県全域をキャンパスに。地域の課題を基に学ぶから力が付く
1年次は農場で基礎を学ぶ
食農学類(仮称)では、入学して1年は、大学近くの農場で、農家に教わります。もちろん、一般的な座学なども並行して勉強していきます。
そのうえで、2年生の後期からはコースを選択し、専門性を高めます。コースは、「食品科学コース」「農業生産学コース」「生産環境学コース」「農業経営学コース」の4つです。
自治体と連携して、福島県全域がキャンパスに
コースに分かれても、専門性ばかりを学ぶわけではありません。
県内の7自治体と連携して設けられた5~10のプロジェクトに、各コースの学生たちが集まって、現場をキャンパスととらえながら学びます。
コース同士が連携し合うのは、教員も同じ。分野を横断しながら、総動員で教育に取り組みます。これを可能とするためにも、新たな教員の募集には、現場に合わせた柔軟なコーディネートと、違う専門分野でも汗をかけることをポイントとしたそうです。
「現場には、自然の生態系や、人など、ありとあらゆる問題が集まっています。何か一つの専門性だけで課題に取り組めるわけではありません。震災後の福島県で、農に関連したテーマに携わったなら、自ずと湧く発想でしょう」。
農学全般の素養と専門性を学ぶ場として
福島で学ぶ意義とは何か。
林先生は話します。
「原発事故は決定的に、県の農業に影響を刻みつけました。逆境を跳ね返そうとしている中に、学べる素材があります。実際に、県の農業の魅力を発信しようと、かなり魅力的な動きが多く出てきている現状があります。4年間、そういう農業を、現場で一員となって学んでもらうという点で、かけがえのない場所になると思っています」。
課題を肌で感じることは、何よりの経験になることでしょう。2018年8月のオープンキャンパスでも、この新しい学部の紹介を行うために、福島大学では力を入れています。
福島大学食農学類(仮称)
写真提供:福島大学