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【第三回】誰でも働ける農場づくりに貢献するGAP

【第三回】誰でも働ける農場づくりに貢献するGAP

2017年11月21日

日本は少子高齢化による人手不足が深刻化しています。農業は最も影響を受ける産業の一つ。高齢化による問題が指摘される一方で、近年では若い働き手が増加しているという明るい話題にふれる機会も増えてきました。GAPの中でもJGAPの取組みが、今後の農業における雇用の確保や定着にどのように役立つのかを説明します。

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1.少子高齢化社会日本

GAP
日本人は、将来へ大きな不安を抱えています。高齢者は長生きすることによって自分が介護を受けなければならなくなるのでは、現役世代はデフレ経済のため、賃金が増えない中、自分の老後の年金が足りなくなるのでは、とそれぞれ不安に思いながら生きています。その背景になるのは、少子高齢化です。その少子高齢化により、日本経済は何も手を打たないと、経済規模が縮小しかねません。実際、宅配サービスやコンビニでは人手不足が蔓延して、サービスを縮小する事態となっています。

2.少子高齢化の農業への深刻な影響:高齢化と労働災害の多発

しかし、この少子高齢化の影響を最も深刻に受けているのは、農業でしょう。農業従事者の平均年齢がすでに66.8歳となっています。70歳近くになっても働き続けられる仕事だから素晴らしいなぁと思ってはいけません。むしろ、70歳になっても働き続けなければならないのは、若い担い手がいないからと考えるべきです。その結果、運動能力が衰えた作業者がトラクターなどの農機を使用中に地上に落下したり、車輪に巻き込まれたりして、亡くなったり、死亡したりするケースが増えています。就業人口10万人当たりで、作業中の死亡者数が多いのは、建設業(7.5人)ではなく農業(15.4人)なのです。こうして、農作業者の高齢化の影響で、今では一番危険な職業となってしまいました。また、一部の地方では、農業が外国人の不法就労先となっているようです。年老いた農業者だけでは、収穫の重労働を担いきれないし、若い働き手も農業以外の産業に従事してしまうので、外国人の手を借りざるを得ないという事情があります。こうした人手不足が深刻な農業は、日本経済の中で真っ先に消滅してゆく危機にあると言っても過言ではありません。

GAP

3.若者が就労先として農業を選ぶ動き

こうした危機に直面して絶望的な気持ちになりながらも、この危機から脱出するチャンスが見えてきました。一つは、ここ数年間、農業を就職先として選ぶ若者が少しずつ増えていることです。全国各地で行われている新規就農者フェアは盛況が続いています。また、全国の自治体が開く有機農業の勉強会も、幼い我が子を連れた女性が多く参加しています。

4.働く人を農業に定着させるGAPの役割

せっかく出てきた農業を救う希望の光を消してしまわないための手段として、GAPには大きな期待が寄せられています。第一回目にご紹介したように、GAPのうち、JGAPは、とくに、第14章「労働安全管理及び事故発生時の対応」で、農業に従事する作業者が作業中の事故で怪我をしないために、雇用主が防止策を取ったり(管理番号14.1)、怪我をしたりしたときの災害補償保険へ加入する(同14.5)ことを管理点としています。14章「労働安全管理及び事故発生時の対応」をまとめると、以下のようになります。

労働安全管理及び事故発生時の対応
その安全措置を取るためには、作業に使う機械を定位置に置いたり(同18.1「機械・設備及び運搬車両の点検・整備・清掃・保管」)、人体に有害な薬品などを倉庫に保管したりします(同24.4.1「農薬保管庫の管理」)。そのために、いわゆる5S(整理・整頓・清掃・清潔・躾)を守ることも基準としています((同20.3「整理・整頓・清掃」)。

GAP

5.JGAP認証農場での取り組み

JGAPを認証している農場の例を紹介しましょう。ご紹介する企業は、名古屋市内で2haの温室でトマトを栽培しています(上の写真)。農業資材販売企業グループの一員として、同社は年間約450トンのトマトを生産し、同グループの流通網や直売所などを通じて販売しています。ハウスでのトマト栽培以外にも、露地で玉ねぎやブロッコリーも栽培し、市民向けに体験農園も開かれ、地域住民との交流にも力を入れています。
「従業員4名しかいない当社でJGAPを認証することは大変なのでは、という不安はありました。しかし、認証してみて、JGAPが当社で働く人材を雇用し、長く働いてもらうのに役立っていることを実感しています」と語るのは、この企業の農場長です。同社では、1年間当たり35人がパートタイマーなどの雇用形態で働いています。主な働き手の近隣の主婦をめぐって、近くのショッピングセンターなどと、雇用面で競争が厳しいのは事実です。しかし、農業の素人でも安心して働ける農場として、十分な雇用を確保できています。広い農園では収穫用・栽培用の機械や道具がたくさん使われています。作業者がその機械にぶつかって怪我をしないように、また、すぐに機械を取り出せるように、機械を保管する場所を通路と分けて、使用後は必ずその場所に戻すようにしています。その際は、キーを抜いて、機械が動き出して、作業員に追突することがないようにしています(下の写真)。

GAP
また、同社では、JGAPを認証する前から、同グループでは5S活動が展開されていたり、農薬などの薬品は大量に購入して在庫するのではなく使用する量のみ購入することが徹底されていました。そうした意味で、JGAPで求められている基準点を満たすために多大な労力は使わなかったということです。
また、2020年に開催される東京オリンピック・パラリンピック向けに、同社のトマトを出荷するように公的機関から依頼があるなど販売面でも効果が出ているということです。また、同社ではJGAP認証農場マークのラベルをトマトのパッケージに貼って、消費者にもJGAP認証を認知してもらうようにしています。

6.スーパーでJGAP 認証農場マークを見つけてみませんか

読者の皆さんも、スーパーなどで購入されるトマトパッケージにJGAP認証農場マークが貼ってあるか探されてみませんか?もし、見つけられたら、そのトマトの生産者が安心な職場で働いていることに思いをはせてみてください。
 
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(文責)一般社団法人中部産業連盟 主席コンサルタント
JGAP指導員、ISO14001主任審査員 梶川達也

 
【関連記事はこちら!】
>【第一回】より良い農業生産を実現する取り組み GAPってなんだろう。皆さん、聞いたことがありますか?
>【第二回】動き出したHACCP義務化
 

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