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【第二回】動き出したHACCP義務化

【第二回】動き出したHACCP義務化

2017年10月20日

食品製造業にとって食品衛生管理は最も重要な項目です。その中で、HACCPやISO/FSSC22000などを認証する企業が増えており、行政でも、東京オリンピック・パラリンピックに向けてHACCP義務化の動きが出てきています。農産物と密接に関連する食品製造業の動向について、今回から隔月で6回にわたり解説していきます。

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品質管理

1.HACCP導入の義務化に向けて

食品企業にとって、最も重要なことは「食品安全」であることは間違いありません。食品の衛生管理へのHACCP(ハサップ:Hazard Analysis and Critical Control Point)の導入については、平成5年に食品の国際規格を定めるコーデックス委員会において、ガイドラインが示されてから20年以上が経過しました。HACCPは、先進国を中心に義務化が進められてきており、HACCPによる衛生管理は、日本から輸出する食品の要件にされるなど、今や国際標準となっています。
このような状況を受け、厚生労働省は、昨年より「食品衛生管理の国際標準化に関する検討会」において、HACCP制度化の枠組みについて検討を行い、昨年末に最終とりまとめを公表しました。これによると、食品関連の企業に対して、食品衛生管理の国際標準であるHACCPの導入を、段階的に義務化する方針を固めて、2018年度に食品衛生法改正法案提出を目指していることが明らかになりました。
HACCPは、1960年代にアメリカのアポロ計画の一環で開発された手法で、1973年にアメリカで低酸性缶詰の製造基準にHACCPシステムの考え方が取り入れられ、1993年にコーデックス委員会が「食品衛生の一般原則」の附属文書として「HACCPシステム及びその適用のためのガイドライン」を公表して世界基準となりました。
これらは食品の製造において、原材料の受け入れから、製品ができあがり、出荷までのあらゆる工程のなかで、微生物による汚染や異物の混入などの危害を予測し、危害の防止につながる特に重要な工程(重要管理点:たとえば加熱・殺菌、金属探知機による異物の検出など)を継続的に監視・記録する衛生管理のシステムのことを指しています(図1参照)。

表1HACCPとは
しかしながら、日本の食品製造業全体におけるHACCPの導入率は、農林水産省が平成26年におこなった「食品製造業におけるHACCPの導入状況実態調査」によると、HACCP導入済と導入途中の企業の合計は34.5%で、まだまだ低いことが判ります。日本でHACCPの導入が義務づけられる背景には、食品の輸出時に相手国からHACCPを求められるようになってきていることや、2020年の東京オリンピックに向けて食の安全をアピールする狙いがあったわけです。
厚生労働省が、HACCPを制度化するに当たっては、CODEXのガイドラインに基づくHACCP7原則を要件とする基準を原則としつつ、小規模事業者などには、弾力的な運用を可能とするHACCPの考え方に基づく衛生管理の基準による仕組み(一般衛生管理を中心)が適当と位置付けています。また、対象事業者は、フードチェーンを構成する食品の製造・加工、調理、販売等を行う全ての食品等事業者を対象とすることとなっています。
しかしながら、日本においては、HACCPシステムが乱立しており(マル総、自治体HACCP、業界HACCP、ISO/FSSC22000など)判りにくい状況でした。また、米国・EU・カナダ・オーストラリア・韓国・台湾などは、HACCP義務化が進んでいるという状況も同時進行していました。

図2日本初食品安全の管理規格

2.JFS-A/Bプログラムの概要

これを受けて、農林水産省では、2015年から「食品安全マネジメント等推進に向けた準備委員会」を開催し、“最終とりまとめ”においては、中小食品製造業でも取り組みやすい段階的な仕組みを提唱しています(図2参照)。すなわち、一般的衛生管理が中心のA規格、これにHACCPの実施を加えたB規格、国際取引に使われるフルスペックのC規格の3段階の仕組みとなっています。これら3規格の食品企業に対する要求事項は、経営トップの関与・組織体制・PDCAサイクルなどのマネジメントシステム、HACCP、適正製造規範(一般的衛生管理)から構成されています。
この段階的仕組みを具体的に運用するのが、準備委員会での議論を踏まえて2016年1月に大手食品関連企業18社により設立された“食品安全マネジメント協会(Japan Food Safety Management Association)”です(HP:https://www.jfsm.or.jp/about/outline/)。
前述したように、中小食品事業者でも段階的に運用できるA・B・Cの3つの規格があり、このうちJFS-Cスキームは、国際的に通用させるべくISO等の認証の仕組みを活用するものであり、JFS-A/Bプログラムは、国内で独自に確認する仕組みを構築したもので、C規格が審査制度により認証する仕組みに対して、A/B規格は監査により適合証明が交付されるものです。これらは、食品マネジメント協会のホームページで公表されています。
A/B規格の適合証明については、独立した機関による第3者監査(図3参照)や取引企業間の第2者監査などさまざまな機会を活用することができます。また、A/B規格の監査員は、組織に対する評価とともに、必要に応じて指導・助言、コンサルティングも実施可能となっているのが特徴です。ただし、監査員とコンサルタントは同一人物であってはならないとしています。

図3監査のイメージ

ここで、JFS-プログラムについて、その詳細を紹介します。JFS-C規格は、マネジメントシステム、HACCP、適正製造規範のフルスペックとなっています。ここから、規格を簡素化していったのがJFS-A/B規格です。C規格が(48項目+HACCP手順1~12)で国際的に通用する事業者向けなのに対して、B規格は(34項目+HACCP手順1~12)でHACCPの確立を目指す事業者向けとなり、さらにA規格は(24項目+HACCP手順1~5)で一般的衛生管理の確立を目指す事業者となり、中小食品業者でも取り組みやすい内容となっています。

3.監査会社としての取り組み

中部産業連盟は、2017年1月に、食品安全マネジメント協会(JFSM)の-A/B規格の監査会社に、ISOコンサルティング・教育研修団体で初めて認定されました(本部:名古屋、事業所:東京)。中産連は、約20年前から食品事業者に対して、各種ISOマネジメントシステム等(ISO9001、ISO14001、ISO22001、FSSC22001、有機JAS)を指導してきた経緯があり、食品に精通しているコンサルタントを多数要しています。これから本格的に中小食品製造業にJFS-A/B規格の監査を行い、適合証明書を交付していくことになります。以下にその概要を説明します。
まず、食品事業者より監査依頼を受けたら、監査の流れ及び費用を説明し、JFS-A/B監査及び適合証明に関する契約書を取り交わします。その上で、A規格またはB規格のセルフチェックを依頼します(JFSMのホームページに公開されている)。次に、食品事業者の専門性をもった監査員を選定します。監査日程を調整し、以下のHACCP関連文書などの提出を依頼します。監査員は、事前提出文書の確認をしたら、食品事業者との間で良く調整を取った後、監査計画書を食品事業者に送付します。その後、現地監査では、監査用チェックリストに基づいて、該当する要求事項を確認していきます。チェックリストは、要求事項・所見・適合/不適合判定の欄で構成されており、精査の結果、不適合があれば、その内容を記述して、監査報告書とともに食品事業者に提出します。
食品事業者は、不適合判定された項目の是正処置を行い、監査員に提出します。監査員は、適合と認められれば、判定員に書類を送り、判定員が内容を確認したうえで、JFSMに送り、JFSM登録番号の記載された適合証明書を食品事業者に発行します。
 
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一般社団法人中部産業連盟 執行理事 主席コンサルタント
山崎 康夫(文責)

 
【一回目の記事はこちら!】
>【第一回】より良い農業生産を実現する取り組み GAPってなんだろう。皆さん、聞いたことがありますか?
 

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