江戸時代は観賞用として栽培されていたアスパラガス
アスパラガスは南ヨーロッパからロシア南部が原産です。アスパラガスには大きく分けるとグリーンアスパラガスとホワイトアスパラガスがありますが、これは栽培方法の違いによって色が変わります。軟白(なんぱく)栽培であればホワイト、日に当てて育てるとグリーンになります。
ヨーロッパでは春を告げる野菜として人気があり、紀元前から栽培されてきました。日本に入ってきたのは江戸時代中期頃、オランダ人によって長崎にもたらされたのが始まりです。当時は「オランダウド」の名前で親しまれ、観賞用として栽培されていましたが、明治以降に食用として普及したのは、アメリカやフランスから種子が入ってからでした。その後、本格的な栽培が1922年に北海道で確立し、1924年に缶詰の生産が始まったとされています。
鮮度が良いおいしいアスパラガスの見分け方
鮮度が良いおいしいアスパラガスは、太くまっすぐに伸びて、色が濃く、ツヤがあります。切り口がみずみずしく、硬くなっていないものを選びましょう。穂先がしっかりとしまっているものが新鮮です。また、一般的にアスパラガスは太めのものが甘くてやわらかく味が良いと言われています。
アスパラガスの栄養
アスパラガスに含まれるアスパラギン酸はアミノ酸の一種で、体内の様々な代謝に関与し、疲労回復に効果的と言われています。また血圧を下げるルチンという成分も多く含んでいるので、血圧が気になる方に嬉しい効果が期待できます。
アスパラガスの保存方法
アスパラガスは、鮮度が味に大きく影響するため、買ったその日に調理することが重要です。0℃で保存したとしても、3~4日が限度です。家庭で保存する場合は、ラップに包み、冷蔵庫の野菜室に立てておけば、翌日くらいまでもたせることができます。アスパラガスはもともと変質しやすい野菜ですので、長期保存はしないようにし、調理する日に購入するようにしましょう。
もし、どうしてもすぐに食べられない場合は、軽く茹でてから冷凍保存すれば野菜室で保存するよりも長持ちさせることができます。
アスパラガスの旬と時期
アスパラガスの旬の時期は春から夏ですが、国内では周年出回っており、グリーンアスパラガスとホワイトアスパラガスで旬が違うということもありません。
アスパラガスの賢い使い分け
アスパラガスは太めの方が甘くて柔らかく、味が良いとされています。茹でる時には、切ってから茹でると、切り口から旨みが溶け出してしまうので、切らずに茹でるようにしましょう。
アスパラガスの下準備
根元の硬い部分は火が通りにくいので、下の2センチほどは切り落とし、残った下の部分も3センチほど外皮をピーラーでむくとやわらかく調理することができます。口当たりを良くしたい時には、茎に付いている三角のハカマの部分を包丁で取り除くといいでしょう。
アスパラガスをおいしくするワンポイント
ホワイトアスパラガスを真っ白に仕上げたい
ホワイトアスパラガスは、白さが魅力の1つです。真っ白に茹で上げたい時には、レモン汁を加えて茹でると白く美しく仕上がります。ちなみに、ホワイトアスパラガスは欧米では春を告げる野菜として、人気が高い野菜です。
輸入品のアスパラガスの根元が赤茶色になっている
輸入品のアスパラガスの根元が変色しているのは、生育期に低温だったことが原因と考えられています。赤茶色になるのはポリフェノール類なので、品質には問題ありません。
アスパラガスの種類
ホワイトアスパラガス
光を当てずに軟白栽培したもので、ほろ苦く旨みが強いのが特徴です。
紫アスパラガス
皮にアントシアニンを多く含みます。グリーンアスパラガスにくらべると糖度が高めで、やわらかいのが特徴です。
ロングアスパラガス
50センチまで成長させても穂先が開きにくいため、長く育てることができる品種です。「さぬきのめざめ」という品種で販売されています。
ミニアスパラ
長さが10センチほどのものを若いうちに収穫したもので、タイなどからの輸入品が多いです。
アスパラガスは癖が少なく、歯ごたえが抜群でベーコンなどの塩気が強いもの、バターや牛乳などの乳製品とも相性抜群です。グリーン以外のアスパラガスを食卓に出せば、一気にお店のような華やいだ雰囲気を演出できるので、取り入れてみてはいかがでしょうか。
参考:「野菜と果物の品目ガイド〜野菜ソムリエEDITION」(農経新聞社)