樹木医とは
日本の国土の約7割を占める森林には、土砂流出抑制、水源かん養、生物多様性などの環境保全機能があります。この大切な森林機能の保全・育成とともに、悠久の時を刻んできた巨樹、古木を後世の財産として保全することが求められました。一方、都市部では公園や近郊の里山林など、都市環境の保全、微気候緩和機能を目的とした樹木の植栽や樹林の保全、管理が行なわれてきました。
自然環境下での樹木は、人為的接触が少なく倒木や枯死・分解などは問題となりません。しかし都市域では、病害虫害、特に腐朽(※1)によって、樹木が本来有する強度を失い、倒木することで人的被害や物損、重要文化財の建物などへの被害として報じられることが多くなっています。
※1. 腐朽…空気中に浮遊するきのこの胞子が樹体内に侵入し、樹木の内部や根株を腐朽させ、きのこを樹木の表面に発生させること。
これは、樹木の特性や生理を無視した植栽により、生育が阻害され、病気の耐性が低下し罹病による生理機能が低下することが一因です。また、未熟な維持管理技術で、樹木本来の形状が失われたり、腐朽菌の侵入により強度が低下した樹木が放置される現状もあります。
このことから、樹勢の回復や保護・維持・管理などにかかわる専門家の養成が急務とされ、平成3年度より始まった資格制度が「樹木医制度」です。この資格は、一般財団法人 日本緑化センター(以下「日本緑化センター」)が実施している民間資格の一つです。
樹木医は、樹木の調査や研究、診断、治療にはじまり、さらに公園緑地の計画や設計などを通して樹木の保護や育成、管理を行ったり、樹木に関する普及や指導などを行う専門家です。
平成29年度に新たに樹木医として認定された106名を加え、平成29年12月1日現在、認定者数は2,779名(女性は、そのうち304名)、登録者数は2,661名(女性は、そのうち303名)です。
※認定者数とは、平成3年度より平成29年度までに認定を受けた樹木医の数(物故者を含みます)となります。 登録者数とは、認定者数より物故者を除いた樹木医の数です。