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就農3年目で温室栽培農家の経営者に 【ファーマーズファイル:山本泰隆】

就農3年目で温室栽培農家の経営者に 【ファーマーズファイル:山本泰隆】

最終更新日:2018年09月26日

神奈川県横浜市保土ヶ谷区で、「山本温室園」を経営する山本泰隆(やまもとやすたか)さん。大学時代にオランダのハウス栽培技術に出会い、実家の農家を継いで、オランダ型ハウス栽培法を取り入れ、房採りトマトをメーンで育てています。就農してわずか3年目で、父から代表の座を継いだ山本さんは、「無我夢中で育てるしかなかった」と振り返ります。山本さんが現在の農業スタイルをどのように築いていったのかをうかがいました。

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就農3年目で経営者になる

トマト

トマト栽培を行っている農家の両親のもとに生まれた山本さんにとって、実家の後を継ぐことはごく自然な流れだったといいます。

「横浜市保土ヶ谷区は、昔から農家を続けている方たちが多い地区です。農家は決して特別な存在ではなく、父も母もやりがいをもって農業を行っていました。子どもの頃からそんな両親の姿を見てきてこともあり、『自分も同じように農業に携わりたい』と思うように。自然と家業を継ぐことを考えるようになり、大学卒業後に就農しました」(山本さん)。

父には「若い世代の方が伸びしろがある」という考え方があり、以前から「結婚したら経営をまかせたい」といっていました。そして、山本さんが就農してからわずか3年目に結婚が決まり、「山本温室園」の経営者として父から受け継ぐことになったのです。

「まさか3年目で代表になるとは思っていませんでした。社会人3年目で突然社長をまかされるのと同じです。それからは右往左往して悩みながらも、無我夢中で頑張ってきました」。

房採りトマトのオランダ式ハウス栽培に着手

トマト

もともと父はハウスで大玉トマトの栽培を行っていました。しかし山本さんは大学時代にオランダのハウス栽培技術を知り、山本温室園でも取り入れることにしました。

「山本温室園で行っていた従来のハウス栽培は、トマトの収穫期間は3、4ヶ月でした。オランダの方法では、高品質のトマトを9ヶ月以上も収穫できます。収穫期間が長くなれば収穫量も増やせて農園の収入も安定し、売上拡大も目指せると思ったのです」。

現在育てているのは、オランダで開発された房採りトマトが7、8割ほどと、大玉トマトが1割くらいです。そのほかに、赤、紫、黄色のミニトマトや試作を兼ねてゼブラトマトも栽培しています。

トマト

トマト以外にも、露地栽培でキュウリなど年間で30種類~40種類くらいの野菜を育てています。農園全体の収入をみるとトマトの占める割合が大きく、山本さんが始めたオランダ型ハウス栽培が、農園の成長に大きく貢献しています。

出荷先は販売のプロがいる市場へ

トマト

育てた農作物の出荷先は横浜中央卸売市場です。約8割の作物を市場に卸し、それ以外は横浜市内の飲食店や、飲食店と取引のある八百屋に出荷しています。消費者に直接販売するための様々な手段があるなか、なぜ出荷先として市場を選んでいるのでしょうか。

「房採りトマトは、大玉トマトやミニトマトに比べてメジャーな品種ではありません。スーパーで買い取ってもらえたとしても、一つのスーパーで房採りトマトが1個売れる程度です。でも市場に出荷すれば、市場の先にはたくさんの販売先があるのです」と山本さん。

飲食店と直接取り引きする場合は、決められた期日に決められた量を出荷するという契約が交わされます。しかし、農作物の収穫量は気候や生育環境などの条件によって大きく変化します。出荷できる時期や量を調節して市場に卸す方が柔軟性があるといえます。

「販売に関してはプロに任せて、自分は生産に徹するべき」と、山本さんは考えているそうです。ただし、卸した作物をきちんと販売してもらうためには、市場関係者とのコミュニケーションは欠かしません。

「市場の方たちに、房採りトマトの価値や良さを理解してもらうためには時間が必要でした。房採りトマトを定期的に、計画的に出荷して、品質のことや栽培方法のことなどを根気よく伝えて少しずつ理解を深めていただきました。『もうすぐ出荷できるから、販売先を探してほしい』といったコミュニケーションを綿密にとるように心がけています」。

農家にはコミュニケーションが大切

トマト

畑で一人で行っている農業には、人付き合いは必要ないと思われがちですが、「農協の中で仲間と交流したり、農業は人とのつながりが大切」と山本さんは言います。農家同士のつながりが強い地域は、農業が盛んで後継者不足になることも少ないそうです。

「私自身も就農をはじめて、父が行っていた栽培技術に、オランダの技法を融合させる方法を見出しました。それまでは、周囲の先輩農家からアドバイスをいただいたりと助けていただきました。育てる作物や農業のやり方が違っても、同じ志を持つ農家が力を合わせれば、農業の将来はもっと明るくなると思います」。

2017年に行われた「JA全国青年大会」で、山本さんは関東・甲信越ブロック代表として営農への思いを発表しました。その中で山本さんは、「可能性は無限大。周りとのつながりがあれば、農家は今後もっと魅力的な職業になる」と熱く語っています。

オランダの技術を取り入れて新しい挑戦に取り組みながら、父から受け継いだ農園を守るために奮闘する日々。自身の努力と周囲とのつながりを大切にしてきたからこそ、現在のスタイルを確立することができたのでしょう。

山本温室園

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