滋賀県の概要と主な取り組み
滋賀県といえば、近江牛や近江米(おうみまい)などに注目が集まりがちですが、実は、古くから地元で愛され、大切に受け継がれてきた個性豊かな野菜もたくさんあります。
滋賀県では、「原産地が滋賀県内でおおむね明治以前の導入の歴史を有し、外観、形状、味等に特徴がある象徴的な野菜で、かつ種子の保存が確実に行われている野菜」という定義のもと14品種が「近江の伝統野菜」として選定されています。
伝統野菜は、生産量が少ない上に特有の味や食感を有することから万人受けするような食材ではありません。ですが、それぞれに地域の文化や歴史などのストーリーを持った食材です。
県では伝統野菜のブランド化を進めると共に、地域で生産されたものを地域で消費する「地産地消」を推進する運動「おいしが、うれしが」キャンペーンを展開して伝統野菜の普及に力を入れています。
滋賀県の主要農産物
滋賀県は、海に接していない内陸県であることから、海の幸はありませんが、豊富な農産物の宝庫となっています。特にカブ、小麦、大豆、ミズナ、荒茶(あらちゃ)は全国有数の生産地となっています。
赤丸かぶ
赤丸かぶの特徴
滋賀県米原市で栽培されている赤丸かぶは、滋賀県の伝統野菜として指定されています。このカブはその名前の通り、葉・茎・カブの中心部まで鮮やかな赤色をしているのが特徴で、彦根藩主の庭に栽培されていたものが庶民に広がったと言われています。収穫の時期は11月から翌年の2月頃となっています。
赤丸かぶのおいしい食べ方
赤丸かぶの魅力は何と言ってもその柔らかさと、漬物にした時の甘さです。生食の他に、サラダやバターソテーなどにしても美味しく食べることができます。
漬物として加工される工程の最初に行う「干し」には、琵琶湖から吹く北風が必要不可欠で、琵琶湖の岸辺に真っ赤に並ぶ「はさがけ」は、琵琶湖の冬の風物詩となっています。加工品としては、ぬか漬けや酢漬けとして出回っています。
安土信長葱(あづちのぶながねぎ)
安土信長葱の特徴
滋賀県は近江八幡市安土町で栽培されている「安土信長葱」は、織田信長をはじめとする戦国武将たちの力強さと細やかさを体現したような真っ白い根深の太ネギです。
身が太く、色は透き通るような美しい白。葉は青々として柔らかく、1本丸ごと食べることができます。肉厚でジューシーな食感と甘みの強さが魅力のネギです。
安土信長葱のおいしい食べ方
肉厚で甘みが強いので、鍋物はもちろん、白い部分をそのまま焼いたりなど、ネギが主役のお料理にもぴったりです。
伊吹だいこん
伊吹だいこんの特徴
滋賀県米原市の伊吹地域で生産されているのが、滋賀の伝統野菜・伊吹だいこんです。滋賀県の最高峰、伊吹山の麓周辺で古くから伝わるダイコンで、別名「ねずみだいこん」「けっからしだいこん」「峠だいこん」などとも呼ばれています。
伊吹だいこんの特徴は何と言っても刺激的な辛味。長さ15センチから20センチほど、直径8センチ前後の寸胴型で丸みがあり、先端がネズミのしっぽのように細いのが特徴です。葉には赤紫色を帯びていてツヤがあります。
伊吹だいこんのおいしい食べ方
伊吹だいこんをおろすときには、皮を向かずに下の方からすりおろすのがおいしく食べるコツです。刺激的な辛味はソバや天ぷらの薬味にぴったりです。煮物にすると甘みが引き出され、煮崩れしにくいので上手に煮ることができます。和え物や漬物、千切りダイコンにも最適です。
近江牛
近江牛の特徴
滋賀県の特産品といえば近江牛といっても過言ではないほど、全国的にその名前が知られています。滋賀県の豊かな自然環境と水に恵まれ、古くから飼育されてきた黒毛和牛だと言われています。
肉質は、霜降り度合いが非常に高く、芳醇な香りと柔らかさが特徴で、その食感は口の中に入れるとまるでとろけるようだと評判です。
近江牛のおいしい食べ方
近江牛はステーキはもちろん、すき焼きやしゃぶしゃぶなど、どんな料理でもおいしく食べることができます。加工品としては、味噌漬けや近江牛カレーなどが有名です。
滋賀は内陸県なので海産物はありませんが、琵琶湖や伊吹山など滋賀県ならではの自然環境のおかげで、古くから大切に守られてきた伝統野菜がたくさんあります。滋賀の伝統野菜を見かけたらぜひ試してみてはいかがでしょうか。
※ 各品目の内容は、本調査時点(2014年9月~2015年)のものをベースに作成しています。一つの目安としてご理解下さい。
※画像はイメージとなります。
参考:『日本の地域食材2015年版』(NPO法人 良い食材を伝える会)