スプラウトは栄養たっぷり
スプラウトは「発芽野菜」のことです。一般的には西洋野菜を発芽させ、一週間程度栽培したものを指します。2000年頃から市場に出回り始め、栄養素が豊富なことから人気急上昇中の野菜です。
もともと植物の種子には栄養素が凝縮されています。スプラウトは、その種子が発芽した直後の状態で、光合成によりビタミンCが合成されます。そのため種子と野菜の両方の栄養素をもった状態となり、親野菜と比べビタミン類などの含有量が多いのが特徴です。
鮮度の良いスプラウトの見分け方
葉の色が濃く、茎がシャキッとしていて、みずみずしいものが鮮度がよいスプラウトです。葉に黒い斑点があったり、長さが揃っていなかったりするものは避けたほうがよいでしょう。
スプラウトの保存方法
パックのまま冷蔵庫で保存するのが基本で、2~3日中には食べきるのがおすすめです。一度に全部使わない場合は、使う分だけをスポンジ部分から取り外し、残りはそのままパックに戻します。根をカットするよりも鮮度を保つことができます。
スプラウトの栄養
スプラウトは栄養豊富な野菜として人気です。特にブロッコリー系スプラウトに含まれる「スルフォラファン」と呼ばれる成分が注目されています。このスルフォラファンは、抗ピロリ菌などの効果が期待できます。その他、ビタミンCやカロテンなども豊富に含まれています。
スルフォラファンの効果と歴史
スルフォラファンは、アブラナ科に含まれる「グルコシノレート」という成分が、咀嚼することによって、スルフォラファンへ変化するとされています。スルフォラファンは、体内の防御機能である解毒酵素を増やす働きがあると言われています。ビタミンCなどの抗酸化物質の効果の持続時間は1日程度なのに対し、スルフォラファンは3日程度と言われています。
スルフォラファンはアメリカのポール・タラレー博士が発見しました。この成分はブロッコリーに微量に含まれているのみでした。そこで研究を進めた結果、発芽3日目の新芽に高濃度のスルフォラファンが含まれることを発見します。これを「スーパースプラウト」と名付け、1992年に発表すると瞬く間にアメリカでブームとなりました。
スプラウトの下ごしらえ方法
スプラウトを使うときは、まずスポンジの部分を軽く握り、水を入れたボウルの中で振り洗いをします。見た目や食感を良くするため、種の皮はしっかり取ります。まれに黄色い葉が混じっていることがありますが、これは緑化前の状態なので問題なく食べることができます。
基本的に、栄養を損なわないように加熱せずに生のまま食べましょう。ピリッとした風味があるものはソバやうどん、鍋の薬味としても使用できます。またサラダやサンドイッチ、手巻き寿司の具にも最適です。サラダで食べる際は、ノンオイルではなく、油を使ったドレッシングをかけることで、カロテンの吸収率があがります。
スプラウトの種類
スーパースプラウト
発芽3日目のブロッコリーです。成長したものより20倍のスルフォラファンを含んでいると言われます。スーパースプラウトは洗浄されているため、洗わずそのまま食べることができます。
カイワレダイコン
流通量の多い一般的な発芽野菜です。ピリッとした辛味が特徴で、薬味としても使用されます。食欲増進効果が期待できます。
ブロッコリー
マイルドな味わいが特徴です。スルフォラファンを含む商品なら、成長したものより約7倍多く含まれるとされます。
アルファルファ
「ムラサキウマゴヤシ」という牧草を発芽させたものです。見た目はとても細いですが、栄養価が高い野菜です。
レッドキャベツ
茎が紫色をしています。カルシウム代謝に関係するビタミンUが豊富に含まれています。
マスタード
カラシ風味のピリッとした味わいが特徴です。ビタミンB群や鉄分、ミネラルなどを豊富に含みます。
クレス
クレソンに似た香りが特徴。抗酸化作用が期待されるビタミンEを多く含みます。
スプラウトは豊富な栄養素で注目されている野菜です。生のまま食べることができるので、健康維持のため気軽に毎日の食事に取り入れてはいかがでしょうか。
参考:「野菜と果物の品目ガイド~野菜ソムリエEDITION」(農経新聞社)