コクがたっぷり! 山菜の王様「たらの芽」
たらの芽はタラの木の若芽で、風味が強くしっかりとコクがあるため、「山菜の王様」と呼ばれています。露地物は3月から4月に出回りますが、近年は品種改良されてトゲの少ない、ハウスを利用したふかし栽培をしたものが多くなっています。ふかし栽培(※)のものはやや小ぶりですが、12月ごろから市場に多く出回るようになります。
※ ふかし栽培 ビニールハウスに水を張った容器を作り、芽を頂点に約10センチ程に切断したタラの木の枝を立てて並べ、ヒーター等で温度を加え管理すること。短く切った穂木を箱に並べた水耕栽培により短期間に発生、生育させるもの。
鮮度の良いおいしいたらの芽の見分け方
鮮度の良いおいしいたらの芽は、トゲがピンと張っていて、ずんぐりとして太いのが特徴です。色も鮮度をよく表しているので、鮮やかな黄緑色から緑色のものを選ぶようにしましょう。
たらの芽の下ごしらえ
たらの芽は、根本が硬いのでカットします。ハカマの部分も取り除きましょう。さっと洗って水気を切ってから使用します。
たらの芽の保存方法
新聞紙に包んで、冷蔵庫の野菜室で保存します。
たらの芽をおいしくするワンポイント
おひたしやゴマ和え、マヨネーズ和えなど葉物野菜と同じように様々な料理に使えます。また天ぷらにしてもおいしいです。ほろ苦さと香りが命の山菜なので、できるだけ早めに食べきるようにしましょう。
春を告げる食材「フキノトウ」
山菜の中でも春の訪れを感じさせるのがフキノトウ。早春を演出して、見栄えがよく春の料理を彩る食材として欠かせません。アクがあり、ほろ苦さもある味わいが特徴です。フキの葉が出る前に発生する花蕾を食用する野菜で、12月から5月頃にかけて市場に出回りますが、最盛期は2月から3月頃です。栽培されている品種の主流は「愛知早生」で、愛知県と東北地方で主に作られています。
鮮度の良いおいしいフキノトウの見分け方
鮮度の良いフキノトウは、葉が開いておらず、しっかりとしたツボミの状態で、5センチほどの大きさです。外皮にツヤとハリがあるものを選びましょう。
フキノトウの下ごしらえ
フキノトウは、外側の皮を一枚むいて、根本の茶色く色が変わっている部分を切り落とします。縦半分に切り、水にさらしてアクを抜けば、下ごしらえ完了です。
フキノトウをおいしくするワンポイント
フキノトウの旨味を贅沢に味わえるのが、フキノトウ味噌です。下ごしらえの後、茹でてみじん切りにしたフキノトウを甘味噌に加えて練れば完成。野菜のディップソースとしておいしくいただけます。冷凍保存も可能ですが、香りは少し落ちてしまいます。
アク抜きが必須「ワラビ」
ワラビは、ピンと伸びた軸の先端がくるりと丸まっている山菜で、独特の歯ごたえが特徴です。日本各地の山に自生しており、目にしたことがあるという方も多いかもしれません。
すぐに調理できる水煮や、乾燥ワラビは通年で入手できますが、4月から5月に出回る生ワラビは、春を感じさせる季節野菜としてとても人気があります。東北や北関東で栽培されているものが主流です。
鮮度の良いおいしいワラビの見分け方
軸がピンと伸びて、折るとポキンと音が鳴るくらいのものが新鮮。香りが強く、表面がさらっとしているものを選びましょう。
ワラビの下ごしらえ
ワラビのおいしさの決め手はアク抜きにかかっています。アク抜きするときには、重曹と熱湯を入れた鍋にワラビを入れ、一晩置いておきます。その後、一度ゆで汁をすてて、水に半日ほどつければアク抜きが完了です。
ワラビをおいしくするワンポイント
ワラビのアクには強い毒性のある成分が含まれているため、必ずアク抜きを行う必要があります。保存するときの適温は5℃。風に当たると傷みやすいので、風に当たらないところで保存しましょう。
「ゼンマイ」の紹介
ゼンマイは、独特の風味と歯ごたえのある食感が魅力の山菜です。シダの仲間の山菜の裸葉を食用とします。生ゼンマイは天然ものもわずかに存在しますが、主に出回るのは栽培品。和食などで使われているゼンマイは、乾燥ゼンマイを水で戻したものがほとんどです。
鮮度の良いおいしいゼンマイの見分け方
鮮度の良いゼンマイは、軸に弾力があり、色が鮮やかで黒く変色していません。先がやわらかく、しっかりと巻いているものを選びましょう。
ゼンマイの旬と時期
栽培品が出回るのは、4月から5月頃。1年を通して市場に出回っているものは、主に中国産のゼンマイでしょう。
ゼンマイの下ごしらえ
水煮の場合は下処理が不要で、そのまま使用できます。生の場合は、綿毛を取り除き、たっぷりのお湯で緑色に変わるまで茹でてから使いましょう。
ゼンマイの保存方法
生のゼンマイを保存するときは、茹でた後、そのまま水に浸して、冷蔵庫で保管します。毎日水を替えれば1週間ほどは持たせることができます。
ゼンマイをおいしくするワンポイント
山菜の中でも用途が多く、おひたしや和え物、煮物、ナムルなどに利用できます。
ニンニクのような強い香りを楽しむ「行者ニンニク」
修行僧が口にしていたとされる「行者ニンニク」は、4月から5月に旬を迎える、ニンニクのような強い香りが特徴の山菜です。近畿地方より北の高原や山深い場所に自生する多年草です。以前は量が取れず貴重な山菜とされていましたが、現在は栽培技術が進み、栽培品が多く出回っています。葉やツボミだけでなく、長さが4センチから6センチ程度にもなる地下茎も食用とします。
鮮度の良いおいしい行者ニンニクの見分け方
ニンニクのような強い香りがあり、葉先までピンとしているものが新鮮な証拠です。葉や切り口が変色しているものは避けましょう。
行者ニンニクの下ごしらえ
行者ニンニクはアクが少ないので、表面の薄皮をむいたらそのまま茹でて使用したり、炒め物などに利用できます。
行者ニンニクをおいしくするワンポイント
行者ニンニクのつぼみは生のままおろして香辛料代わりに使えます。葉はニラのように使うことができ、肉の臭みも消してくれます。醤油漬けにすれば常備タレの完成です。
食卓で春を楽しめるのが山菜です。アク抜きが難しい場合や新鮮なものが手に入りにくい場合は、水煮や乾燥山菜を活用できます。ぜひ、ご自宅でも春の風物詩である山菜を味わってみてください。
参考:「野菜と果物の品目ガイド〜野菜ソムリエEDITION」(農経新聞社)