自治体とタッグを組んで地域全体のブランド発信を
さらに最近は、自治体も地域活性化や農業の高付加価値化への支援に力を入れています。「商品開発、JR駅や道の駅などの販路の紹介、地元企業とのマッチング支援などを積極的に行っています。さらに専門家の力を借りながら、マーケティングや事業運営など高付加価値化をトータルで支援する自治体も増えています」と古賀さん。そのような支援は積極的に活用したいものです。
また自治体のもう一つ重要な役割として、地域全体のブランド力を高め、発信していくことがあります。そのよい例として古賀さんが紹介してくれたのが、兵庫県豊岡市です。ここでは長年、市がコウノトリの保護活動に取り組み、生物多様性を保全するための地域戦略を策定するなど地域としての方向性を形にしながら、それを熱心に発信してきました。そのうえで農協の呼びかけのもと、農家が農薬や化学肥料に頼らず、田んぼに水を深く張って栽培したお米を『コウノトリ育むお米』としてPR、販売しています。このような農家を始めとした地域の人が一体となった取り組みに、消費者からも多くの共感が集まっています。
地域ならではの魅力をどう打ち出すか。そのなかで農業がどのような役割を果たすべきか。確固とした方針を示し、旗を振り続けることで大きな流れをつくることも自治体が果たすことのできる大事な仕事と古賀さんは考えています。