埼玉県川越地方コエドブルワリー 農業×ローカルのビール造り – マイナビ農業

マイナビ農業TOP > 生産者の試み > 埼玉県川越地方コエドブルワリー 農業×ローカルのビール造り

生産者の試み

埼玉県川越地方コエドブルワリー 農業×ローカルのビール造り

埼玉県川越地方コエドブルワリー 農業×ローカルのビール造り

最終更新日:2018年01月25日

埼玉県の川越地方は、サツマイモの名産地です。その地に所在するコエドブルワリーは、世界で初めてサツマイモのビール「紅赤-Beniaka-」を醸造しています。地元産を焼き芋に加工して使用した、芳香で味わい深いビールは、定番商品として現在も日本全国、そして世界に向けて販売されています。今回は、紅赤の誕生と有機農業を専門とする運営会社の6次産業化との関係、地元出身ミュージシャンや農家とコラボレーションする醸造展開について株式会社協同商事 コエドブルワリー代表取締役兼CEOの朝霧重治(あさぎりしげはる)さんにお話をお聞きしました。

  • LINE
  • twitter
  • facebook
  • Google+
  • Hatena
  • Pocket

6次産業化としてのクラフトビール造り

コエドブルワリーは、有機農業を専門とする株式会社協同商事のビール醸造部門です。協同商事は、産地直送の有機野菜販売から始まった会社で、まだビール醸造部門がない頃から6次産業化を目指していました。6次産業とは、第1次産業(農業や水産業など)が食品加工や流通販売まで業務展開することをいいます。ヨーロッパの先進国型農業では、この6次産業化が進んでおり、例えばブドウを畑で育てるだけではなく、そこからワインに加工して付加価値を生み出しています。

同じ畑で同じ農作物を植えていると、土地がやせてしまい、害虫が発生しやすくなる連作障害が起こります。そこで昔から川越地方では、麦をはじめとした様々な植物を植える事によって土地を回復させてきました。これがいわゆる輪作です。その後、1980年代後半になってくると輪作の緑肥のために植えている大麦を有効活用しようと、協同商事は大麦が主原料となるビールの醸造立ち上げに向けて動きだしました。

ところが、海外には持ち込んだ麦を麦芽にする工場があったものの、日本にはまだ存在していませんでした。自社で用意するにはあまりにも時間とお金がかかり過ぎるため、検討を重ねた結果、地元の連作障害対策の大麦の有効活用に関しては一旦あきらめることになりました。

その後、1994年の酒税法改正によって日本のビール醸造における規制が緩和されました。年間最低製造量が2,000klから60klに引き下げられたのです。この改正でハードルが一気に下がり、ビール醸造に着手する企業が増加しました。これにより、この地域でも自分達がビール醸造に着手せずとも、他の企業が参入するのではないかと考え、ビール醸造部門をつくる事自体を中止しようと思ったそうです。そこへ新たに活用したい地元産の農作物が現れました。

 コエドブルワリーの定番ビール紅赤-Beniaka-の誕生

契約農家を日々訪れる中で、地元農家が規格外のサツマイモについて頭を悩ませていることを知りました。そのとき三芳町では、サツマイモ栽培が300年の伝統を誇り、30件ほどの農家が育てていました。当時は味に関係なく、サイズや形が規格外であれば売り物にならず、およそ4割のサツマイモが廃棄される運命にありました。ビールの魅力に魅せられ始めていったこともあり、地元のサツマイモを使ったビールを造ることで、大量廃棄されてしまう規格外のものをなんとか有効活用したいと思ったのです。

そこで、一度は手を引こうと思っていたビール醸造部門設立を続行し、醸造免許(紅赤は副原料を使用するため発泡酒免許)を無事に取得しました。そして、コエドブルワリーの原点となる世界初のサツマイモを使ったビール「紅赤-Beniaka-」を誕生させたのです。

副原料として使用されるサツマイモは規格外とはいえ、すべて栽培農家から買い取り、農家にとっても大事な収益源となっています。

このビールの醸造方法は、サツマイモを焼いて一次処理をした後、ペースト状にし、冷凍保存をします。足が早い農作物のため、そのまま保存することが難しいのですが、焼く事によって豊かなカラメル香と甘みをつくることを実現し、冷凍技術で長期保存を可能にしました。元々農業を専門としていたために、持っていたこの技術が「紅赤-Beniaka-」を誕生させるために大きく貢献しました。

こうしてできた「紅赤-Beniaka-」は、食事とのペアリングも楽しめ、焼き鳥やうなぎの蒲焼き、照り焼き、シンプルに塩や胡椒で味付けをしたソテー、そしてデザートとの相性も良いビールです。その人気は日本国内だけでなく、世界にも広がっています。

1 2

  • LINE
  • twitter
  • facebook
  • Google+
  • Hatena
  • Pocket

関連記事

カテゴリー一覧