意外と知らない‟土の正体” 土づくりの本質に迫る【畑は小さな大自然vol.2】

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意外と知らない‟土の正体” 土づくりの本質に迫る【畑は小さな大自然vol.2】

連載企画:畑は小さな大自然

意外と知らない‟土の正体” 土づくりの本質に迫る【畑は小さな大自然vol.2】

最終更新日:2018年10月19日

こんにちは!「野菜を売らない農家」そーやんです。初心者の方がもっと楽で愉しく野菜作りに挑戦できるよう、野菜本来の姿や自然の仕組みについてお伝えする【畑は小さな大自然】シリーズ。第2回のテーマは‟土の正体”です。野菜づくりの基本である土づくり。しかし最近はいろんな農法があり、土づくりの仕方もさまざま。初心者にとっては迷いやすいポイントです。そんな方にいつもお話ししているのが‟土の正体”についてです。ぜひこれを知って土づくりの仕方を選ぶ参考にしてください。

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分かりにくくなっている土づくりの正解

野菜づくり初心者の方が実際に畑を作ろうと思った時に、まず初めに悩むポイントは「土づくり」でしょう。この土で野菜が育つのか?どんな肥料を入れたら良いのか?などで悩む方がたくさんおられます。特に最近では様々な農法があり、ネット上にたくさんの情報があるので、正解がわかりにくくなっています。

そこで僕はまず、土は何でできているのか、どんな仕組みなのかなど「土の正体」についてお話ししています。これはどの時代、どの場所でも変わらないものだからです。まずはここを知った上で、いろんな土づくりの方法を学んだ方が、理屈がわかりやすいですし、農法迷子にならずにすみます。

土の正体は「命の積み重なり」


土は何でできているのか。答えはズバリ「生き物の死骸や排泄物」です。実際には砂や粘土、鉱物、火山灰など様々なものが混ざっているのですが、特に野菜づくりという視点ではこの点を強調してお伝えしています。つまり、植物が枯れたものや、落ち葉、虫の死骸、排泄物などの有機物と言われるものが、土の微生物やミミズなどによって分解・再合成されたものが土の主成分となります。これは理科の授業で習っているはずなのですが、意外と忘れていますよね。

この生き物の死骸が分解されてできたものが、土にどんどん積み重なっていくことで、土は豊かになっていき、次の命がそこで育まれていく土壌となります。畑でも場所によって、野菜が育ちやすいところと育ちにくいところがありますが、この違いもその「命の積み重なり」があるかどうかが大きく影響しています。ちなみに土の層が1cm積み重なるのに、100年はかかると言われています。そう聞くと、土がとても貴重で尊いものに思えてきます。

子孫がより生きやすい環境を遺す。それが土の本質。


この命の積み重なりについてもう少し詳しく説明します。植物は成長するために土や空気、雨から養分を吸います。そして自分が死ぬ時にその養分が無駄にならないように、その子孫がまた使えるような形でその場に遺していきます。
ただ分解されてそこに残るだけでは、雨風などに流されてしまうので、流れ出ない形で、しかもまた次の世代が欲しい時にすぐに養分を取り出せるような形で遺します。そのための仕組みとして生まれたのが土なのです。自分がそこで生き延びればそれで良いというのではなく、自分たちの子孫がより生きやすい環境を遺す、それが土の本質だと僕は捉えています。

土は自然と豊かになり、生態系を育む


では、この命の積み重なりがどんどん進んでいくとどうなるでしょうか。積み重なるごとに土はより豊かになっていき、より土が豊かになると、より大きくて寿命の長い植物がそこで生きられるようになります。そうするとより大きな虫や動物がそこで生きられるようになり、生態系は更に豊かになっていきます。そしてやがては森になっていきます。このように自然界では命が次の世代の命を育み、時間とともに生態系が豊かになっていくという仕組みがあります。

私たち人間社会もこの土が豊かになる仕組みがあるからこそ、そこから食べ物を得たり、樹木をエネルギーや建築資材として利用したりして、ここまで繁栄してきたと言えます。石油も元をたどれば植物からできていますしね。土を目の前にしてもなかなか普段は意識しませんが、土は少しずつ時間をかけて、命を積み重ねていくことで豊かになり、まさに母なる大地として、あらゆる生き物を育む土壌となっています。

土づくりの仕方を大きく分けると2つある


命の積み重なりが豊かな土を作り、この土が植物を育んでいく。結局はどんな農法であっても、土づくりは「この豊かな土の状態をより短時間で再現するにはどうしたら良いか」を基準に考えられたものだと僕は考えています。
この視点で土づくりの方法を見ると大きく以下の2つに分かれます。

① 栄養素を直接土に入れる方法
② 命の積み重なりを再現する方法

①は作物を育てるのに理想的な土に入っている栄養素に注目し、その栄養素を直接土に入れて、野菜を育てる方法です。いわゆる化学肥料を使った農法がこれにあたります。
②は土に生物の死骸や排泄物などの有機物を発酵させたものを入れ、命の積み重ねを短時間で再現していきます。いわゆる有機農法などがこれにあたります。自然〜と付くような農法もこれにあたりますが、比較的即効性のある動物の排泄物などを使わず、落ち葉などの植物性のもので、より時間をかけてミネラルや微生物のバランスを整えながら土づくりを行うものが多いです。

①の方が直接的で即効性があるのですが、デメリットとしては命の積み重なりが生まれず、むしろ消費してしまうため、前回と同量以上の肥料を入れて毎回育てる必要があります。また畑の生態系バランスは崩れやすくなるので、害虫や病気、連作障害の発生リスクは高まります。そこで、土の消毒や農薬などをうまく使っていく必要があります。

②は時間をかけて土づくりすることになりますが、命の積み重なりが生まれ、土自体が豊かになっていくので、追加する肥料の量を年々減らしていくことも可能です。また①に比べると生態系のバランスがとられているので、害虫・病気・連作障害のリスクは減っていき、農薬や消毒剤なしでも野菜づくりがしやすくなります。

土づくりに正解はない

畑の寺子屋では家庭菜園に向いた土づくりの仕方をお伝えしています

近代農業の土づくりは、より即効性があり一気に生産性をあげられる「栄養素を直接土に入れる方法」が中心でした。しかし、どうしても生態系のバランスを崩しやすく、資源も大量に必要とし、長期的に見ると持続が難しいという意見もあります。そこで、年々少しずつですが「命の積み重なりを再現する方法」の土づくりが研究され、その中でさらに多様な土づくりの仕方が生まれています。

そんな中重要なのは、「どれが正解か」ではなく「どれを選ぶか」ということだと思うのです。正解を求めていろんな土づくりの情報に踊らされるのではなく、まずは土づくりの原点である「土の正体」について知り、様々なやり方のメリット・デメリットを把握する。その上で自分なりの価値観やライフスタイルに合わせて、土づくりの仕方を選べるようになっていくことが畑づくりを楽しむポイントの一つだと思います。

次回はそーやんの運営する「のおとファーム」での野菜づくりの様子をご紹介するとともに、夏野菜の手入れのポイントをお伝えします。お楽しみに!

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