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マイナビ農業特集 座談会 良い商品をどう売るか ~ブランディング、営業手法を語る~Vol.4

マイナビ農業特集 座談会 良い商品をどう売るか ~ブランディング、営業手法を語る~Vol.4

誰にも共通の悩み、「どう売るか」。マイナビ農業では、気鋭の若手農家に集まっていただき、自由な発想で実践している、独自のプロモーションについて語り合っていただきました。
梨の直売率が99%という阿部梨園のマネージャーとして各方面から注目される佐川友彦さん。150種もの野菜を有機栽培して売り出している柴海農園の柴海祐也さん。自身の生んだブランド牛を6次化にも乗り出しながら育む長谷川農場の長谷川大地さん。4コマ漫画や動画などで積極的にPRするくらうんふぁーむの渡邉泰典さん。
4名による座談会を、全4回の連載特集で、お届けします。

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第四回

■参加メンバー
若手

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「人を呼ぶために尖っていく」(渡邉)

若手

渡邉:僕は今年の10月からハウスを増やせそうで。イチゴ狩りをやろうかなと思っているんですよ。どういう尖り方をしたら人を呼べるかを考えています。どこにターゲットを絞ったら良いとか、こういうのが面白いというものはありますか。

柴海:4コマは前面に押し出してアピールしていったほうが良い。それがリアルに見られる場所があれば行きたいと思うし。自分のところにしかないコンテンツを最大限活かす。イチゴの商品価値を上げるのも大事だけど自分にしかない価値をどうやって伝えられるか。

長谷川:日南市の観光はどうなんですか?

渡邉:日南市では、2月に広島東洋カープと埼玉西武ライオンズのキャンプがあります。城下町があったり、日南海岸があったり、県内では観光地です。

長谷川:人を呼ぶことで手っ取り早いのは、観光会社と組むことだと思います。

佐川:導線を持っているところと組むのが一番早いですよね。地域に流入する人の経路はある程度決まっています。事前にネットで検索して来る人は限られるし、地域の需要も決まっている。人を引っ張るのが得意なところと組んで、しかもただのイチゴ狩りじゃなくて、渡邉さんのイチゴ狩りとして個性を出す。

「資源を分散させない」(柴海)

若手

渡邉:イチゴって、どこでも買えるから売りにくいんです(苦笑)。今は全部、観光農園にしようと思って。キンカンか何かを植えて抱き合わせで出来るような感じにしたいなと。

柴海:イチゴでブランディングしてるんだし、資源を分散させない方がいいと思うよ。渡邉さんなら、イチゴだけでも売れちゃうよ(笑)。

佐川:うちも梨から軸足を動かさないのは、技術も含めて発散しすぎないためにですね。観光、大変ですよね。栃木もイチゴは頑張っていますが。

柴海:イチゴ観光農園で満足度が下がったところでは、熟し過ぎて時期を逃しているところがありました。オープン前に赤い所だけ取って、加工に回すとか、そういう細かいことが重要だったりするかなとは思います。

長谷川:大変だけど、集客に成功さえすれば、普通に生産して販売するよりか良い事業だとは思います。

「ブランド化して単価を上げていく」(長谷川)

長谷川さんの足利マール牛をつかった6次化商品「足利マール牛カレー」

長谷川:牛肉は、部位によって分割されて値段が違うのでむずかしいんですよ。1頭1頭の牛に、サーロインもあれば、スネもある。部位で値段を分けなくてはいけない。足利マール牛は14に分かれます。

佐川:歩留まりが1頭単位で発生しているんですね!

長谷川:そうなんです。豚の方が売るのが楽。飲食店に1頭持っていっても、豚ならなんとか売り切れます。牛は大きいし、パーツごとに選んで、売り切らなくちゃいけないこともあって、引き合いの強い部位は単価を高くしてます。一番上と下で1キロ単価5000円くらい違います。そうやって、トータルで値決めをしています。
畜産では繁殖産業が強い。50万で買ってきた牛が、売ると100万にはなります。そこまでに2年かかるんですけど。そうではなく、50万で買った牛を2年かけて育てて自分で売って、今は150万になっている。差の50万を増やすためにブランド化しています。

佐川:100から150の上積みってことですね。

長谷川:ブランド化の一つに6次化商品として、足利マール牛とアスパラガスとを使った、足利マール牛カレーは「ふるさとカレーグランプリ」で優勝もしました。行政の支援も大きかったのですが。足利マール牛も全農の共励会で二連覇しました。賞を取って、箔はつきましたね。「ファーマーズカフェつちのか」という飲食店の経営にも入っています。運営自体は別の会社に任せ、牛肉や野菜などの食材を卸しています。
ブランド化の部分では、営業もしますし、発送までやります。普通に売っていたら50万円で買った牛が良くて100万円です。餌代にも30万円はかかる。ただ他の農産品目もですが、高く売れなかったときに助成金が出るんですよね。1頭あたり5万でも10万でも。私ももちろん使えるものは使います。けれど、それを利益と言う人もいる。これだと日本の畜産に未来は無くなってしまう。打開するポイントを自分で見つけるために、考えて動いていますね。

編集後記:座談会を終えて

若手

好評だった新春座談会に引き続き、マイナビ農業では、今回、「良い商品をどう売るか ~ブランディング、営業手法を語る~」というテーマで座談会を開きました。活躍する方に共通するのは、活躍自体のきらびやかさよりも、危機感と真正面に向き合っていることなのかもしれません。その結果、さまざまな手法が生まれることも当然の話。
全4回にわたって、お届けした若手農家の座談会。いくつもの具体的手法と合わせて、その姿勢などが多くの読者の皆様へヒントになればと思います。農業の寄合所として、マイナビ農業から、そんな知恵のつながりが生まれていくことを心から願っています。
(マイナビ農業編集部)

若手

聞き手・執筆:三坂 輝

 
《若手農家「ブランディング」対談シリーズ【全四回】》
マイナビ農業特集 座談会 良い商品をどう売るか ~ブランディング、営業手法を語る~

 
>>2019年新春座談会「女性と農業」記事一覧はコチラ

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