お米マイスターの資格
日本米穀小売商業組合連合会の資格制度
マイスター(MEISTER)とはドイツ語で巨匠、師匠の意味。ドイツでは各分野の職人の技術を伝承していくために各組合組織で「マイスター制度」を設け、厳格に運営されています。
これにならって、日本米穀小売商業組合連合会では2002年からこの資格制度を開始。現在、全国で4,000人以上のお米マイスターが活動しています。
ちなみにこの名称にはマイ→米、スター→星で、“米に明るい人”を表現、という洒落の意味も。国家資格ではないものの、歴史ある団体(1962年設立)の、信頼できる資格制度と言えるでしょう。
応募資格
お米マイスターは誰でもなれるわけではありません。まず資格認定試験を受けるための条件が3つ規定されています。
1.米穀の届出事業者のうち小売業を営む者、およびその家族、従業員。
2.米穀小売業に5年以上従事している。
3.各都道府県の米穀小売組合に加入している。
早い話、プロのお米屋さんです。その他、食育などの分野で、普段からお米の販売促進や文化伝承につながる活動をしており、日米連理事長が特に必要と認めた人が受験できます。
お米マイスター全国ネットワーク
http://www.okome-maistar.net/about_5.html
認定講座・認定試験
資格習得のためには以下の内容の認定講座を受講し、その後の認定試験を受験します。
Lesson 1 米の品種特性(来歴)と新形質米について
Lesson 2 精米技術について
Lesson 3 米の保存と保管技術
Lesson 4 炊飯特性と炊き上がり・食味チェック、ブレンド特性
Lesson 5 店内レイアウトと接客マナー
Lesson 6 お米の栄養学/米の表示
朝から1日これら6つの講座受講後、最後に試験が行われ、後日、合否が通知されます。
燦然と輝く五つ星お米マイスター
三ツ星から五ツ星へ
「これくらいだったら、1年くらいお米屋さんをやったらわかりそうだなぁ。そんなにすごい資格なんだろうか?」と疑問を抱いたあなたは間違っていません。
確かにここまでは知識力なので、普段から真面目に勉強している人なら割と簡単に取得できます。ただし、これは“三ツ星”の資格。この三ツ星お米マイスターの資格を取得した人が次にめざすのが、“五ツ星お米マイスター”です。
超難関の五ツ星認定試験
このプラス二つの星の輝度は特等星級です。五つ星お米マイスターに求められるのは、広範な知識力に加えて、奥深い技術力。たとえば玄米を判別する能力、炊飯クレームに対応できる能力、お米の品種や成分などの説明能力など。これらの内容が、試験官と1対1での口答回答方式で行う認定試験で問われます。
また、それだけでなく、試験当日までに、“お米のブレンド技術、精米技術”を判断するための課題が与えられ、最後にはご飯の食味を判別する”食味官能試験”も実施されます。
その驚くべき能力
厳しい試験に合格した人だけが得られる超難関なだけに、三ツ星から五ツ星に昇格できる人は1割足らず。まさしく稀少な資格と言えます。
実際、筆者の知る五つ星お米マイスターは、500種類におよぶお米の食体験を持ち、それぞれの形状や手ざわり、炊いたときの味・香り・食感などのデータを脳内にインプット。それらを自在に引き出して銘柄の分からないお米を識別したり、ブレンドの割合を調べたり、他のお米と比較検討したりするというのだから驚くばかりです。
五つ星お米マイスターの活躍に注目
技能維持・向上のために
どんな職業もそうですが、一流のプロフェッショナルと認められた技能も、メンテナンスを欠かすとすぐに劣化してしまいます。
微妙なお米の味覚や食感を自分の舌や鼻で探知するのも一種の身体能力。維持し向上させる必要性はアスリートなどと同じです。前述の五つ星お米マイスターも日々のスキルアップは欠かせないと話します。
朝ごはんがスキルアップの場
その人の場合、毎日の朝ごはんは実験現場。いろいろな米を試食した感想を、味・食感など、多岐の項目に分けて記録しています。そうした生活習慣を続けるうちに、体感したお米のデータを自然と引き出せるようになったとのことです。
そして、その能力を活かして、お米に関するセミナーやイベントで講師として活躍。自分のホームページ・ブログのほか、メディアを介した情報提供も積極的に行っています。
毎日の商売を活動のベースとして
他にも全国各地でお米マイスターは、食育に関する催しへの参加、生産者との交流、メディアへの情報提供など、さまざまな形で活動しています。しかし、それらの活動のベースにあるのは“地域のお米屋さん”としての毎日の商売です。
日常的にひとりひとりのお客さんと交わすやりとり、お米に関する相談のひとつひとつが、米食の広がり、そして米文化の伝統を守るミッションへと結びついているのです。
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