フラットな場づくりの重要性を痛感
「若いスタッフには、旅をしたり色々な経験をしてほしい。自分が休んでも仕事が回るように、皆で話し合って決めてくれるのなら、できる限り自由に働いてほしい」と話す高橋さん。そう力を込めるわけは、会社員として過酷な環境でがむしゃらに働いた過去にありました。
子どもの頃からの夢だったファッション系の仕事に就くため、地元の高校を卒業後、専門学校を経て、東京のアパレル系デザイン事務所にスタイリストのアシスタントとして就職しました。働きぶりが認められ、社員となり営業や広報などあらゆる仕事を任されるも、ほぼ休みはなく、濃密な日々が目まぐるしく過ぎていきました。子供の頃から憧れていたスタイリストと一緒に仕事をするという目標が叶ったところで、自分の生き方を見直したといいます。
22歳で本庄市の実家に戻り、もう一つの夢だったシンガーソングライターを目指しながら、実家の農家を手伝う日々が始まりました。良いものを作ることにこだわりながら、「日本の農業全体を良くしよう」という志を持って働く父親の姿を、初めて格好良いと感じ、農業に深く興味を持つようになったといいます。農村の過疎問題をテーマにした『ばあちゃんの畑』など農業への思いを込めた曲を発売するなど、夢を叶えながら、農の現場で「働きやすい環境づくり」に取り組んでいます。
「報酬や福利厚生ももちろん大事ですが、働きやすい職場で一番大切なものは、雰囲気だと思います」と高橋さん。繁忙期である収穫期の出勤ペースや、長期休暇の取り方を任せるなど、社員の自主性を信頼し、自由に意見が言いやすい環境づくりを意識しているといいます。
「誰かのひと言が、課題の解決や、一人では絶対に気が付けない、効率化のきっかけになる。経営者はスピードを最も大切するものだから、遠慮せずにその時気が付いたことをどんどん言って欲しい」と、高橋さん。
実際に、ねぎの収穫時に「普段ではありえないところ」に泥が詰まっているという事象が多発し、スタッフと一緒に原因を調べたところ、台風の被害が原因だということが判明したといいます。原因が分かれば、翌年からの栽培に活かすこともできるので、大人数で農業を取り組むこと、またフラットに意見を言い合える場づくり大切さを実感したといいます。
若い人に、“志をもって働く場所”として、積極的に選んでもらえるような農家になりたい。高橋さんからは、そんな思いを感じました。将来的には、音楽と農業が楽しめる観光農園を創りたいという夢もあるそうです。2018年1月現在、スタッフを募集中。お問い合わせは、こちらもしくは、高橋農園代表(090-8581-8602)へ。