外部の視点で地域と農業の魅力を掘り起こす
農業が他の産業と大きく違うのは、その土地と深く結びついていることです。農業はその地域特有の自然のなかで発展し、地域の景観、文化、人のつながりをつくりあげてきました。「農家はその地域の祭りや景観の維持・管理など、一般的な企業の経済活動からはみだすような役割も担ってきました。それを農業特有のコストとしてのみ捉えるのではなく、いかに自分の商品の付加価値に取り込むかという発想も重要な鍵のひとつです」と古賀さん。
独特な祭りや風習、農法や棚田など、その地域にしかないものこそ、ブランドとなる可能性があるのです。だから「他の地域の成功事例をそのまま持ってきてもうまくいかない」と古賀さんは指摘します。
また地域の魅力は、実はその地で暮らす人より、外部の人のほうが発見しやすかったりもします。農業も同じです。普段、農業に携わっていない人のほうが、その魅力や可能性に気づくことが少なくないのです。
「例えば都会の子供は、トラクターやコンバインに乗せてもらうだけで大喜びします。実はそのようなことへの気づきが、農業の新しい付加価値の発見につながるのです。だから農家の方には、稲刈り・田植え体験などの始めやすいことからでも積極的に交流の場を作ることをすすめています」と古賀さん。自治体や学校も、それらの受け入れを積極的に農家に依頼すべきだと言います。
また農業を通じた地域活性化は、必ずしも農家がリーダーシップをとる必要はありません。例えば、香川県のさぬきうどんブームは、タウン誌の編集者が辺鄙なところにあるうどん屋を面白がって記事にしたところから始まったとも言われています。農業の魅力や可能性も、もっと外部の人に発見してもらい、アピールしてもらっていいのです。
そのためにも、企業や自治体を始め、様々な視点をもつ人たちとのより良い連携をいかにつくるか。それがこれからの農業の発展、地域活性化の鍵となるのです。
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