妖精「くりどん」誕生
農作物の生産者として、「“安心”と“信頼”を消費者に届ける活動をみんなでしたい」。というメンバーの思いが形になったのは2007年のこと。小麦の活用法に関して話し合いを深めていた際に、町内産の小麦を使って子どもたちと一緒にうどんを作る食育イベントを企画し、町に提案。町内の小学生を対象にした、うどん作り教室が開かれることとなりました。
うどん教室の中で、ある小学生から「このうどんに名前ないの?」と質問を受けたことがありました。そのできごとをきっかけに、メンバーで話し合った結果、うどんに愛称をつけることに。さっそく、町内の小学生に愛称を募集したところ、約400人の子どもたちから作品が寄せられました。その中に、愛称と一緒に、イラストが添えられている作品がありました。当時のメンバーの心をわしづかみにしたそのイラストに描かれていたのは、うどんの妖精「くりどん」。町の名前とうどんを掛け合わせたニックネームと愛くるしいキャラクター。うどんの愛称とともに思いがけず、マスコットキャラクターも誕生しました。
延べ1300人の小学生とうどん作り
うどん作り教室の活動を続けていく中で、日本中で地域を元気にする「ゆるキャラ」がブームに。その人気を目の当たりにしたメンバーは、手作りで「くりどん」の着ぐるみを制作することにしました。出来上がった着ぐるみと一緒にうどん作り教室に登場すると、子どもたちは大喜び。「くりどん」がいることで、今まで以上に教室の雰囲気が明るくなったそうです。
この取り組みが地域に広く知られるようになり、町内の保育園や消費者協会などからも要請を受け、うどん作り教室は広がりを見せました。
小学生を対象にしたうどん作り教室が始まって10年目を迎えた2017年には、参加した小学生全員に「くりどん」のキャラクター入りランチョンマットをプレゼントすることに。メンバー全員で、普段使うことのないミシンに悪戦苦闘しながら、約100枚のランチョンマットを制作しました。
メンバーは、手作りのランチョンマットの上でうどんを食べる小学生の姿を見て、喜びもひとしおだったといいます。
参加した子どもたちは口を揃えて「くりどんがとても可愛かった」「うどん作りが楽しかった」と話します。家に帰ってから、両親と一緒にうどん作りに挑戦した子どももいたそうです。
メンバーは、これまでに約1300人の小学生と一緒にうどん作り教室を実施してきましたが、その中には、現在栗山町4Hクラブの一員になったメンバーもいます。
「10年後自分が教える立場になっているとは」と話すお二人は、「当時食べて美味しかったうどんを子どもたちに伝えていきたい」と活動に意欲を見せます。