糖度が高くおいしいミカンが次々誕生
手で皮をむいていつでもどこでも食べられるミカンは、私たち日本人にとって最も身近なフルーツでミカン科ミカン属に分類される果物です。現代の量より質を求める傾向に合わせて、各産地では糖度の高い種を導入し、品質向上を測っています。高糖系品種とは、糖度が12度以上、クエン酸0.9パーセント以下のものを指し、「青島」「寿太郎」「金峰」「十万」「大津4号」「南柑20号」「紀の国」などがあります。また品質の良いミカン作りのためには、品種だけではなく、適地で栽培管理をすることも重要だとされています。
鮮度の良いおいしいミカンの見分け方
鮮度の良いミカンを見分けるポイントとして、まずはヘタを観察します。ヘタが青くて小さいものが鮮度の良い証拠です。古い場合はヘタが枯れています。ミカン全体の形は、腰が低く扁平なものを選びましょう。表面はつやつやしていて色が濃いものが新鮮です。また、皮が薄く、皮が浮いていないものを選ぶようにしましょう。皮がういているものは「浮皮」と呼ばれる現象で、果肉の水分を皮が吸い取った結果に起こります。
ミカンの保存方法
ミカンの保存方法は風通しの良い冷暗所で保存するようにします。よくダンボール箱で保存している方がいますが、その場合はダンボールの蓋は開けておきましょう。長期に保存したい場合は別の箱に分け、新聞紙をかぶせて冷暗所へ保存しましょう。ミカンを長く保存するときには、重ねすぎないように注意。ハウスみかんなど、夏の時期のミカンは腐りやすいので、大量に購入せず、すぐ食べる量だけ買うようにします。冷蔵庫で保存する場合は冷やし過ぎに注意します。
箱の中で保存したもので、一部のミカンだけ腐ることがあります。その場合は腐ったミカンは速やかに排除し、腐ったミカンから出た「腐れ汁」が他のミカンについていないか確認しましょう。腐れ汁には腐敗菌が含まれているので、他のミカンも腐らせてしまう原因になります。腐れ汁が表皮についている場合は水洗いすれば問題ありません。
ミカンの旬と時期
いわゆる温州ミカンの旬は冬の時期、11月から翌年の2月です。それ以外の時期に作られるハウスミカンは見栄えも良く贈答用にもオススメ。ハウスミカンの旬は、早生のものが4月から7月、後期加温のものが7月から9月となっています。
ミカンの栄養と機能性
人間の体では作り出すことができない栄養素であるカロテンを多く含みます。その数値はなんとトマトの2倍以上です。カロテンは体内に入ると必要に応じてビタミンAに変換されるという特性を持っており、ミカンは冬場の大事なピタミン補給です。
ビタミンAは皮膚や粘膜を丈夫に保つ働きがあるため、美肌効果が期待できます。
ミカンを剥いた時にでる膜や白い筋には、ペクチンなどの食物繊維が豊富に含まれており、血糖値の上昇を抑える働きがあると考えられていますのでぜひ食べるようにしましょう。
また、1日に必要なビタミンCはミカンを3個食べれば摂取することができます。
ミカンをおいしく食べるワンポイント
夏の暑い時期や、冬のコタツで食べるのにオススメなのが冷凍ミカン。ミカンを皮ごと冷凍するだけで簡単にできます。食べるときは自然解凍を行い、半解凍ぐらいで食べればシャーベット状で楽しめます。
ミカンの豆知識
たくさん食べると手が黄色くなる?
ミカンをたくさん食べると手が黄色くなるのは、ミカンに含まれるβクリプトキサンチンが蓄積するためで、病気ではないので何も心配はいりません。
ミカンは手で揉むと甘くなる?
ミカンを食べる前に揉むと甘味を感じやすくなるのは本当です。手で揉むことで果肉にストレスがかかり、酸が減少するので甘味を感じやすくなるのです。ただ、揉んでも糖度が上がるわけではありません。
ヘタは小さい方がおいしい?
ヘタの小さいものは、木からミカンの果実に養分を送る管が細い証拠です。管が細いと、ミカンの果実に入った養分が木に逆流しないため、おいしいと言われています。
ミカンの表面にキラキラしたものがついている時は?
皮膜剤のフルーツワックスが剥がれたものだと考えられます。食べても消化されずにそのまま排出されるので、特に問題はありません。
夏は冷凍ミカン、冬にコタツを囲んで…私たち日本人の生活に古くからあるミカンは日々進化を続けています。最近のミカンは糖度が増してグッと甘くなっているので、久しぶりにミカンを食べるとびっくりするかもしれません、ぜひお試しください。
参考:「野菜と果物の品目ガイド〜野菜ソムリエEDITION」(農経新聞社)