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地域農産物の魅力をジャムで伝える「いちご園 園長&ジャムおばさん」の試み

地域農産物の魅力をジャムで伝える「いちご園 園長&ジャムおばさん」の試み

毎日工房でジャムを煮る淡路島の“ジャムおばさん”が農家の救世主に――。素敵な夫婦が営む「淡路島 山田屋農園」のジャム屋さんは、地域の規格外生産品などを加工してお客さんに届けています。2人の礎には何があるのでしょうか? 驚きのエピソードに迫ります。

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「淡路島 山田屋農園」の経営は、ジャム屋さん&いちご観光農園の2本柱。ご主人の山田修平(やまだ・しゅうへい)さんは“園長”としていちご園を担当、奥さんの山田優子(やまだ・ゆうこ)さんは“ジャムおばさん”の愛称でジャムを作ります。

あたたかい笑顔でみんなを癒してくれる優子さん。修平さんが栽培するいちごの他にも、淡路島で生産された果物や野菜などを美味しいジャムに変身させます。話を伺うと、ほんわかした人柄の奥には「大きな挫折」や「農家夫婦の絆」、そして「地元農産物への深い愛情」がありました。

畑仕事ができずに涙した日々

―優子さんはなぜジャム作りをするのですか?

優子さん:本当は、私も畑をやりたかったんです。大学生の時に農学部を休学して、鳥取県の米農家に修行に行きました。でも重労働に体がついていかなくて…。大量のお米を何度も運んだり、20kgもある肥料を担いだり、私にとっては予想以上に厳しい仕事でした。

そんな中「生産以外の方法もあるよ」とアドバイスをくれた方がいて、お菓子作りが好きだと打ち明けると「それで農業に関わればいい」と背中を押してもらいました。それ以来、ジャムやお菓子を作り続けています。

―その頃、修平さんは何をしていたのですか?
修平さん:北海道のじゃがいも農家さんに住み込みで研修に行っていました。そこで出会った方に「自分で一から農業をやってみたら?」と言われたのがきっかけで、今に至ります。嫁さんの分まで僕が畑に出て農作業をしています。

古い倉庫を自力で改装しジャム屋をオープン

―昭和レトロで素敵なお店ですね

修平さん:滋賀県のブルーベリー農園勤務を経て淡路島に移住し、ジャム屋をオープンするために海のそばの倉庫を借りました。大家さんの許可をもらって、工房を備えた小さな店舗に改装したんです。僕はいちご栽培を開始、嫁さんは本格的にジャム作りをスタートしました。

店舗横の路地を30mほど歩くと漁港が広がる

とことん淡路島にこだわる!

―バリエーション豊かなジャムが評判ですね?

優子さん:年間30種類のジャムを作っています。修平さんが栽培するいちごの他にも、さまざまな素材を島内から集めています。

私たちがこだわっているのは素材が淡路島産であること!なぜかと言うと、淡路島の農家さんの魅力をお客さまに伝えたいからです。淡路島はとにかく食材が豊富だから、その素晴らしさをたくさんの人に知ってもらいたいんです。

―どうやって素材を選んでいるのですか?

優子さん:車で島内を走りながら、たまたま見つけた栗農家を直撃したこともあります。

今では少しずつ地域のジャム屋として認知されてきて、キャベツ農家さんから箱一杯のキャベツがお店に運び込まれたこともあります。「キャベツは無理じゃないか…!?」って修平さんは言ったのですが、はっさくと組み合わせて商品化しました。単品では難しい素材も、他の果実と組み合わせるとそれぞれの風味が増して美味しくなります。

「素材の組み合わせ方やレシピは味見しながら感覚で決めているそうです。優子さんにしかわからない世界です」と修平さん

お客さんに伝え、農家にも伝える

―農家さんは何と言っているのですか?

優子さん:お客さんの感想はなるべく農家さんにも直接伝えるようにしています。「今回のカブのジャム人気だったよ!美味しかったって言ってくれてたよ!」と伝えると非常に喜ばれます。それが農家さんにとっても原動力になっているみたい。
修平さん:ジャムは店舗の他にも、大阪や神戸の手作り市などで販売しています。だんだんといちご園の仕事が忙しくなり手作り市に出店できないことも増えてきましたが、毎月違う種類のジャムを直接ご自宅に送付する頒布会も好評です。

―今後はどのような予定があるのですか?

修平さん:私たちの目標は農家カフェを開くこと。おにぎりや野菜のおかずも食べられるようなカフェにしたい。山田屋のロゴを“うめぼしのおにぎり”のイメージにしたのは、そんな理由からなんです。

修平さん:まずは店舗を移転する計画があります。今はいちご園とジャム屋が4km離れているので、いちご園の近くに移転できれば、もっとわかりやすく色々なことをお客さんに伝えられると思うんです。

米や野菜など、これから作ってみたい品目もたくさんあるので、ごはんからデザートまで幅広く提供できたら理想かな、と。

店舗ではおやつも販売している

ジャムの瓶に島の夢を詰めて

修平さん:やりたいことはたくさんありますが、夫婦2人でできる規模も限られているので、色んな人と協力しながら一歩一歩進められたらと思います。

優子さん:あせらずゆっくり、細くとも永く、です。

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淡路島 山田屋
住所/兵庫県淡路市仮屋91
営業日/毎週金曜日
営業時間/10:00~18:00
※営業は毎週金曜日のみです。
※変更になる場合もありますので、ご来店の際はホームページ等でご確認ください。
お問い合わせ/☎0799-70-4022

写真提供/淡路島 山田屋

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