さまざまな品種が誕生しているサツマイモ
サツマイモは、古くから食料不足の際の救世主として馴染みが深い野菜の一つです。用途によって品種を選ぶ楽しみがあるのもサツマイモの魅力です。最近は糖度が高いものが人気で、ホクホク系では紅あずまや金時などが、ねっとりした食味では安納芋などが特に人気を集めています。またムラサキイモも製菓用などとして、一般消費者からも注目されています。
鮮度の良いおいしいサツマイモの見分け方
鮮度の良いおいしいサツマイモは、皮にツヤがあって、肌がなめらかで、傷や黒い斑点がありません。ひげ根の穴が浅いものを選びましょう。切り口に蜜が出ているものは糖度が高い証です。
サツマイモの栄養
サツマイモにはたっぷりの食物繊維が含まれています。また、切り口から出ている白い粘液は、ヤラピンと呼ばれる成分で、食物繊維と合わせて便秘解消に効果があると言われています。また、でんぷんを非常に多く含むため、サツマイモに含まれるビタミンCが熱などで破壊されにくく、調理しても効率的に摂取することができます。
サツマイモの保存方法
サツマイモを家庭で保存するときには、温度と湿度に気をつけましょう。サツマイモは低温と乾燥に敏感なので、新聞紙に包んでから冷暗所に保存しましょう。加熱すれば、冷凍で保存することも可能です。一度カットしたものは傷むのが早いので、ラップで包み冷蔵庫の野菜室に入れて早めに食べきるようにしましょう。
サツマイモの旬と時期
サツマイモの旬と時期は、新物が9月から11月、貯蔵品は翌年1月から春ぐらいまでです。
新物はもちろんおいしいですが、貯蔵品は水分が適度に蒸発して甘みが強くなると言われています。サツマイモの生産量が多い都道府県は、鹿児島県と茨城県、千葉県などです。
サツマイモの下ごしらえ
綺麗に仕上げたいときは、皮の内側にある太いスジの部分まで厚めに皮をむくことで見栄えが良くなります。皮は食物繊維が豊富なので、捨てずに油で揚げて手作りおやつにしたり、きんぴらに利用したりするのが良いでしょう。
アク抜きは、切った後に水で洗ってから、さらに水にさらすようにしましょう。きんとんやスイートポテトなど、色を鮮やかに仕上げたいときには、時々水を変えながら10分程度水にさらします。ただし、水にさらす時間が長いとビタミンCが溶け出してしまうので、仕上がりの色を気にしないときには、2、3分ほどさらせば十分です。
サツマイモをおいしくするワンポイント
甘みを引き出したいときは?
サツマイモはゆっくりと熱を加えることで、でんぷんを糖に変える酵素が活発化します。甘みを引き出したいときはこの性質を利用して、じっくりゆっくりオーブンなどで加熱するのがいいでしょう。
サツマイモを食べるとおならが出る?
サツマイモを食べるとおならが出ると一般的に言われているのは、食物繊維が多く糖分が発酵することで腸内にガスが発生しやすくなるためです。これを防ぐには、皮ごと食べるのが有効です。皮には糖分を分解する酵素が含まれているため、ある程度ガスの発生を抑えることができます。
同じ品種なら小さいほうが甘みが強い
同じ品種のサツマイモで比較すると、小さい方がより甘みが強いと言われています。このため、小ぶりのものは焼き芋などに利用し、太くて大きいサツマイモは天ぷらなど味をつけるような調理にするといいでしょう。
サツマイモの種類
ベニアズマ
関東地方で多く生産されている品種。皮は濃い赤紫色で中は鮮やかな黄色で、食感はホクホクしています。繊維が少ないため口あたりがよく、糖度が高く甘みが強いため根強い人気を誇ります。
紅はるか
紅色の皮と、中身は白っぽい色のサツマイモ。食感がなめらかで糖度が高いことから焼き芋用として近年非常に人気を集めています。干し芋に加工されることもあります。
金時
地方によって名前が異なる、高系14号の品種です。ホクホクしており、なめらかな食感が特徴です。徳島券の「鳴門金時」や、石川県の「五郎島金時」は、全国的にも有名な品種です。
安納芋
鹿児島県種子島特産の品種です。明るいオレンジ色で、糖度が非常に高く甘いため、別名「蜜芋」と呼ばれています。
パープルスイートロード
アントシアニンを多く含むため、皮も中身も紫色をしているのが特徴です。生食の他に、ソフトクリームやスイートポテトなどお菓子の材料としても多く利用されています。
サツマイモが昔に比べて随分甘くなっていて驚いている方も多いのではないでしょうか。食事にもお菓子にも利用できるサツマイモ。ぜひ様々な品種を食べ比べてみてください。
参考:「野菜と果物の品目ガイド〜野菜ソムリエEDITION」(農経新聞社)