種まき後の水やりは間違い? 野菜づくりの新常識【畑は小さな大自然vol.1】|マイナビ農業

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種まき後の水やりは間違い? 野菜づくりの新常識【畑は小さな大自然vol.1】

種まき後の水やりは間違い? 野菜づくりの新常識【畑は小さな大自然vol.1】

こんにちは! 「野菜を売らない農家」そーやんです。初心者の方がもっと楽で愉しく野菜作りに挑戦できるよう、野菜本来の姿や自然の仕組みについてお伝えする【畑は小さな大自然】シリーズ。第1回のテーマは‟種まき後の水やり“。「種をまいたらすぐに水やり」という先入観を持っている方が多いようですが、実は勘違いなのです。なぜ水やりがいらないのか、どんなコツが必要か、わかりやすくお伝えします。水やりが必要な場合もありますので、最後まで読んでくださいね!

種まきの時の水やりは不要!?

子供たちの絵本を読んでいると、よく種まきのシーンが出てきますが、必ずと言ってよいほど水やりがセットになっています。しかしプランターならまだしも外の畑で種まきする場合は、基本的に種まき後の水やりはしない方が良いと僕は思っています。

我が家の箱庭菜園。面倒な水やりはしません

種まき後すぐに水やりをしない方が良い一番の理由は、水やりをすることで根っこを深くまで伸ばさなくなるからです。雨と違い、水やりでは水の量が少ないので、土の表面しか濡れません。ですから野菜もその表面にしか根っこを伸ばしません。そうすると土の表面に水分がなくなるとすぐしおれてしまうので、また水やりをしないといけないという悪循環になってしまいます。

雑草は、誰も水やりしていませんが、すごく元気に育っていますよね。これはつまり雨からの水分だけで発芽し、立派に育っていることを意味します。同じように野菜の種も雨が降るまで待つことができます。雨は、降るときはドッと降り、そして数日は降らないというようにメリハリが効いています。このメリハリがとても大事で、雨が降らない期間に、野菜はしっかりと深くまで根を張ろうとするのです。40~50cmほど下の深い層はとても硬くしまっているので、水が溜まりやすくなっています。雨が降らない時でも、ここまで根が到達すれば到底枯れることはありません。

種まき後の水やりが必要なケースとは?

苗を植える時は、雨が降る前後以外は水をたっぷりやりましょう

基本的に種まき後の水やりは不要なのですが、状況によっては水やりをした方がよい場合ももちろんあります。例えば7〜9月ごろの気温の高い時期に種まきを行う際、1週間以上雨が降らなければやはり発芽率は下がります。特に発芽時の水分量を多く必要とするニンジンなどは土が乾燥しすぎると一気に発芽率が下がってしまいます。夕方の気温が下がってきたタイミングでたっぷりと水やりをするとよいでしょう。

また、種ではなく苗を畑に植え付ける場合は基本的に水やりは必要になります。種まきのときは雨が降るまでそのままで良いのですが、苗で植え付けする場合はその根っこが土に定着するまで、十分な水分がないと枯れてしまいます。なので、ちゃんと定着するまでの水分が切れないように、苗を植える場合だけは水をしっかりやる方が無難です。ただし雨が降った直後や、降る直前などは必要ありません。そして一度たっぷり水をやったら、そのあとは極力水やりをせずに育てて行くと、丈夫な野菜に育ちます。

発芽後の水やりもメリハリを意識しよう

発芽後も毎日水やりをするのではなく、メリハリを意識することが大事になります。十風五雨という言葉があるように、10日に一度強い風が吹き、5日に一度雨が降る程度が作物にとって理想の気象環境であると言われています。土壌の保水力や気温の高低によっても条件は異なりますので、水やりをすることで土壌がどのように変化するのか、野菜の生育がどう変化するのかをよく観察し、水やりに依存しすぎないことで生命力の強い野菜が育ちやすくなります。

野菜づくりと子育ては似ている

ラディッシュの収穫をする我が家の長女と長男

このお話をするとよく、「子育てに似ていますね」という話をされます。
確かに子供は、大人が良かれと思ってつい手をかけ甘やかし過ぎてしまうと、自分で行動しよう、工夫しようとしなくなります。
子供たちがこの世界で、自分で生きていける力を身につけ、本来持っている可能性を最大限に発揮するために、苦労していたり悩んでいる時でも、大人はじっと見守ることが必要なのかもしれません。

それと同じように野菜たちも土に水がない時間こそ、必死に水を探し求めて、根を張り巡らそうとしているわけです。そうやって根を張り巡らせて、自分で水を探し求める力をつけた野菜は、並大抵のことでは枯れない、生命力の強いものに育ちます。

自然の仕組みや野菜本来の姿を知ると、野菜作りがもっと楽に愉しくなる!

今回の記事でお伝えしたかったのは、「種まき後は水やりをしてはいけない」ということではありません。ただ畑づくりには間違った常識が一般化していることがあり、勘違いしているために無駄な労力やお金を使っていたり、悪循環に陥っていることが多々あります。
その誤解を解くためには、そもそも土は何でできているのか?トマトはどんな植物なのか?など、自然の仕組みや野菜本来の姿について、一つ一つ学んでいくことが大切です。そこは常に変わらない自然の理ですので、どんな農法をやる上でも必ず役にたちます。そして知れば知るほど野菜づくりが楽しくなります。今後もテーマごとに野菜づくりに役立つポイントをお伝えしていきますので、次回以降も読んでいただけると嬉しいです。

次回のテーマは「土の正体」です。野菜づくりに土が大事なことは皆さんもお分かりだとは思いますが、そもそも土って何で出来ているのか、砂や粘土と何が違うのか答えられる人は非常に少ないと思います。この答えを知ると野菜づくりに活かせるだけでなく、土への見方、世界への見方がガラッと変わります。お楽しみに!

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