鑑賞植物だったシュンギク
シュンギクは、独特の香りと柔らかい歯ごたえが特徴です。葉の柔らかさと香りが命ですが、傷みやすいので優しく扱う必要があります。原産は地中海沿岸で、元は花を観賞するための植物でした。中国に渡り食用として改良されるようになってから、周辺の東アジア諸国でも親しまれるようになりました。日本では江戸末期頃から盛んに栽培されるようになりました。
シュンギクは大きく分類した場合、葉の切れ込みが浅い大葉種と、切れ込みが深い中間種、葉が小さい小葉種に分けられます。
鮮度の良いおいしいシュンギクの見分け方
鮮度の良いおいしいシュンギクは、香りが高く全体的にハリがあり、緑色が濃く葉先までピンと伸びています。茎が細くて、切り口が乾きすぎていないものを選びましょう。茎の下の方まで葉が付いているのが、新鮮なシュンギクの特徴です。
シュンギクの栄養
シュンギクに豊富に含まれているカロテンは、体内でビタミンAに変わり体の中で発生する有害な活性酸素から体を守って免疫力を高めてくれます。また肌や健康を維持する効果があるそうです。さらにビタミンCも豊富に含むので、美肌効果が大いに期待できます。
独特の香り成分は胃腸の働きを促進し、消化吸収を助ける作用があるといわれています。
シュンギクの保存方法
シュンギクは傷みやすいので、持ち運びや保管には十分気をつける必要があります。保存するときは、湿らした新聞紙に包んで、ビニール袋に入れて冷蔵庫の野菜室に入れます。横におくと茎が曲がるので、まっすぐ立てて保管するのが望ましいです。香りが抜けやすいので、購入後はできるだけ早く食べきるようにします。
風味が強いので、香りが移りやすいものと一緒に保存しないように注意しましょう。傷んでいる葉がある場合は、取り除いてから保存します。
シュンギクの旬と時期
1年を通じて出回っている葉物野菜です。鍋の具としての需要が高いので、冬の時期に最も多く出回ります。ビタミンCを豊富に含むシュンギクは、冬の健康管理にうってつけです。また、冬から春にかけて栽培されたものはパリッとしていてやわらかく香りもいいです。葉先を手でちぎってサラダなどの生食にしてもおいしいです。
シュンギクの下ごしらえ
シュンギクはアクが少なく下茹でなどの下ごしらえが不要で、鍋などにそのまま加えることができます。繊維がやわらかく火が通りやすいため煮たり茹でたりするときには、加熱しすぎないようにしましょう。
おひたしや和え物用に茹でるときには、葉と茎に分けて手早く茹でるのがコツです。沸騰したお湯に0.5%程度の塩を加え、茎を入れたら40~50秒ほど茹でて、その後に葉を加えてさらに20~30秒ほど茹でます。茹でたあとは水に晒さず、ザルで冷やせば香りが残っておいしく食べられます。
独特な香りの正体は?子供に食べさせるコツ
シュンギクの独特な香りは、α-ピネンやペリルアルデヒドなどの10種類ほどから構成されているので、香りを取り除くのは非常に難しいです。炒めたり、煮ると香り成分が溶け出してより香りが強く感じられて、食べにくくなるかもしれません。
フライパンで表面をさっと焼き、ごまドレッシングなどと合わせると子供にも食べやすくなります。また、くるみやゴマ、ピーナッツなどコクがある素材と混ぜるのもおすすめです。
シュンギクのおいしい食べ方
加熱しすぎるとやわらかい繊維がクタクタになってしまうので、さっと茹でるように注意しましょう。鍋に入れるときも他の具材に火が通ってから最後に入れます。味噌汁や和え物、天ぷらと様々な料理でおいしくいただけます。
シュンギクの香りを思いっきり楽しみたいならパスタがおすすめです。バジルの代わりにミキサーにかけて、ジェノベーゼソースのように仕上げればお店で出すような料理が出来上がります。
シュンギクの種類
おたふくシュンギク
大葉種の一つで、切れ込みが浅く肉厚でふっくらとした葉が特徴。香りもやわらかく歯ごたえもいいので鍋におすすめです。
ほろ苦く大人向けの野菜、シュンギク。子供の頃は苦手だった人も、大人になると独特な香りが大好きになった方も多いのではないでしょうか。ビタミンAとビタミンCを多く含むので美肌効果が期待でき、女性に嬉しい野菜でもあります。鍋だけでなく、天ぷらや味噌汁に日々活用されてみてはいかがでしょうか。
参考:「野菜と果物の品目ガイド〜野菜ソムリエEDITION」(農経新聞社)