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フード・コンピュータとは? 仕組みとメリットは?温暖化や災害に強い農業を応援?

連載企画:農業キーワード

フード・コンピュータとは? 仕組みとメリットは?温暖化や災害に強い農業を応援?

場所や時期を問わず、最適な環境で作物を栽培することができたらいいと思ったことはありませんか。それを実現する手段として今注目を集めているのが、IT技術による屋内食糧生産システム「フード・コンピュータ」です。
海外では、最新技術を活用して農作業の省力化や生産性向上を図るスマート農業が広がりを見せています。今回は、ロボットシステムとセンサー技術を駆使したフード・コンピュータによる驚きの栽培方法に迫ります。

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温度や二酸化炭素量を制御 最適な生育環境を保つ栽培ルームとは

フード・コンピュータは、米MIT(マサチューセッツ工科大学)メディアラボのケイレブ・ハーパー研究員が率いるチームによって開発されました。バジルやカボチャなどさまざまな作物の最適な生育環境データをプログラミングした「クライメイト(気候)・レシピ」を作成。クライメイト・レシピに基づき、温度や湿度、空気中の二酸化炭素や水素イオンの量、照度などを管理した栽培ルームで作物を育てる仕組みです。

ピンク色のLEDライトが光る栽培ルームでは、植物が吸収する水分やミネラルの量なども常時監視しています。屋外の農場で生産するより少ない水で済み、短期間で収穫することも可能だそうです。

一方、クライメイト・レシピの構成要素を調整すれば、作物の風味や生産量を自分の好みに変えることができます。

設計などのデータ公開 温暖化や災害に負けない農業を応援

フード・コンピュータの狙いは、近年深刻さが増している地球温暖化や激甚化する自然災害の影響を受けない農業を広めることです。このため、ハーパー研究員らは、インターネット上でフード・コンピュータの設計を公開。さらに、クライメイト・レシピも掲載し、多くの人がダウンロードできるようにしています。

ハーパーさんらは、IT技術による作物栽培のツールであるフード・コンピュータを世界中の人と共有するこの試みを「オープン・アグリカルチャー・イニシアチブ」と呼んでいます。

デスクサイズからコンテナ規模まで

栽培ルームは、コンパクトなデスクサイズからコンテナ規模までとさまざまで、幅広い対応が可能です。家庭のキッチンの片隅や学校の教室、建物地下の空きスペースなど、フード・コンピュータを利用する人が自分のライフスタイルに合った規模の栽培を選ぶことができます。

農業は地域の風土や天候の影響を大きく受けるイメージが強いかもしれませんが、フード・コンピュータを使えば、世界中のどこででも、おいしい野菜を安定的に収穫できそうです。近い将来、みなさんのご家庭で、観葉植物の横には小さな栽培ルームがあるような光景が、当たり前になるかもしれません。

上記の情報は2018年1月20日現在のものです。

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