日本のピカイチ素材 伊豆の「白ビワ」
近年、食品偽装の問題などからトレーサビリティをうたう商品やサービスが増えている傾向にあります。サティス製薬は、今まで以上に重視するようになった「ナチュラルで高性能」な化粧品を作りたいという消費者の思いを受けとめて、様々な農家と出会うことで素材開発の輪を広げてきました。多くのプロジェクトを手がけた中で、事例をいくつか教えていただきました。
まずは、「白ビワの葉」に着目した例です。白ビワの葉は、抗炎症作用に優れた性質を持つ化粧品原料として開発されました。全国でも伊豆地方の土肥地域でしか栽培されていない白ビワは、「幻のビワ」と呼ばれています。これこそが、世界に自信を持って発信できる日本の天然素材だと考えました。サティス製薬ではそのような素材のことを「ピカイチ素材」と呼んでいます。
廃棄していた栗皮に着目
また、植物性のヒト型セラミドに着目した例もあります。サティス製薬の研究員が、栗の実の乾燥を防いでいる、栗皮の成分に目をつけました。むき栗を生産する際に栗皮が大量に発生して、廃棄することになります。その栗皮を化粧品に有効利用するために、栗の生産が盛んな茨城県笠間市で栗商品を販売する「小田喜商店」に提供してもらうことになりました。
栗皮からエキスを抽出して分析したところ、ヒトの表皮の細胞間脂質を構成しているセラミドと同等の構造を持ったヒト型セラミドを多く含有していることが判明したのです。人のセラミドと構造が大きく異なる化学合成物質や、コメ、トウモロコシなどの植物から製造するセラミドと比べると、ヒト型セラミドは優れた皮膚のバリア効果が期待できるといいます。
そして廃棄物となっていた栗皮が、化粧品原料として新たな価値が産まれることによって地域の農家に利益が還元できた一例でもあります。