広島県の概要と主な取り組み
各都道府県で伝統野菜や特産品をアピールする制度を儲けている今。広島県は非常にユニークな取り組みをする県の一つといえます。
平成26年から始まったばかりの「広島県産応援登録制度」は、広島県産の農林水産物のブランド化と、生産者の所得向上を図ることを目的としています。
「生産者が、自慢の生産物をPRする」という点では他の県と同じですが、その商品をスーパーやコンビニなどの小売店、食品製造、ホテルなどの飲食業界のプロフェッショナルたちが本気で審査をし、合否を決定しているのです。しかも、その審査基準も一風変わっており、「味」、「育て方」だけでなく、「ストーリー性」も重視しているのだとか。
晴れて合格した商品だけが「広島県産品応援登録制度」のロゴマークを付けることができます。つまり、このロゴマークが付いている商品はプロフェッショナルのお墨付きというわけなのです。平成29年11月の時点では、グリーンアスパラガス、赤ナシ、レモン、広島牛に、トマトやシラス、カキの燻製など303商品が登録されています。
クワイ
クワイの特徴
クワイは、冬に芽を出す珍しさから、平安時代より縁起物として珍重され、お正月料理や祝いの席には欠かせない野菜です。特に、研究を重ねて生まれた福山クワイは、青クワイ特有の澄んだ空色をしており人気が高い品種です。実は、広島県はクワイ生産においても全国1位の生産数を誇ります。
クワイの名前の由来
和名のクワイのいわれは、葉っぱが鍬(くわ)に似ていることから鍬芋と呼ばれるようになり、それがいつしか略されて「クワイ」となったといわれています。
クワイのおいしい食べ方
縁起物としてお正月の煮物などに使われることが多かったクワイですが、近年は若者の趣向に合わせた、クワイチップスやクワイの唐揚げなどの新しい食べ方も提案されるようになりました。また、クワイ焼酎なども誕生しています。
赤ナシ(幸水、豊水など)
赤ナシの特徴
広島県、世羅郡世羅高原の特産品となっているのが、「幸水」「豊水」などの品種を中心とする赤ナシです。これらが植栽されるようになったのは1963年のことで、55年以上にわたり世羅郡で大切に育てられてきました。
この地は年間を通して平均気温が12.8度、気温の差が激しく、降水量にも恵まれているため、実が大きくて甘い赤ナシを生産することができるのです。
収穫時期
赤ナシは品種によって収穫時期が異なり、「新水」「愛甘水」は8月の上旬から中旬にかけて、「幸水」は8月中旬から9月初旬、「豊水」は9月上旬から10月初旬となっており、品種による出荷リレーで8月から10月までナシをたっぷり味わうことができます。
赤ナシの加工品
世羅高原で生産された赤ナシを使用してたくさんの加工品も販売されています。ゼリーやジャムはもちろんのこと、最近では「梨ジュース」などの販売も開始し話題を集めています。
広島牛
広島牛の特徴
広島県内で肥育された黒毛和牛のうち、日本食肉格付協会の審査によって肉質等級が4以上に格付されたものだけが、「広島牛」として世の中に流通します。
広島牛は筋繊維が細かく、無駄な脂肪が少ないため、肉質は鮮やかな紅色をしています。小さなサシが細かく入り、繊細な味わいにコクと豊かな風味が加わって、噛めば噛むほど和牛の美味しさが口に広がります。
広島牛の歴史
広島県北部は古くから和牛産地として知られており、江戸時代から科学的な改良方法で系統を作り出し、広島牛でも代表的な「神石牛」や「比婆牛」を生産してきました。この2つの優れた部分を併せ持った和牛として満を持して誕生したのが「広島牛」なのです。
カキ
カキの特徴
広島といえば外せない特産品がカキです。なんと450年以上も前から養殖されており、広島県の代表的な水産物となっています。生産量では全国シェア1位を誇ります。
10月から5月頃まで出荷されていますが、12月から2月頃の寒さが厳しい季節が最もおいしい季節だといわれています。
カキの加工品
広島県では、生食用、加熱用の生ガキ以外にも、多くの加工品を生産しています。燻製や缶詰、生姜煮や干しガキなどは日持ちもするので土産にもぴったりです。
バイヤーや飲食店などの食のプロッショナル選定された商品は、広島の食材を楽しむうえで参考になりますね。広島県でおいしいものを探すときには、「広島県産品応援登録制度」のマークを探してみてください。
※ 各品目の内容は、本調査時点(2014年9月~2015年)のものをベースに作成しています。一つの目安としてご理解下さい。
参考:『日本の地域食材2015年版』(NPO法人 良い食材を伝える会)