大阪府の概要と主な取り組み
大阪府は江戸時代に天下の台所とよばれていたことからも分かるように、古くから食文化が栄えていました。そのため、大阪の食文化を支えるために大阪独特の野菜が数多く存在しました。
しかし、第二次世界大戦後、農作物の生産効率を上げ、農地の宅地化が進み、食生活の洋風化も相まって多くの伝統野菜が姿を消してしまいました。近年、昔ながらの大阪の野菜を復活させ、味わってもらえるようにと「なにわの伝統野菜」の発掘と復活の活動が大阪府を中心に行われています。
「なにわの伝統野菜」とは
なにわの伝統野菜とは、概ね100年前から大阪府で栽培されてきた野菜で、苗や種子の来歴が明らかで大阪独自の品種であり、栽培するための苗、種子の確保が可能な野菜という基準を満たした、府内で生産されている野菜をさします。
具体的には、「毛馬(けま)きゅうり」「玉造黒門越瓜(たまつくりくろもんしろうり)」「金時人参」「大阪しろな」などの17品目が、なにわの伝統野菜として認証されています。
大阪は都市のイメージがありますが、たくさんの伝統野菜と特産品が存在します。大阪といえばたこ焼き!と思っていた方もぜひ、大阪のおいしい伝統野菜を試してみてはいかがでしょうか。
大阪しろな
大阪しろなの特徴
江戸時代から栽培されてきた大阪在来の野菜です。ハクサイや、山東菜(さんとうな)とタイサイの交雑によって誕生したといわれています。葉は明るい緑色でしゃもじのような形をしており、みずみずしくトロッとした舌触り、癖のない味が特徴です。
煮物やおひたし、漬物など、幅広く利用されています。近年ではコマツナとの競合によって、栽培面積がやや減少していますが、大阪府によって「なにわの伝統野菜」に認証されています。
あい鴨肉
あい鴨肉の特徴
大阪府八尾市、松原市、貝塚市では、肥育期間を10週間と長く設定して丁寧に育て上げたあい鴨肉を生産しています。大阪府のあい鴨肉は麦を中心とした高品質な飼料と、肥育期間の長さから、濃い肉色と白い脂肪のコントラストが鮮明で美しい、肉質の高さが特徴です。
あい鴨肉の生産は若い生産者に引き継がれており、これからさらに拡大されていくことが予想されています。新しい大阪の特産品として、大阪独自の低脂肪品種も流通しています。
名前の由来
歴史的に見ると、武士の江戸では狩猟で捕らえられた野生のカモが食され、商人の大阪では飼育されたアヒルが食されてきました。大阪でのアヒル飼育は太閤秀吉に遡るほど古いといわれ、第二次世界大戦の後に、「あい鴨肉」として人々に親しまれるようになったとされています。
あい鴨肉のおいしい食べ方
あい鴨肉は、鴨鍋や照り焼き、あい鴨のタタキ、治部煮やバーベキューなど様々な料理に利用することができます。ムネ肉は、加熱しすぎると固くなってしまい本来の味が楽しめなくなってしまうので要注意です。
大阪ウメビーフ
大阪ウメビーフの特徴
大阪ウメビーフはその名の通り、ウメを食べて育てられた牛肉です。梅酒醸造会社から出る梅酒の漬けウメを牛の餌として利用しています。そうすることで、ウメ干しの健康効果から牛の食欲不振や下痢を防止することができ、結果的に抗生物質の使用が控えられる安全で安心な牛肉です。漬けウメを食べることで、体重の増加が良好になり、霜降り具合も程よくなるという効果もあります。
大阪ウメビーフのおいしい食べ方
やわらかく程よい霜降り具合のため、ステーキ・しゃぶしゃぶ・すき焼きなどはもちろんのことさまざまな料理に利用することができます。肉独特のえぐみが少なくてジューシーなので、握り寿司などにもおいしくいただけます。
イカナゴ
イカナゴの特徴
大阪湾の恵まれた環境で漁れるイカナゴは大阪湾に春を告げる風物詩として知られており、毎年2月下旬ごろからイカナゴ新子漁が解禁されます。見た目が古くぎのように見えることから名付けられた「くぎ煮」と呼ばれる佃煮にして食べるのが人気です。そのほかに、釜揚げ、ちりめんなどにしても食べられます。
イカナゴの名前の由来
イカナゴというのは標準和名です。名前の由来には面白い逸話があり、なんの稚魚かと尋ねられたが分からないため「いかなる魚の子であるか」と答えたことからイカナゴと名付けられたといわれています。
※ 各品目の内容は、本調査時点(2014年9月~2015年)のものをベースに作成しています。一つの目安としてご理解下さい。
※画像はイメージです。
参考:『日本の地域食材2015年版』(NPO法人 良い食材を伝える会)