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収穫期間が約2倍に!「オランダのハウス栽培技術」で躍進するトマト農家

収穫期間が約2倍に!「オランダのハウス栽培技術」で躍進するトマト農家

2017年12月08日

従来の方法では3、4ヶ月だった収穫期間を8ヶ月まで伸ばし、農園経営の安定化と収入アップを図る農業家がいます。神奈川県横浜市保土ヶ谷区にある「山本温室園」の代表、山本泰隆(やまもとやすたか)さんです。大学時代に知ったオランダのハウス栽培技術に感銘を受けて、実家のトマト栽培でその技術を取り入れています。山本さんが出会ったオランダの栽培法とはどのような技術なのでしょうか。

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オランダの栽培技術との出会い

トマト

オランダは野菜のハウス栽培技術の先進国です。山本さんは農業系の大学に通っているときに、オランダの栽培法について知ったそうです。

「『山本温室園』はもともと父が経営していて、ハウスでトマトを育てていました。父親の栽培方法は、日本の従来の温室栽培で収穫期間は3、4ヶ月です。しかし、オランダのハウス栽培では収穫期間が9ヶ月もあります。長く収穫できるので、日本のやり方と比較してみたところ収穫量も3倍以上。高品質のトマトを安定して収穫できることにとても刺激を受けました」(山本さん)。

大学卒業後にオランダの視察旅行に行って、「自分もこんな農業をしてみたい」と思ったそうです。そして、収穫期間を長くして収穫量を増やすことで農園を安定的に経営することを目的とし、山本温室園でも、オランダの方法を取り入れることになりました。

オランダ式温室栽培の特徴

トマト

オランダのハウス栽培方法と日本の従来の方法で大きく異なるのは、オランダは「ハイワイヤー栽培法」を採用しています。トマトの蔓を高い位置まで生長できるように誘引する栽培方法です。トマトを垂直に誘引することで、太陽光が葉によくあたるため元気に育ちます。

さらにハウス内は温度と湿度、光など栽培環境を複合的に制御するシステムを備えていて、気候に左右されず、野菜を生育できる環境が整えられています。

「日本の従来の栽培法は、野菜の生育状況や天候などを見て、経験値で判断している部分があります。オランダの方法は野菜が育ちやすい環境をデータとして数値化してコントロールしています。日本の方法のように、経験で培った技術はもちろんすばらしいのですが、オランダのようにデータですべてを管理する点も優れています」。

温度や湿度などすべてをハウスで管理するということは、暖房や冷房設備を整えるなどランニングコストがかかるものです。収穫量が約2倍以上に増えているため、コストが上がったとしても、全体で考えれば利益は増えるそうです。

オランダ生まれの品種 房採りトマトを中心に栽培

トマト

トマトが人気の高い野菜の一つであったことから、父親はトマト栽培を行っていました。そして山本さんもトマト栽培を引き継いでいます。父の代では大玉トマトが中心でしたが、現在、山本さんは房採りトマトをメーンに栽培しています。

「房採りトマトはオランダで開発された品種です。オランダの栽培技術を取り入れているため、オランダの方法で育つ房採りトマトを山本温室園でも栽培しようと考えたのです」。

遠方の農家では、スーパーなどの店頭に並ぶ頃ちょうど赤くなるように、まだ熟していない青い状態のトマトを収穫するそうです。山本温室園は横浜市にあり、市場や一般消費者との距離がとても近くにあります。そのため、山本さんはトマトが赤く食べ頃になってから出荷する「完熟出荷」を実現しています。

収穫期間をさらにのばすことが目標

トマト

オランダの栽培法を採用しハウス栽培を始めて10年。山本さんは「まだまだ栽培技術で改善を試みるべき点があるので、トライしていきたい」と意欲をみせます。目標は、現在8ヶ月間ある収穫期間を1ヶ月でも長く伸ばすことです。

毎年9月の初めに苗を植え付けて、秋、冬、春に収穫するのが、年間のスケジュールです。苗の植え付けを9月ではなく8月にできれば、収穫期間が伸ばせます。

しかし、日本の8月は最も暑さが厳しい時期。オランダは北海道と同じくらいの緯度に位置するため、暑さに対応する技術はあまりありません。そのため、暑さ対策をする資材や冷房などを導入して、過酷な夏でも苗が育つ技術が日本では求められているのです。

また生育したトマトの味に関しても、改善を試みているそうです。

「正直、父が作っていたトマトの方が、私の作ったトマトより味はいいかもしれません。それは、収穫量が少なくコストがかかったとしても、おいしいトマト作りに父がこだわっていたからです。オランダ式の栽培法を取り入れたことで、収穫量も上げながら、さらに品質も上げていく努力をしていきます」。

高いクオリティを維持できるように、微生物を活用した土壌作りに励むなど、おいしさを追求するための努力も惜しみません。

オランダの技術を取り入れながら、日本の気候に合わせた改良を重ねていく山本さん。10年続けても「まだ改善することがある」と言い切る姿は、現状に満足せず前進する情熱であふれています。

山本温室園

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