ミツバを食用にしているのは日本と中国
ミツバはセリ科ミツバ属の野菜で、水耕栽培の普及とともに生産が拡大してきました。原産は東アジアと言われており、現在も東アジアを中心に多く栽培されています。食用としているのは日本と中国だけなので驚きです。
日本では古くから、春の香りとして親しまれており、栽培が始まったのは江戸時代の頃。軟化栽培も早い時期に始まったと言われています。現在でも、日本料理には欠かせないハーブです。
品種の違いはあまりなく、栽培方法や形状によって異なる名前がつけられています。根の部分にスポンジがついた状態で売られているのは、現在主流の水耕栽培によって育てられたものです。
鮮度の良いおいしいミツバの見分け方
鮮度のいいおいしいミツバは香りが強く、みずみずしく乾燥していません。根元から葉先までピンとハリのあるものを選びましょう。彩り野菜なので、緑色がキレイでみずみずしいかどうかもチェックポイントです。切りミツバを選ぶときには、茎が真っ白で直径が2ミリほどのものを選びましょう。
ミツバの栄養
ミツバに多く含まれるカロテンは、体内にビタミンAに変化し、体の中で発生する有害な活性酸素に対抗してくれる抗酸化作用が期待できます。免疫細胞の働きを助け、粘膜の保護や肌の健康を保つ働きがあります。
独特の香りは、ミツバエン、クリプトテーネンなどによるものですが、これらの香りには精神安定、消化促進の効果が期待できます。カリウムも多く含むため、体の中の余分なナトリウムを排出する作用があり、むくみ防止になります。そのほか、ビタミンA、ビタミンCなども多く含まれています。
ミツバの保存方法
ミツバを保存するときに最も注意するのは、乾燥させないことです。水分が蒸発し乾燥すると、せっかくの香りも一緒に飛んでしまいます。濡らした新聞紙に包み、ビニール袋に入れて冷蔵庫の野菜室で保管しましょう。茎は曲げずに伸ばした状態で保存するほうがよいでしょう。香りが飛びやすいので、早めに食べきるのをおすすめします。
ミツバの旬と時期
水耕栽培によって周年の栽培が可能です。しかも日本料理に欠かせない存在なので、需要も高く1年中市場に出回ります。切りミツバの旬は秋から冬、根ミツバは通年 で出回っています。
ミツバの下ごしらえ
根を切り落として輪ゴムで軽く縛ったら、水を張ったボウルに入れてふり洗いで泥やホコリなどの汚れを落とします。時間がないときには手で持った状態で流水でふり洗いをしても大丈夫です。
ミツバをおいしくするワンポイント
結びミツバ
煮物や汁物の飾りにするときは、葉を細かくカットして散らすだけでなく、結びミツバにすると見栄えもキレイで、日本料理やおせち料理の飾りにぴったり。
結びミツバの作り方は、熱湯にさっとくぐらせたら冷水に入れて冷やし、茎の真ん中でふたつ折りにしてからひと結びします。
ミツバは熱に弱い
ミツバは生でも食べられるハーブなので、熱に弱い性質があります。茹ですぎると色も歯ごたえも悪くなり、香りも飛んでしまうので、茹でるときにはお湯にさっとくぐらせる程度にしましょう。
熱い汁物の上に乗せるときも同様で、長い時間熱いものの上に乗せておくと葉が変色してしまいます。料理を提供する直前に飾るようにしましょう。
ミツバが主役の料理
香りが強くてミツバだけでは食べられない方は、油を使って調理すると美味しくいただけます。天ぷらやバター炒めなどにすると、食べやすくなります。
野菜ジュースのアクセントに
野菜ジュースの材料として、ニンジン、キャベツ、トマト、リンゴなどのジュースに加えるといいアクセントになります。
ミツバの種類
糸ミツバ
別名「青ミツバ」。葉だけでなく茎の部分も緑色で、サラダ向きの品種です。
根ミツバ
糸ミツバに比べ香りが高いのが特徴です。軟白栽培により、茎が白く、根までやわらかいミツバです。
ミツバは昔から日本人に愛でられてきたハーブです。いつもの料理の彩りに、特別な日のおもてなしに、伝統的な日本料理の飾りなどに欠かせません。ビタミンやカロテンなどの栄養も豊富なミツバ。ぜひ普段の食卓に利用してみてはいかがでしょうか。
参考:「野菜と果物の品目ガイド〜野菜ソムリエEDITION」(農経新聞社)