薬膳の世界から見たクワイ
薬膳の世界でクワイは、五気は涼、五味は甘と苦に分類される食べ物です。漢名は「慈姑(ジコ)」といい、クワイは大きく二つに分けることができます。
おせち料理などに欠かせない日本で使われるクワイはオモダカ科の植物で、中華料理に使用されるクロクワイはカヤツリグサ科に属します。つまりクワイとクロクワイとでは、薬膳の効果が異なってきます。
中国では「百毒と悪瘡丹毒(あくそうたんどく)を解き、毒ヘビに噛まれた傷を直す」と呼ばれるほどに、薬膳効果が高いとされる食べ物です。まるで毒下しのような言い方ですが、実際はニキビやできもの、はれもの、吹き出物、暑気あたり、尿路結石などに効果があるとされています。
クワイの主成分は糖質ですが、リンとカリウムなどを含みます。実は中国ではクワイは「浮気封じの薬」とも呼ばれていて、その理由は、クワイを食べすぎると性欲が減ってしまうからなのだとか。普通に食べる分には問題ないのでご安心を。
クワイの薬効が実だけではなく、花にも含まれています。炎症を鎮める効果があり、痔瘻や腫れ物にも効果的だと言われているんです。
薬膳の世界から見たクロクワイ
中華料理でよく利用されるクロクワイはクワイとは違い、五気は寒、五味は甘です。クロクワイの漢名は蒡薺(ホッセイ)といいます。
クロクワイの効能は、喉の渇きや、疼痛から引き起こされる熱をとることです。高血圧の予防に効果があると言われています。
クロクワイの薬効を得やすいとされるのが、汁を絞って飲む方法。喉の腫れや痛みにも効果的だとされています。
クワイの薬膳的利用法
産後の血の乱れや難産予防に
産後の血の乱れや、貧血状態の改善、難産の予防などには、クワイを煮たものをたくさん食べるのがおすすめです。すりおろした汁を飲むことも効果的だといわれています。
尿路結石にはクワイのスープ?
尿路結石に効果が期待できると言われているのが、クワイのスープです。クワイを煮て、煮汁ごといただきます。
腫れもの、できものにも
皮膚にできた腫れ物、できものにもクワイがよく効きます。クワイをついたものと黄檗(おうばく)の粉末を合わせてから塗ると効果的とされています。注意点は、患部が化膿する前に塗るようにしましょう。
薬膳料理に挑戦!「クワイのゆず風味」レシピ
「百毒の薬」と言われているクワイの薬効に、胃から酒毒を解放する力を持つと言われるユズを組み合わせて相乗効果を高めたレシピです。
材料(2人分)
・クワイ 4個
・酢 少々
・煮汁(だし3カップ、三温糖大さじ2、みりん大さじ1、塩・薄口しょうゆ各小さじ1/2)
・ゆず 1/2
作り方
1.クワイは洗ってから下ごしらえを行います。芽を切り落とさないように注意しながら、芽の付け根に包丁をぐるりと入れて、見た目がきれいになるように芽から放射状に皮を向いていきます。
2.水を張ったボウルにいれてアクを抜きましょう。
3.クワイを鍋に入れてひたひたの水、酢少々を加えて七分どおり茹でます。茹で汁に酢を加えるのは、クワイを白くきれいに茹で上げるためです。
4.別の鍋に煮汁を全て合わせて入れ、クワイも入れます。紙か布の落しブタをし、中火から弱火の間で火加減をみながら煮汁が半量になるまでゆっくりと煮詰めていきましょう。
5.ユズはよく洗って皮の表面のワックスを落とし、水気を拭いてから表面の皮をすりおろしましょう(ユズは皮だけ使います)。
6.器に盛り付け、残った煮汁も張り、おろしユズを散らして香りがたった頃が食べごろです。
クワイは、単独で食べてもおいしいですが、他の野菜と一緒に炒めたてもとても美味しく頂くことができます。
参考書籍:『台所薬膳 身近な食べ物135種の薬効を活かす』(万来社)