様々な料理に使いやすいキャベツ
キャベツは、和食・洋食・中華とどんな料理にでも使いやすい野菜です。天候の変化や季節によって価格が大きく上下します。
日本では、季節に合わせた品種がたくさん生まれています。春はサラダに向いたやわらかい品種が、冬はスープなどの煮込み料理で甘みが引き立つ品種などが出回っています。
原産はヨーロッパで、古代ギリシャ・ローマ時代には食用とされていました。日本に入ってきたのは江戸時代。オランダ人が長崎県に持ち込んだとされており、当時は「オランダ菜」と呼ばれていたと言います。
鮮度の良いおいしいキャベツの見分け方
鮮度の良いおいしいキャベツは、外の葉が濃い緑色をしています。そして、芯の切り口が新しく、巻きが固いのが特徴です。見た目よりもずっしりと重みがあるものを選びましょう。カットされたキャベツを選ぶ時には、芯の切り口が黒ずんでいないか、チェックするようにしましょう。芯の高さが3分の2以下のものが、新鮮なキャベツの目安とされています。
キャベツの栄養
キャベツに含まれる栄養の中で特筆すべきは、何と言ってもキャベツ由来のビタミン、ビタミンU、別名「キャベジン」です。キャベジンは胃腸薬の原料となる成分で、同じ名前の胃薬が発売されているなどよく知られている栄養素です。キャベジンは春キャベツの中心に近い黄色い葉の部分に多く含まれていると言われています。
また皮膚や粘膜の健康維持に役立つと言われているビタミンCは淡色野菜の中で多く含まれています。さらに胃腸の働きを整える食物繊維や、体と骨を作るカルシウムも豊富に含んでいます。
キャベツの保存方法
キャベツを保存するときは、芯をくりぬいて水で濡らしたキッチンペーパーを差し込み、ビニール袋に入れて冷蔵庫の野菜室で保管しましょう。
カットしたものはラップで包んで早めに食べきるようにします。キャベツは、重なった部分から腐敗していく性質があるので、保存する際は上にものを置いたりしないように気をつけましょう。
キャベツの旬と時期
キャベツは季節にあった品種がたくさんあります。大別すると、やわらかい春キャベツ、高冷地で生産される夏秋キャベツ、冬に出回る寒玉の3つがあります。キャベツの産地として生産量が多いのは、群馬県、愛知県、千葉県など。
キャベツの賢い使い分け
春キャベツ
春キャベツは葉がやわらかく、内部まで黄緑色をしていて生で食べるのに適しています。付け合わせにする時には、繊維に沿って千切りにします。繊維に対して直角に切ると、口当たりがやわらかくてサラダにぴったりです。
冬の寒玉
冬の時期に出回る寒玉は、加熱すると甘みが増すので、ポトフやロールキャベツなどの煮込み料理に向いています。キャベツに多く含まれるキャベジンなどのビタミン類は水に溶けやすく熱にも弱いため、煮込時間を短くして、スープごといただくようにしましょう。
キャベツの下ごしらえ
キャベツの葉を1枚ずつ破れないようにはがすにはコツがあります。まず芯をくりぬいて、その部分から流水をそそぎ、葉っぱ1枚1枚の間に水が浸透したのを確認してからはがすと、葉が破れずに綺麗にできます。数枚使う程度であれば、1枚ずつ丁寧にはがせば破れません。
キャベツをおいしくするワンポイント
キャベツの千切り
キャベツの千切りを家庭でうまく作るコツは、芯を切りとったあと葉をくるくると巻いてから千切りにすると上手にカットできます。
切り口に黄褐色の付着物がついているのは何?
キャベツの芯などの切り口の部分に、黄褐色のものがついていることがあります。これは植物が切断されて傷ついた部分を自分で修復するために細胞分裂を起こした結果なので、特に害はありません。
キャベツから石油のような匂いがする
キャベツなどのアブラナ科の植物は辛味成分を持っています。この辛味成分が分解されることでできるジメチルジサルファイドは、濃度が高まるにつれて石油に似た異臭を放つことがあります。害はないので安心して下さい。
キャベツの種類
寒玉
冬に出回る扁平な形のキャベツで、しっかりと固く巻かれています。加熱すると甘みが増すので冬のスープや煮込み料理にピッタリです。
グリーンボール
重さが1キロ前後で小ぶりのボール型をしているキャベツです。中まで緑色をしており、肉厚でやわらかいのが特徴。
春玉
春に出回る葉がやわらかいキャベツです。巻きが緩く、丸型。生食に向いています。
紫キャベツ
アントシアニンを含むため鮮やかな紫色をしているキャベツです。肉厚で巻きが固く、サラダの彩りやピクルスにピッタリです。
ポインテッド
まるでタケノコのように先が尖ったキャベツです。
日本の四季にあわせて新しい品種が生まれているキャベツ。一年中手に入る野菜ですが、季節によって味わいを楽しめる工夫が隠されています。ぜひキャベツを、様々な料理で楽しんでみてください。
参考:「野菜と果物の品目ガイド~野菜ソムリエEDITION」(農経新聞社)