ゴマの紹介
ゴマは別名「ウゴマ」とも呼ばれます。体内における熱寒性を表す生薬の薬性「五気」は、ほどよい熱寒性を持つ「平」となっています。また、生薬の味である「五味」のなかでは、「甘」を持つ食材です。
ゴマは、良質なたんぱく質、不飽和脂肪酸などの脂質、カルシウム・鉄などのミネラル類といったものを豊富に含みます。滋養強壮作用がある食べ物としても知られています。
ゴマには黒・白・茶の3種類があります。食用として最も用いられるのが黒ゴマです。白ゴマは脂質の多さから油を取るために、また生産量の少ない茶ゴマはその香りの良さから茶道で活用されていることが多いです。
なかでも特に薬効が多く、薬用として広く使われているのが黒ゴマと言われています。
黒ゴマの薬効
ここからは、黒ゴマの薬効について見ていきましょう。
主な働きとして、次のようなことが挙げられます。
・肝臓・腎臓機能を補う
・胃腸を丈夫にする
・補血作用によって髪を黒くする・筋肉や骨を丈夫にする・美肌にする
胃腸を丈夫にし、また潤す薬効は、特に乾燥性の便秘に効果的です。また、貧血で疲れやすい人や冷え性、乾燥肌の人にもおすすめの食材と言えるでしょう。
筋肉や骨を丈夫にする働きもあるため、足腰の弱ったお年寄りや腰痛持ちの人にも、積極的に食べることが推奨されています。
また、近年はゴマに抗酸化作用を持つビタミンEやゴマリグチンが豊富に含まれていることもわかり、肌をなめらかに整える働きがあると言われています。
そして、ゴマ油には便秘・解毒・美肌といった効能があると言われています。他にも潰瘍や湿疹、あかぎれなどにも効果的とされているため、調理以外にも幅広い用途で活用できると言えるでしょう。
中国医学の観点では
ゴマは、中国医学でも注目されている食材です。さまざまな症状に効果が期待できると報告されています。
・慢性の神経炎
・高血圧症 など
ゴマを食べる際の注意点
ゴマを食べる際は、どんなことに注意すべきなのでしょうか。
ゴマの外皮は消化しにくいため、すって使うことをおすすめします。良くすりつぶして使うことで、胃への負担を抑えることができます。
また、ひどい下痢や帯下(こしけ)の人にはあまり向かない食材のため、注意しましょう。
ゴマの主な利用法
ゴマの利用法としては、「常食する」「氷砂糖と混ぜて服用する」といったことが挙げられます。
ゴマを常食する
便秘しがちな人で、特に乾燥便に悩んでいる人におすすめです。黒ゴマをすったものを、毎日常食することで、便秘改善が期待できます。
氷砂糖と混ぜて服用する
乾燥性の咳などに効果的とされています。黒ゴマ125グラムと氷砂糖30グラムを混ぜてどろどろになったものを、15~30グラムを目安に朝夕の2回に分けてお湯で飲みます。
ゴマを使った台所漢方
ここからは、黒ゴマを用いたおすすめの台所漢方の作り方を紹介します。
黒ゴマのドレッシングは、温野菜やサラダやイカ、ホタテ貝柱などの刺身にかけるとよく合います。
便秘や咳に効果的なゴマと、血圧を下げる働きを持つ酢を合わせることで、薬効のあるドレッシングとしても活用することができます。
「黒ゴマのドレッシング」
黒ゴマのドレッシングの材料(2人分)は、次の通りです。
・黒ゴマ……大さじ2
・黒酢……カップ1/2
・サラダ油(オリーブオイルや紅花油でも可)……カップ1/2
・レモンの絞り汁……1/2個分
・おろしタマネギ……1/2個分
・塩……小さじ1/2
・こしょう……少々
作り方
1.黒ゴマは軽くいり、半分は細かい切りゴマにします。もう半分は油がにじんでくるまですり鉢ですりましょう。できたら、切りゴマを合わせます。
2.分量の黒酢と、サラダ油やオリーブオイル、レモンの絞り汁、おろしタマネギ、塩、こしょうを加えて混ぜます。
3.黒酢やサラダ油などを混ぜたものに、用意しておいた黒ゴマを加えます。よく混ぜ合わせれば、黒ゴマドレッシングの完成です。
調理のワンポイントアドバイス
黒ゴマドレッシングには、味噌を合わせれば黒ゴマ味噌だれになります。また三温糖やハチミツを加えれば黒ゴマの甘だれにもアレンジすることができます。
好みに合わせてバリエーションを増やせば、毎日飽きることなく黒ゴマを摂ることができるでしょう。
毎日大さじ1~2杯を習慣づける
ゴマの薬膳としての効能や、ゴマを利用した台所漢方のレシピなどを紹介してきました。
ドレッシングやたれにすることで様々な料理にかけることができるため、色々な食材とともにバリエーション豊かに楽しめる食材でもあります。
便秘などの悩みがない人でも、健康や美容への効果が期待できるため、毎日の食事に取り入れてみてはいかがでしょうか。
参考書籍:『台所薬膳 身近な食べ物135種の薬効を活かす』(万来社)