薬膳の世界から見たサツマイモ
薬膳の世界でサツマイモは、五気は平、五味は甘の食べ物です。サツマイモの漢名は甘藷(カンショ)といい、別名「カライモ」「リュウキュウイモ」「トウイモ」と呼ばれています。
みなさんは、サツマイモにどんなイメージがあるでしょうか。おばあちゃんから「第二次世界大戦中は食料難で、毎日毎日サツマイモを食べていたので、未だにサツマイモが嫌い」という話を聞いたことがある人もいるかもしれません。そういったイメージから、サツマイモは貧しい食卓の代表のように扱われることがありますが、侮ってはいけません。薬膳的に見ても、サツマイモはとても体にいい優秀な食べ物です。
サツマイモは胃も心も整える
薬膳ではサツマイモを蒸す、ふかし芋は、胃腸を元気にしてくれる効果があり、人が本来持っている生命力を養う働きをすると考えられています。
また、なんだか気力が出ない時、やる気がわかないとき、ストレスが原因で食欲不振や便秘になっている時など、気持ちの面が原因で体調を崩している時に効果があると言われています。
サツマイモのビタミンは柑橘類並
ビタミンを豊富に含む食べ物として、最初にイメージするのがレモンなどの柑橘類です。サツマイモはなんとその柑橘類に匹敵するほどビタミンCをたくさん含んでいる食べ物です。ビタミンB群、β-カロテンも多く含みます。このように栄養満点のサツマイモは常食することで、五臓を補ってくれます。
サツマイモの薬膳的利用法
煮たサツマイモ
サツマイモを煮たものを常食すると、黄疸(おうだん)に効果があると言われています。
胃を丈夫にするには
胃腸が弱くてお悩みの場合におすすめなのが、サツマイモと少量のショウガ、ナツメ、紅花(コウカ)を煮て食べること。胃を丈夫にしてくれると言われています。
魚の骨が引っかかったら
焼き魚や煮魚の小さな骨が喉に引っかかったまま取れない。そんな時は、ご飯を噛まずに飲み込むというのはよく知られていますが、ふかしたサツマイモをあまり噛まずにのみこんでも同じように骨を取り除くことができるでしょう。
下痢にも効果的
下痢にお悩みの場合は、サツマイモの粉を少しのハチミツで練って食べると効果があると言われています。
サツマイモの食べ過ぎた場合には
サツマイモを食べ過ぎるとオナラが出るというのはよく聞く話です。実際、サツマイモには腸にガスを貯める性質があるので、食べ過ぎには注意するようにしてください。
薬膳料理に挑戦「サツマイモのシナモン(経皮)ミツ煮」レシピ
今回、紹介するのはデザート感覚でおいしく食べられる薬膳レシピです。サツマイモやシナモンは共に胃をよく温め、血行を良くしてくれる働きを持っているので、胃の働きが弱く、貧血や冷え性の女性にぴったり。甘みを少し足して作ることで、便秘解消も期待できます。
材料(2人分)
・サツマイモ 2~3個
・ザラメ糖 50グラム
・シナモン 2グラム
・レモン汁 少々
作り方
1.鍋に水を2カップ入れ、ザラメ糖、シナモン、レモン汁を加えて火にかけます。ザラメ糖が溶けるまで煮込みましょう。
2.サツマイモはよく洗い、皮付きのままで3センチの厚さの筒切りにします。面取りをしたら水にさらしてアクを抜きましょう。
3.ザラメ糖を煮た鍋にアク抜きしたサツマイモを入れて柔らかく煮込んでいきます。
4.サツマイモに火が通ったら取り出し、シナモンをすくい取り、煮汁はこしましょう。
5.こした煮汁はとろ火で煮詰めて、シロップを作ります。最後にサツマイモに回しかければ出来上がりです。
甘くておいしいサツマイモの薬膳効果について紹介しました。栄養学の観点から見ても、サツマイモにはビタミン類が柑橘類並みに多く含まれ、β-カロテンなどの栄養素もたっぷり含まれていることがわかりました。
体の血行を良くして胃を温めて丈夫にしてくれるサツマイモは、胃だけではなく、気持ちも整えてくれる素晴らしい食べ物です。胃腸や心に元気が欲しい時はぜひサツマイモを試してみてはいかがでしょうか。
参考書籍:『台所薬膳 身近な食べ物135種の薬効を活かす』(万来社)