日本では入手困難な野菜も
最近、有機栽培など品質にこだわった野菜を取り扱うレストランや、変わった品種を扱うレストランが増えています。料理のジャンルも多種多様で、使われる食材の中にはそもそも日本で入手しづらい野菜もあります。例えばペルー料理の材料では、独特の甘い香りが特徴のハーブのワカタイ、丸みを帯びた唐辛子ロコトなどが欠かせませんが、国内であまり流通していません。
また、比較的手に入りやすい野菜であっても、盛り付けを重視しているレストランでは、普段出回っているサイズよりも小さいものが欲しいなど、さまざまな要望があります。
リクエストにきめ細かく対応
このような要望に応えるべく、オーダーメイド野菜の生産に特化する農家が出てきました。栽培に手間や時間がかかる半面、うまく契約先を見つけることができれば高値で売ることができるためです。レストラン側の要望を受け、香辛料などに利用されるコリアンダーをベビーリーフの状態で出荷するなど、完全受注生産を基本スタイルとしているところもあります。国内で手に入りにくい野菜については、栽培ノウハウを学ぶため、海外の主な生産地を訪れることもあります。
オーダーメイド野菜の生産を手掛ける農家は、野菜を必要としているレストラン経営者らと密なコミュニケーションを取ることを重んじています。味、形に関する要望はもちろん、まだ使ったことのない別の品種を少量だけ試したいというようなリクエストにも細かく対応するよう心がけているそうです。
自治体もオーダーメイドを支援
オーダーメイド野菜の生産を行政が支援する動きも出ています。
埼玉県は2016年度から、オーダーメイド野菜の生産地を支援する事業をスタートさせました。県内に多く立地している食品メーカーなどが、サプリメントなどの加工向けにどのような野菜を求めているのかを調査。生産対応できる農家とのマッチングを図り、必要となる機械や施設の導入費用を補助します。県の野菜生産の競争力を高めるのが狙いです。(※1)
ある日訪れたレストランで珍しい野菜を目にしたら、それはひょっとするとオーダーメイドによって作られた野菜かもしれません。お店のこだわりが実現する陰には、リクエストに丁寧に対応する農家の熱意と努力があるようです。
上記の情報は2018年2月20日現在のものです。