1.気軽に収穫体験ができる「観光農園」
仙台や米沢など東北地方の和牛や、オーナー自ら厳選した国産牛や輸入牛など上質な肉と、新鮮な自家製野菜などを焼肉スタイルで提供する農園レストラン「みやもとファーム」。
「みやもとファーム」では、レストラン事業以外に果物の摘み取り体験も実施しています。特に7月下旬から8月中旬に数回行われるブルーベリーの摘み取り体験は、1回の開催につき約300人が参加するという盛況ぶりです。
ブルーベリー農園の摘み取り体験が始まった経緯を浅野さんは語ります。
「練馬区は『カジュアルに果樹と触れ合うことができ、果樹のある生活を楽しめる』をコンセプトとした、“練馬果樹あるファーム”という取り組みを行うなど、果樹の栽培にも力を入れています。そんな折、私たちにも『ブルーベリーの観光農園を始めないか』と区から声がかかったのです。
みやもとファームの社長である宮本さんの父親が、この土地で果樹を栽培していたため、当社の畑でも様々な果樹を育てていました。ブルーベリーは栽培していませんでしたが、社長が『面白そうだ』と興味を持って、観光農園を行うことになりました」。
さらに、2017年よりイチゴの摘み取り体験もスタート。始めたばかりのため、ブルーベリーほどの人気はありません。しかし、レストランで食事をしてから体験していく人も多く、徐々に認知度が上がっています。
「イチゴの摘み取りは2月から4月末まで行っています。まだ1年目なので手探りではありますが、徐々にブルーベリーと同じくらいの人気に定着させていきたいです」。
みやもとファームは、最寄りの都営地下鉄大江戸線 練馬春日町駅から徒歩12分ほどの場所にあります。立地の良さも人気につながっているのでしょう。練馬区内には、ほかにいくつか観光農園がありますが、駅から離れた場所にあるのがほとんどなのだそうです。
2.種まきから味噌作りを学べる「子ども大豆教室」
みやもとファームでは、子どもが農業を身近に感じられる教室も多数開講しています。大豆を種から育てて収穫し、味噌に加工するところまで行う「こども大豆教室」もその一つです。
8月に参加する子どもたちが、大豆の種をまき粒豆がしっかりと実る12月頃に収穫します。そして、翌年の2月頃に味噌に加工。およそ半年にわたって、大豆が実り味噌ができるまでの過程が学べます。
「大豆教室は通年ではなく単発に開催しますので、各回ごとに申し込みをする必要があります。大人も参加できるので、親子で参加される方も多いです」。
大豆教室のほか10月頃に枝豆の収穫体験や、国産大豆を使った豆腐作り体験も行っています。
3.本格的に農業をしたい方の「農業体験塾」
みやもとファームの畑を借りて、実際に野菜を栽培する「農業体験塾」では、農園のスタッフと一緒に約1年をかけて農業について学べます。
農業体験塾の畑は、練馬区の体験農園として使われていました。主に区民に貸し出していて区外の方が畑を借りたいと思っても、なかなか借りられませんでした。
そのうちに、区外の方たちからも「農業をやってみたい」という声が多くなり、誰もが農業を学べる場所を作ることになりました。現在は、練馬区のほか大江戸線沿線の文京区や新宿区、渋谷区からの受講者も多いそうです。
農業体験塾に参加を希望する方は、申し込み後、毎年2月頃に行われる説明会に参加します。次に畑の1区画分の利用料金を教室に支払います。3月に講習がスタートし、翌年の1月まで作物を育てます。
参加者のレベルは、初心者から上級者まで様々です。中には20年近く通っている人もいるそうです。
また、初心者にはボランティアスタッフによる個別指導もあります。スタッフには、みやもとファームの畑を借りていた方や、農業が好きな近くにお住まいの方です。農家のサポーターを育成する練馬区の「農の学校」の卒業生など、農業に詳しい方々に教えていただけます。
「農業体験塾は毎年同じカリキュラムでやっています。しかし、畑や作物は気候などの影響で様子が年ごとに異なり、何年か農作業を行っていても新しい発見があります」。
浅野さんは「都内でこれほど多彩な農業体験ができるのは、練馬の豊かな自然も影響している」といいます。みやもとファームのある練馬区高松1丁目~3丁目は、都と区から「農の風景育成地区」に設定されており、緑のある風景を守っています。そのため、この一帯は豊かな自然に恵まれているのです。
東京都内で農業に触れたいという方は、ぜひ一度訪れてみてはいかがでしょうか。