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【第10回】グローバルGAPのポイント

連載企画:JGAP・HACCPの基礎知識

【第10回】グローバルGAPのポイント

前回までに、GAP(Good Agricultural Practices)について、基礎知識から取組事例などを述べてきました。今回は、GAPの国際標準であるグローバルGAPについて、その概要、要求項目、認証取得について説明します。グローバルGAPの認証を取得すると、国際標準のため世界中どこに行っても通用します。海外との取引や企業ブランド力アップに大いに貢献します。

1.グローバルGAPの概要

グローバルGAP

GAP とは、Good(適正な)、Agricultural(農業の)、Practices(実践)のことであり、グローバルGAP認証とは、それを証明する国際基準のしくみをいいます。グローバルGAPは、世界120か国以上に普及し、事実上の国際標準となっており、食品安全システム認証のスキームであるFSSC22000同様、世界の食品メーカーや流通業者が参加するGFSI(Global Food Safety Initiative)に承認されている規格の1つです。
GAPは、食品安全、労働環境、環境保全を配慮して構成されています。食品安全は、農産物が病原微生物により汚染され食中毒を引き起こす可能性を低減したり、残留農薬基準を遵守したりすることです。労働環境は、農作業中の事故や夏期における熱中症などから回避できる安心安全な環境で働くことです。そして、環境保全は、土壌や地下水を汚染しないように農薬、肥料を使用するなど周辺環境に配慮することです。
また、GAPは、農業生産工程管理や適正農業規範とも呼ばれ、継続的に行う改善活動として取り組まれています。農業生産におけるリスクを低減するために、PDCAサイクルを回し、継続的に改善していくのです。その国際標準がグローバルGAPということです。

2.グローバルGAPの要求項目

グローバルGAPは、大きくAF全農場基本、CB農作物基本、LB畜産基本、AB水産養殖基本と分かれていて、CB、LB、ABには、それぞれ分類があります。例えば、CB農作物基本には、FV野菜と果樹、FO花卉と観葉植物、CCコンバイン作物、TE茶、PPM繁殖用苗があります。ピーナッツであれば、AF全農場基本、CB農作物基本、CCコンバイン作物の要求項目を満たすことが必要になります。図表1は、AF+CB+CCの要求項目の目次を示しています。

図表1.AF+CB+CCの要求項目の目次

グローバルGAP

図表1の要求項目のうち、CB7農薬、CB4施肥、CB5水の管理、AF4働く人の健康、安全、福祉、AF1サイトの履歴と管理などは、特に重要な項目といえます。

3.グローバルGAPの認証取得について

グローバルGAPの認証取得には、個別認証とグループ認証があります。個別認証は、農業経営体ごとに認証を取得し、グループ認証は、複数の農業経営体がグループを構成し、そのグループで認証を取得します。
認証取得までの流れは、個別認証もグループ認証も基本的に図表2のような流れになりますが、グループ認証は、内部検査員と内部監査員を設置する必要があります。
グループ内で適切な活動が行われているかを内部検査員が検査を実施し、その内部検査が適切に行われているか、また、グループ内のQMSが適切に運用されているかを内部監査員が監査を実施します。

 

図表2.認証取得までの流れ

グローバルGAP

※1.GAP普及推進機構/GLOBALG.A.P.協議会のHPから入手可能
※2.チェックリストは、GAP普及推進機構/GLOBALG.A.P.協議会のHPから入手可能。グループ認証では内部検査、内部監査となる。

内部検査員、内部監査員とも一定の資格要件がありますので要注意です。例えば、農作物の認証であれば、図表3のような要件となります。

 

図表3.内部検査員・内部監査員になるための要件
※GAP普及推進機構/GLOBALG.A.P.協議会のHPより

グローバルGAP

一般社団法人中部産業連盟 経営革新コンサルティング部
所長・主任コンサルタント 伊東 辰浩(文責)

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