれており、田んぼを集約することも一つの案としてあります。しかし、田んぼを集約すると、当然ですが小さい田んぼが存在できなくなります。平野部は大規模化してもやっていけるかもしれませんが、中山間地など小さな田んぼでしか存在できない場所もあるんです。

環境問題の観点から考えても、洪水や土砂崩れなどの災害を防ぐなど、水田は水田のまま維持した方がいいといわれています。2017年は50年に一度の大雨で崩れた土地もありましたが、崩れるところは大抵、新しく道路などにした場所や、転作で作付けしていない場所ばかりでした。長い間田んぼとして作付してきているところは力強く残っていますし、作付けされた稲も雨風に負けない強さがあるんです。

生活環境を守るという意味でも、『小さな農家』こそ田んぼのままを維持してほしいと願っています。佐渡米や米そのものの価値を保つためにも、稲作を続けていくこと自体が非常に大切なことです。価値を高めて、安定した供給を保ってもらう。それを適切な価格で販売して農業収益を保つことは、わたしたち農協の役割でもあります」。

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