弥生時代に日本にやってきたカブ
カブは、アブラナ科アブラナ属の野菜です。春の七草の「すずな」はカブのことです。日本古来の野菜のように思われるかもしれませんが、原産地は中東のアフガニスタンか、地中海沿岸の南ヨーロッパだと言われています。日本にやってきたのは弥生時代の頃。東洋種がシベリアから中国経由で西日本に入り、西洋種はヨーロッパから朝鮮半島を経由して東日本に入ってきたと考えられています。
カブは大きさによって「大カブ」「中カブ」「小カブ」に分類されます。スーパーや八百屋で購入しているのはほとんどが「小カブ」で、漬物などの加工品として口にしているものの多くが「大カブ」です。近年では、赤・黄色・紫などカラフルなカブが外食産業などで大人気です。
鮮度のいいおいしいカブの見分け方
鮮度のいいおいしいカブは、葉にピンとハリがあり、根の部分がコロンと丸く整っています。肌のキメが細かく、ツヤがあり、表面にヒビが入っていないものを選びましょう。茎の付け根が淡い緑色のものは新鮮な証拠です。育ちすぎているものは、スジが硬くてスが入ってしまっていることがあるので注意しましょう。
カブの表面に茶色いシミや変色がある場合も要注意。シミは鮮度が落ちている証拠です。水分が抜けて、ビタミンなどせっかくの栄養分が低下している可能性があります。
カブの栄養
カブの根にはダイコンと同じように、消化を促進させる効果が期待できるジアスターゼが豊富に含まれています。葉酸も豊富で、体の発達や造血、さらに胎児の正常な発育に重要な役割を持っているので、妊婦さんは積極的に食べるといいでしょう。
葉もおいしいだけではなく、栄養がたっぷり。カロテンの他に、糖質の代謝に効果的と言われているビタミンB1、B2に加え、風邪の予防や美肌効果を促すビタミンCも豊富に含まれています。カブの葉に含まれるビタミンCは、カブ1束でホウレンソウ1束に匹敵します。
カブの保存方法
家庭で保存する際には、葉を切り落とし、乾燥しないようにビニール袋かラップに包んで別々に冷蔵庫の野菜室で保存しましょう。葉は栄養をたっぷり含みますがしなびやすいので、購入した当日に調理をするのがおすすめです。当日に調理できない場合は、塩を入れた湯で硬めに茹でたあと、小分けにして冷凍庫で保存します。味噌汁や吸い物、おひたしなどに手軽に活用できて便利です。
カブの旬と時期
カブの旬は、10~4月頃の寒い時期ですが市場には通年出回っています。特にカブの生産量シェア1位の千葉県と2位の埼玉県産のカブは、1年を通じて出荷されています。
カブの賢い使い分け
カブの根は様々な調理法で食べよう
カブの根は、非常に多くの消化酵素を含んでいます。消化酵素は熱に弱い性質を持っているので、カブを調理する時には煮物などの加熱調理と合わせて、浅漬けやサラダとしても生で一緒に食べましょう。
カブは大きさで味が違う!?
大きなサイズのカブは煮ると甘みが強く出るので煮物にするのがおすすめ。小ぶりのカブは歯ごたえがいいのでサラダや漬物に最適です。
カブの下ごしらえ
カブはアクが少ないので、下茹でなしで調理することができる便利な野菜です。火が通りやすいので、加熱のしすぎに注意しましょう。他の野菜と一緒に煮る時には、最後に加えるようにします。
カブをおいしくするワンポイント
カブを真っ白に煮るには
カブを真っ白に煮たい時は、カブの皮を厚めにむくと美しく仕上がります。厚めにむいた皮はきんぴらや漬物に活用し、もう一品として食卓へ利用するといいでしょう。
葉は冷凍してそのまま調理
塩茹でして冷凍しておいたカブの葉は、解凍せずにそのまま味噌汁の具として入れると時短にもなり便利です。
カブの種類
あやめ雪
きめ細やかな肉質で、甘さがある小カブです。茎の付け根が紫色をしており、酢につけるとピンクに色が変わることから、ピクルスなどの彩りにも最適です。
日野菜カブ
滋賀県の特産品で、カブといってもひょろりと長く、細いダイコンのような見た目をしています。肉質が硬いので、漬物にぴったりです。
黄カブ
元はヨーロッパの品種です。加熱することで表面だけでなく、中まで鮮やかな黄色になります。煮込み料理の彩りにもおすすめです。
赤カブ(温海カブ)
山形県の焼畑農業で生産される、外は赤くて中が白いカブです。主に漬物用として利用されています。
カブは調理方法に幅がある野菜です。一つあれば、味噌汁に漬物に、葉っぱの炒め物にと色々と活用できて非常に便利です。ビタミンやカロテン、体を作る栄養素である葉酸を豊富に含むので、妊婦さんにもおすすめの野菜です。
カラフルなカブで、自宅で簡単にできる浅漬けをつくってみてはいかがでしょうか。
参考:「野菜と果物の品目ガイド〜野菜ソムリエEDITION」(農経新聞社)