伝統と革新の間で、守り続け、求め続けた日本酒の姿 白瀧酒造【2】 – マイナビ農業

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伝統と革新の間で、守り続け、求め続けた日本酒の姿 白瀧酒造【2】

伝統と革新の間で、守り続け、求め続けた日本酒の姿 白瀧酒造【2】

2017年12月09日

近年の日本酒人気のきっかけの一つとなった「上善如水(じょうぜんみずのごとし)」を手掛ける白瀧酒造(新潟県湯沢町)のこだわり。それは酒造りの長い工程で、関わる一人ひとりが「良い酒をつくるという気持ちを込めることだ」と取締役の山口真吾(やまぐちしんご)さんは話します。杜氏から営業スタッフまで、社員はもちろん、原料である酒米を供給する農家も一緒になって、思いを共有してつくる日本酒。消費者に満足してもらうために最善を尽くす同社の姿勢に迫りました。

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原料は米と水。シンプルだからこそ、素材にこだわる

 

 

全国各地の1,000近くある酒蔵、そこで作られる銘柄の数だけ物語がある日本酒。「そのどれにも共通するのは、原料が米と水だけということ」と山口さん。だからこそ、米へのこだわりは強いと言います。同社の日本酒には、国産であることはもちろん、70%以上は新潟県産米を使用しています。「地産地消という言葉もありますが、地元で作られた米が、土地の水になじみやすい」というのがその理由。日本酒づくりは、食べるために生産される米は必要ありません。「食べる米」に必要な旨味を構成するタンパク質やビタミンなどの成分は、酒の味を濁らせる要因になってしまいます。

それよりも重視される米の条件は、精米の際に〝割れないこと″です。酒づくりで心を配るのは、水と米の相性。いかに米に均一に水を吸わせるかがポイント。「〝均一″を追い求めるためには、割れない米を使うことも重要」だそう。

「日本酒づくりに適した米」を安定して手に入れるためには、米作りのプロである農家の理解と協力は不可欠です。同社は契約農家と研究会を立ち上げ、より良い酒米の生産方法や、農家の協力強化のための生産保証など、両者にとって、より良い関係の構築に尽力しています。

すべては良い酒をつくるために

1990年代初めの上善如水のヒットが企業にもたらしたのは、他業種からの人材の流入でした。酒づくりにおいてはエキスパート集団であるという自負もあった社員の中に、他の業界で活躍してきたスタッフが合流したことによって、それまで当たり前とされてきたことへの疑問が投げかけられました。〝上善″の成功で、守るべきものと変革していくことの両方の大切さを実感した社員は、前例を踏襲することの意味を考えました。そして「最終的にビンに入った日本酒の価値」を、会社組織というチームで追い求める体制にたどり着きます。

良い酒の条件は原料ありきです。ワインはブドウの出来の良し悪しで味が決まりますし、日本酒ならば米が味を左右します。ところが、日本酒は発酵に用いる麹の使い方で、リカバリーできる面もあると言います。米と水を麹がカバーする。日本酒の製造工程は、良い組織の手本のようです。その姿を実際の組織運営に反映し、「品質の安定を求める場面では機械を使い、原料の差を埋めるのは人の手を使う」という現在の白瀧酒造の酒づくりの体制が構築されました。

白瀧酒造のこれから

上善如水の発売から30年余り。若い世代に日本酒に魅力を伝えてきた同社。山口さんに昨今の消費者のニーズについて聞くと、「日本酒の情報を集めやすくなった環境が、消費者の嗜好を細分化している」という答えが。以前はなかなか手に入らない〝幻の酒″と呼ばれるような銘柄が人気を集めていましたが、今は、新しい味を求めて「定番よりも変わったもの」が注目される傾向にあるそう。

その潮流の中でも、同社はよりスタンダードになりうる日本酒づくりに取り組んでいくと言います。「上善如水のように若者のライフスタイルを変えたと言われる日本酒も当時は〝変わったもの″だったかも知れませんが、これからは日常の中で長く愛される日本酒を作ることが白瀧酒造の役割」と話す山口さん。

同社は、2009年に純米化を実現しています。一時の傾向に左右されることなく、原料の米の生産工程にまで目を配った安全と安心にこだわる日本酒づくり。

その姿勢こそが、今なお日本酒ファンに支持され続ける〝上善如水″を生み出した白瀧酒造の企業精神が受け継がれていることを証明しています。

(了)

 
【前編はこちら】 伝統と革新の間で、守り続け、求め続けた日本酒の姿 白瀧酒造【1】

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