フキの紹介
フキは、独特の香りと苦味が特徴の野菜です。春を告げる旬野菜として根強い人気があります。もともと野生のフキは日本全国にみられ、咳や痰の薬として広く用いられてきました。
お弁当の歌にも「筋の通ったフキ~」として登場する、日本人にとって古くから馴染みのある野菜です。現在でも佃煮の原料として伽羅蕗(きゃらぶき)として親しまれています。
フキノトウはその名の通り、葉が茂る前に根茎から生えてくるフキのつぼみです。フキという名前は、つぼみが冬に黄色い花を咲かせることから「冬黄」となり、それが縮まりフキとなったといわれています。
変わり種のフキとして、北海道の螺湾(らわん)川に沿って生息するラワンフキは、なんと高さが2メートル以上、茎の直径が10センチにもなります。
鮮度が良いおいしいフキの見分け方
鮮度が良いおいしいフキは、新葉が伸びきってみずみずしいのが特徴です。葉に黒い斑点がなく、鮮やかな緑色のものを選びましょう。
また新鮮なフキは、茎を持ったときにしならずにピンとしています。ピンとしているからといって太すぎると、中に空洞があって筋が硬い可能性があるので注意しましょう。
フキの栄養
フキの独特の苦味成分であるサポニンやタンニンは、消化を助け、食欲を増進させる効果があるといわれています。その他に、体と骨を作るのに欠かせないカルシウムも多く含んでいます。
フキの保存方法
フキを保存するときには、ポリ袋に入れて冷蔵庫の野菜室で保存しましょう。時間の経過に比例して茶色くなってしまうので、すぐに板ずりをして茹でて冷蔵庫で保存するのがいいでしょう。
フキをおいしくするワンポイント
フキの下ごしらえ
葉と根元の硬い部分を少し切り落とし、まな板に並べて塩をふって転がしながら板ずりします。葉の部分は苦味が強いですが、下ゆでするときに葉を入れると香りが良くなるため、葉も入れて茹でましょう。
フキのサラダ
下ゆでしたフキをマヨネーズで和えるとサラダ風になり、子供でも食べやすくなります。サラダにするのは、茎の部分だけで、苦味が強い葉の部分は佃煮などに利用しましょう。
切り口が劣化したときは?
フキの切り口が劣化してしまったときは、根元を切り、茎を水に浸しておくことで、鮮度を保つことが可能です。
ウドの紹介
ウドは日本原産の野菜です。食用として用いる文化があるのも日本だけといわれていて、古くは野生種のウドを薬用として用いていました。17世紀頃に土栽培が始まり、それから本格的に食用として栽培されるようになりました。江戸時代から栽培が盛んな東京では「江戸東京野菜」の一つに指定されています。
独特の香りとシャキシャキとした食感が特徴的な野菜で、成長すると2メートルを越えることも珍しくありません。ウドは大きく分けると、トンネルなどで軟白(なんぱく)栽培する「軟白ウド」と、土栽培の「山ウド」が存在し、日本国内で食べられているウドは前者で、周年出回っています。山ウドの旬は、2月から4月の春です。
鮮度が良いおいしいウドの見分け方
鮮度が良いおいしいウドは、株の切り口から穂先まで同じ太さで穂先がピンと張っています。茎が白く、芽先と根元のハカマの色がきれいなピンク色のものを選びましょう。うぶ毛が密生して生えているものは、新鮮な証です。
ウドの栄養
ウドはほとんどが水分で構成されており、細胞の浸透圧の維持に関わるカリウムが多いのが特徴です。カリウムは、体内に余分に蓄積されたナトリウムを排出して高血圧の予防にも効果があるといわれる栄養素です。
また、抗酸化作用が期待できるとして、近年注目を集めているポリフェノールもわずかですが含んでいます。
ウドの保存方法
ウドは常温で2日から3日、野菜室では最大で1週間ほど保存することができます。光に当てると硬くなってしまうので、光に当たらないように新聞紙などに包んで、冷暗所で保存するようにしましょう。
ウドをおいしくするワンポイント
ウドの下ごしらえ
ウドは4センチほどの長さに切り、皮をむきます。皮の近くにアクを多く含むので、切り口の内側の円の部分まで厚めにむいて、酢水にさらしましょう。酢水にさらすことで、アクが抜けて色も美しい白に仕上がります。
ウドの炒めもの
ウドを炒めるときには、手早く炒めるのが最大のポイントです。火を通しすぎると歯ごたえが悪くなるので、スピーディーに仕上げましょう。
ウドの穂先
ウドの穂先の柔らかい部分は、生のまま天ぷらにしたり、お吸い物に入れたりしてもおいしく食べられます。
春を告げる野菜、フキとウドについて紹介しました。どちらも若い世代の人などは、あまり家庭料理に取り入れたことがないかもしれません。季節を感じる食材が食卓に並ぶことで、一足先に春を味わえます。ぜひ取り入れてみてはいかがでしょうか?
参考:「野菜と果物の品目ガイド〜野菜ソムリエEDITION」(農経新聞社)