食農教育通じて人材育成
「農業にふれる機会を子どもたちに持たせてあげたい」という親の声を受けて、2012年からスタートしたのが「あぐりちゃれんじ」というボランティア活動。北海道教育大学釧路校の学生をはじめ、釧路市内に住む子育て中の親などのメンバーで結成される実行委員会が企画、運営。親と子が、食教育と農業体験学習を一体的に実施する「食農教育」を通じて、「食の大切さ」を学ぶ機会は、将来、教育現場に立つ学生の人材育成と、行政と市民の連携の場としての機能を併せ持っています。
農業の魅力伝える 学生指導に熱
「あぐりちゃれんじ」の対象となるのは、釧路市に住む親子。2017年は20家族が登録しています。年間20回程度の活動において、大学農場での栽培体験や味噌づくりなど、地域資源を活用したオリジナルのプログラムを展開しています。2017年9月に実施した「こんにゃくをつくろう」をテーマにした活動は、大学農場で収穫したこんにゃく芋を使って、こんにゃくづくりに挑戦しました。「こんにゃく芋は、ピンク色をしているね」「何年かかってできたこんにゃく芋かわかる?」などと子どもたちに声をかけ、中心となって活動する学生は皆、日本農業検定2級を取得しています。農業の基礎知識を身に付けた彼らは、芋を細かく切っている最中に、芋に直に触れて「手がかゆくなった」という子どもにも慌てず対応する一幕も。
完成したこんにゃくは各自持ち帰りました。自宅でこんにゃくを試食した子どもたちは、手作りならではの食感を堪能したそうです。
こんにゃくづくりを指導した学生の一人は「包丁を持つことができなかった子が、包丁を上手に使うことができるようになり、成長を感じることができた」と話します。将来教員を目指す彼らにとっては、年間を通して、食育・食農教育の実践を体験できる場にもなっています。二年連続で活動に参加している保護者は「体験を通して農業の大変さを実感しているよう。食べ物の大切さを、大人になっていても覚えていてほしい」と話します。