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ヒストリー・オブ・ニッポンのダイコン

ヒストリー・オブ・ニッポンのダイコン

ダイコンは英語で「Radish」といいますが、「Japanese Radish」と呼ばれることもあるほど日本に特徴的な野菜で「DAIKON」で通じることもあるほどです。室町時代の絵巻にはダイコンを売る人の姿もすでに登場しています。ここでは、日本でダイコンがどのようにして広がっていったのかについて紹介します。

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地中海からやってきて日本で花開いたダイコン文化

ダイコンの歴史については諸説ありますが、いずれも起源はとても古いと考えられており、今から5000年以上前にさかのぼります。

ダイコンが生まれた場所は地中海沿岸という説でほぼ固まっており、エジプトのピラミッド建設に従事する労働者に配給されていた記録があり、ピラミッドの壁画にも描かれています。また、当時は薬としても利用されていたようです。

その後、地中海沿岸から中央アジア、シルクロードを経て、奈良時代に日本へ伝わったと考えられています。とはいえ「古事記」の仁徳天皇の歌の中に登場する「おほね」がダイコンであり、奈良時代以前から日本に存在していたという説もあります。その後、室町時代ごろには一般庶民の間に普及し、「ダイコン」と呼ばれるようになりました。

江戸時代に入り栽培技術が進歩すると、品種改良が重ねられ、数多くの品種が栽培されるようになりました。いまでは、「青首ダイコン」「源助ダイコン」「桜島ダイコン」「三浦ダイコン」「聖護院ダイコン」など、日本には世界でも珍しいほどたくさんの種類のダイコンが存在しています。

漬物がダイコンの生産を後押し!?

ダイコン

「練馬ダイコン」といえばダイコンの一大ブランド。皆さんも一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。

江戸時代以来、練馬ではダイコンの生産が盛んでしたが、1894(明治27)年に起こった日清戦争のとき、たくあんが軍隊に納められたことで、ダイコンの需要が高まり、練馬ダイコンの値段が上がったようです。さらに1904(明治37)年に日露戦争が始まると、ダイコンの需要がますます拡大し、値段も高騰。鉄道の発達など輸送の手段がふえたこともあり、最盛期を迎えました。

同時にたくあん工場も拡大したことで、練馬がダイコンの一大産地として知られるようになりました。首都近郊という立地の良さも幸いし、昭和初期までの四半世紀にわたって練馬はダイコン生産のピークを迎え、その後は戦後を通じて落ち着いてゆきます。

現在、市町村別のダイコン生産量一位を誇るのは、神奈川県三浦市で、青首ダイコンを干した風景は当地の名物となっています。

今も昔もダイコンは日本人のこころ

ダイコン

ダイコンの食べ方には漬物以外にもたくさんあります。たとえば、春の七草の「スズシロ」はダイコンの葉っぱのこと。煮物やサラダ、刺身のツマなどにもダイコンは広く使われており、これが日本のダイコンの多様性につながっているといえるかもしれません。

また、品種や産地の多様さから、ダイコンの歴史は途切れることなく続いてきました。品種改良も盛んに行われ、さまざまな種苗が開発されましたが、基本的な栽培方法は変わりません。

ダイコンが何百年も前の人と現代の自分をつなぐ一本の太い線と考えたら、辛みも甘みも深まって、ますます味わい深く感じられる気がしてきませんか?

上記の情報は2018年2月20日現在のものです。

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