江戸東京野菜(伝統野菜)と一代雑種(交配種)の野菜
江戸東京野菜とは
江戸期から始まる東京の野菜文化を継承するとともに、種苗の大半が自家採種、または近隣の種苗商によって確保されていた、江戸時代から昭和40年代(1970年代)までのいわゆる「固定種」の野菜です。2018年1月現在、上記10種を含む48種類がJA東京中央会によって認定されています。
固定種と一代雑種(交配種)
「固定種」という呼称は難しく聞こえますが、これは現在、市場に広く流通している「一代雑種(F1品種、または交配種ともいう)」と区別するためにつけられたものです。
日本が高度経済成長を遂げた昭和40年代になると、激増した都市人口の食糧を賄うため、産地から消費地へ大量の農産物を安定的に供給する必要が生じました。
そのニーズに応じて品種改良・育種技術が発達。そこから開発された一代雑種 (交配種)は大量生産・安定供給を可能にする、画期的なイノベーションでした。
商品価値が高かった一代雑種
一代雑種の特長は、どの野菜でも味・風味・形・大きさ・色合いなどのばらつきが少なく、均一なこと。また生産者にとっては、育ちが良いこと。栽培する季節があまり限定されないこと。病気や害虫に強いことなどが挙げられます。つまり手間暇を軽減して育てられるコストパフォーマンスの高い野菜です。
そして消費者にとっては旬に限らず、いつでもどこでも比較的安価で手に入る便利な野菜。つまり当時の価値観としては、双方にとって非常に商品価値が高かったのです。